じっくりと細部描写された毎週分の積み重ねにより感情移入がしやすい民放ドラマ版との比較は、今回は土俵が異なるので割愛。
個人的に、父子よりも母子関係に目がいってしまう性分のため、女将たえ子周辺のエピソー>>続きを読む
一見シンプルに見える生き様も、終盤主人公自らが吐露していたように、思い出に縛られ過ぎたそれという捉え方もできて、何とも心に棘が残る。淡々とした作風とは裏腹、見終わった後あれこれ濃厚に思いを巡らせてしま>>続きを読む
このジャンルは不勉強で、勝手に「古き良きほのぼの家族もの」だと思い込んでいた自分を恥じる。これほどまでに人間をしっかり描いた作品だったとは。噂に違わずな独特の会話と構図。またひとつ映画鑑賞の引き出しが>>続きを読む
見終わってから結構な尺だったことに気付くほど、あっという間の170分。どんなに時代と技術が進化したとして、いちばん最初に想像するのも、創造するのも、そして動かすのも人。個性的な登場人物たちの様々なエピ>>続きを読む
映画の見方としては間違っているのだろうが(笑)、角川といえば、若い俳優さんたちの眩いばかりのオーラを味わう高揚感がつきもので(そしてそれを支えるベテラン勢)。
松本さんも奈緒さんも、美しさだけではない>>続きを読む
気ままに旅をすることさえ憚られるこのご時世、海外や異空間へと心の翼をひろげることのできる心地よさ。
気軽に楽しめ、時間旅行を堪能できる一作。
サイレントなのに情報過多。そのパワーには溜め息がもれる程。
現代の作品と、チャップリンをはじめとしたこのような昔の作品を同時に楽しむことのできる、令和の映画世界の幸せをかみしめる。
年齢を重ね人生経験が増えれば増えるほど、作品中の台詞が身に沁みるようにも思えるが、たとえピンとこなかったとしても若いうちにぜひ一度鑑賞をオススメしたい作品。
生も死も、自らは選べないし、決められない。
「この映画のこの場面!」という一瞬が存在する作品は、いつまでも脳裏に深く刻み込まれる。スカートのシーンは何度見ても印象的。
全体としては他のワイルダー作品の方がより好みかな、と。
"笑いながら泣く"
そんな心のざわつき。
説教じみた話をしたいわけではないが、片手で何でも容易く手に入れることができる今の時代、このような作品から想像の羽を拡げる時間はとても得難いものだと思った。
画の余白が絶妙。リーとランディ、パトリックと母のように、過去に痛みや綻びがあっても、人生の通過点で再び思いをぶつける時間を持てた者たちは、少し羨ましくて眩しい。人生はそうならないことがあると気づいても>>続きを読む
「見る」それは目に見える形式的なものだけでなく、心の奥底で感じるものを含めて。そして誰かと繋がり、その誰かが、みんなが、今日もきっと何かと闘っている。
視点が複数の構成ながら決して散漫にはならず、むし>>続きを読む
疲れきった日常に、ふと潮風が吹き込んでくるような、何か大切なものにあらためて気づかせてくれるハートウォーミングな一作。ゴールディは個人的に「サボテンの花」の印象がいまだ強烈なのだが、齢を重ねてもキュー>>続きを読む
思わずクスッとなるセリフやシチュエーション、父親や楽団員をはじめとする愛すべき登場人物たち、そしてなんといっても華のある主人公(楽器ケースを抱え歩く姿だけでもキュート)。
派手さはないが2時間の夢物語>>続きを読む
芸能人に疎いので佐藤さんも髙橋さんも演技はほぼ初見。
ふたりともきっちり役を掴んでいて、アイドル映画にありがちなむずがゆさは無し。存在が空気な創楽の役は特徴的な人物を演じるよりも難しいし、調子者だが抱>>続きを読む
壊れたり、欠けたり…全くもって完全ではなく、皆の力を結集しないと走り出さない黄色のポンコツ(笑)マイクロバスが、この家族の象徴として愛しくてたまらない。
密すぎず離れすぎず、しかし各々がお互いを信じて>>続きを読む
「才能」だけでなく、「ひとつの命としての存在、gift」とも受け取ることのできるタイトルが素敵。産院でのシーンにもそれがよく現れている。
展開はやや既視感があるものの、全体を通しての自然な演技・演出に>>続きを読む
too muchが命取りにもなりかねない、こういったコメディ色溢れる作品でのワイルダーの匙加減にあらためて感服。三者三様の役へのハマり具合も素晴らしい。
肩肘張らずに楽しめる映画だが、心が弱っている時>>続きを読む
ストーリー性を有するものが好みの自分には合わないかも…と危惧しつつの鑑賞も、ザジ役C.ドモンジョの魅力や映像の遊び心もあり思いのほか好印象。後半の持っていき方はやや怖さを内包した感じも否めなかったが、>>続きを読む
すごい。陳腐な表現だが、見終わったときの正直な感想。「あるひとりの少女の死」から、じわりじわりと波状攻撃のごとく観客側にも様々な感情が浮き上がってくるとんでもない構成。
怒りとは、後悔とは、罪とは、赦>>続きを読む
疲れている時は、動物いっぱい少し軽めのこんな世界がとても心地良い。どのキャラクターも表情豊かでいきいきと命が宿っている。ただ可愛いだけではなく、大人もしっかり楽しめる展開になっているのはポイント高し。
「人種」「差別」ひとことでは語れない主題だが、作品としてはとても見やすい構成になっていて、当時を知らない世代でもその事実に思いを巡らせるきっかけになりうる良作。
きめ細かい演出とそれに応えた女優陣の表>>続きを読む
設定は少々特別ながら基本はシンプルな展開。にもかかわらず終始目を離させない。
脚本・演出の巧妙さ、小道具の活かし方、キャラクターに最高レベルの息を吹き込んだ俳優陣。
すべてが融合し、至福の映画時間とい>>続きを読む
3人一緒がベストも、その選択肢は端からない現実が切なくもあり、「個」を尊重するそれぞれの姿に愛しさをおぼえる。
詳細描写せずに全てを描ききるラストが印象的。
安定のキャプラ節。鑑賞後、心がふっと軽くなる。この後の作品群にずっと貫かれるキャプラの信念が、すでに本作から見てとれることが何とも嬉しい。
ディーズが完全無欠な善人ではない描写が効果的。
世界は愛でできている。そのかたちはいろいろだけど。
ハッピーエンドもいいけれど、実らぬ叶わぬ届かぬすれ違う想いほど、キャンドルのようにさわさわと心に灯をともす。
「映画の中」で「映画を愛する登場人物」に出逢えると、いつもなんだか嬉しくなるよね(古今東西普遍のテーマ)、と思いながら鑑賞。
多少ひっかかる場面があってもそこはファンタジー。あたたかな気分で涙が頬を伝>>続きを読む
宇宙開発と差別問題、壮大と繊細を巧みに同居させたうえ、実話をベースにした娯楽作品としても完成度が高く、ぐいぐいひきこまれた。演者もすべて過不足なく役にはまっていた。
前例がないのなら自らが前例になれば>>続きを読む
現実はそうはいかないからこそ、貴くて手を伸ばして掴んでみたくなる映画の世界。1930年代の作品であってもそれは普遍。
家族と友人が居て、そこに人の心があればそこは楽園。
出番の多少にかかわらず全員(生>>続きを読む
ファンタジーは得意ではないが、喫茶店という身近な場所が舞台なので見やすい。
総じて役者陣が好演、特に夫婦を演じたふたりの空気感が見事で、あの短時間で熟年夫婦のこれまで・現実・これからを説得力をもって>>続きを読む
一見ほほえましいような、よくよく考えると皮肉たっぷりなような、とても心をくすぐる往年の一作。ピーター・セラーズがあまりにもはまり役。原題が素敵。
8月末になると観たくなる一作。映像美が花火のように瞼の奥で浮かんでは消え、そしてまたいつかの夏の終わりに同じことを繰り返す。
ある程度年齢を重ねたからこそ、心を揺さぶられる場面がそこかしこ。この作品を若い頃に観たとしたら、もしかして今ほどは響かなかったかも、と。とはいえ押し付けがましくは決してない、人生の教訓的言葉も劇中豊富>>続きを読む
考えさせられる深い作品もいいけれど、たまにはこんな"のほほん鑑賞"も楽しい。ボンジュール・パリの3人の浮かれっぷりったら!ストーリー云々よりも、場面場面が色彩とともに脳裏に焼きつく鮮やかな作品。