ヤマナカさんの映画レビュー・感想・評価

ヤマナカ

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恋人たちの曲/悲愴(1970年製作の映画)

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ケン・ラッセルのチャイコフスキーに対する偏執的な愛情をありありと伝えているのだが、映画的に何か特筆すべきことがあるかとなると微妙。列車のなかで揺られるニーナとピョートルの乱痴気騒ぎのシーンは素晴らしい>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.5

寺島進や大杉漣(無念)は死んでしまうが、やはり勝村政信は殺せないな。糊のきいた白シャツ。砂浜、一握の砂、雨のシャワーとシャボン。

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

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サティの「グノシエンヌ」が歩くリズムにぴったり合っている。何故か「はぐれ刑事」のケイン・コスギ殉職シーンを思い出した。

関心領域(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

終始低い位置に置かれたカメラが、あたかも幼い子どもが窓から覗いている視線であるかのように、あまりに無垢なものとして機能しているので、アウシュヴィッツについての映画を撮るときの視線の問題、もっと言えば映>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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ベルリンBabylonでヴェンダースの新作を観るというほとんどあり得ないようなセッティングで鑑賞したためか、浅草駅の居酒屋の水割と石川さゆりのポテトサラダがあまりに羨ましく、渋谷にあるらしいほとんど違>>続きを読む

ハッシュ!(2001年製作の映画)

4.3

橋口作品三作目。カメラの位置の確かさが好きだし、安心して見ていられるのだが、最後の川縁の道を三人で歩くところなんか本当にうまい。
秋野暢子と田辺誠一が畳の仏間で話すところも、井戸の端に腰かけて汗だくで
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二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)

4.0

プールサイドに並ぶ二人に紅白のビニールボールが飛んできて微妙に届かない!!!なんていやらしく、素晴らしいシーンだろうか。
売文=売春というつかい古された言い回しをなぞるように、監督自らが春を買う男の役
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サンライズ(1927年製作の映画)

4.5

豚が駆け抜けていくときに女性たちの脚が映し出されるところなんかはあまりに鮮やかだし、それにつづくダンスのシークエンスも本当にたのしい。
水死したかもしれないオイリュディケを探すオルフェウスとしての主人
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リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

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かなりくだらない映画ではあるのだが、蒼井優の歩き方や葬式の行列のシーンがあり得ないほどにすばらしく、青リンゴ🍏をもつ忍成修吾がヒリヒリとかっこいい。

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

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ガガ様好きだけど、ストーリーを構築するための強さが足りないというか、ジュディ・ガーランドのヴァージョンと比べたときの退屈さがね

渇水(2023年製作の映画)

4.0

四人で縁側に座る構図、タバコを吸う横顔、水のないプールで泳ぐ姉妹、素晴らしいシーンがあるのだから変なエフェクトなしでよかったのにな。水道局員のミニ・テロリズムという主題も好きだよ。

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

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イザベル・ユペールの赤いリップと侯爵の着こなしが最高にクール。僕もベルリンであんなふうに暮らしたいものだ。そして突然のサルトル!ヘーゲルの「対自/即自存在」を実存主義として打ち出すサルトルがオートクチ>>続きを読む

ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.5

ベルトルッチに近いものがあるが、「シェルタリング・スカイ」よりも「ヘカテ」のほうが一枚上手、というか布に絡まって理想の女と過ごす甘美な前半からほんの子どもにまで嫉妬をして、最後には強姦してしまうような>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

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イマジナリーの巨大なマネキン的なデザインはわりと好きかもしれない。好きというか、強度のあるイメージ。力がある。

ワルキューレ(2008年製作の映画)

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ゲオルゲ・クライスのフォン・シュタウフェンベルクをトム・クルーズが演じる、、、ゲオルゲ・クライスのフォン・シュタウフェンベルクをトム・クルーズが演じる、、、ゲオルゲ・クライスのフォン・シュタウフェンベ>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

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料理しながら美空ひばりの「港町十三番地」を歌う宮本信子さま、僕とおんなじ!

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

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民主党とイギリス王室のプロパガンダみたいになっているが、それを補ってあまりある。
ビーグル犬のデイヴィッドがかわいい❤️
ヘンリーの好きな映画が「花様年華」なのがいいし、「羊は安らかに草を食み」を弾く
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真田風雲録(1963年製作の映画)

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画面いっぱいに道化としての十勇士の顔がぎゅっと集まるところが好きだし、冒頭のペケペケの安い芝居が転がっていく様子も不思議におもしろい。
'60年のあとでどう闘うかということを撮っているのだと考えるとふ
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乱れ雲(1967年製作の映画)

5.0

冒頭、アパートの鍵を閉めるところからしてなみなみならぬ映画だと分かるのだが、十和田湖に行ってからの司葉子の美しさが、たとえば脇をかためる女優が東京にいる姉の草笛光子からチャキチャキのコメディエンヌ森光>>続きを読む

女が階段を上る時(1960年製作の映画)

4.5

淡路恵子演じるユリちゃんの母親の沢村貞子が突然ワッと泣き出すところがとてもよいのだが、高峰秀子が家族から金をせがまれて、食い物にされているといって泣きつくさきの加東大介もじつはロクでもないやつで、そう>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

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二度目。
首もとまでのジャージはコロナ以降の流行りになっているようだが!

8 1/2(1963年製作の映画)

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過剰にカメラを意識した人々をカメラが縫いとるように撮ってゆく、そのぎこちないなめらかさが映画を撮るという自意識なのだろう。岡上淑子のコラージュみたいに美しい女たちやマストロヤンニのいちいちカッコいい視>>続きを読む

自転車泥棒(1948年製作の映画)

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トリュフォーの「あこがれ」なんかでもそう思うわけだけど、自転車は列車や自動車以上に映画的な乗り物だ!

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

小津や溝口や成瀬の映画で観たような、それぞれの生活に合わせてふるまいや喋り方のちがうひとびとをここまで器用で正確に描いてみせるのは、今となってはアニメーションの特権だろうとわたしには思えるので、最初の>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

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一本の木を切ることをめぐって、市長、社会党と保守党、緑の党、文化大臣、ジャーナリズム、小学校教師、村の人々、小説家、小学生、さまざまな政治思想や職種、年代の人間の言説が飛び交うが、それはすべて「もしS>>続きを読む

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)

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型紙に沿って印をつけ、ウールやサテンやシルクといったさまざまな布の生地を裁ち、足踏みのミシンでまっすぐに縫ってゆく手つきに惚れ惚れとする。
こういう映画は良い。

陽暉楼(1983年製作の映画)

4.5

有名な池上×浅野のド突きあいシーンはほとんどセックスみたいな展開になるのだが、それからというもの、最初は本当に「愛想がない」し、まったくパッとしなかった池上季実子が妊娠をし、匂いたつようなうつくしさを>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

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性搾取で「キャンセル」されたレズビアンのマエスト「ロ」リディア・ターが、自分の代役で指揮台に立ったゲイの指揮者につかみかかり、「わたしのスコアだ!」と吠えるところがあまりにつらい。(『もののけ姫』の「>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

4.0

丁寧につくられた映像、光と窓、水と植物が混じりあっていい仕事をしているのがロメールみたいだと思える瞬間がある。

そして男が男を愛するときをこんなにも美しく切りとる手際のよさ、というか、そんなことより
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ラヂオの時間(1997年製作の映画)

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映画としては最低の部類なんだと思われるが、戸田恵子演じる千本のっこみたいな女優を僕はかなり愛しているし、桃井かおりや宮本信子や渡辺謙や布施明が出てきて、井上順や若い頃の唐沢寿明がかなりカッコいいので、>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

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餅を詰まらせた大滝秀治の口に突っ込まれる掃除機、レシピを盗み見る宮本信子の顔に差し込む光の妖しさや、役所広司の卵黄/牡蠣プレイなどの食=性にまつわるイメージを伊丹映画に似つかわしい猥雑さで見せているシ>>続きを読む

居酒屋兆治(1983年製作の映画)

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映画そのものはかなりひどいレベルのものなのだが、やたらに軽薄なスナックのママ役のちあきなおみとか、小役人の細野晴臣、酒癖の最悪な伊丹十三などのスターたちが楽しい。
最後の5分、健さんと登紀子さんの夫婦
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別れる決心(2022年製作の映画)

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お寺デートシーンが良かったな。ザクロはもう少し使える気がするが。

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