やなじゅんさんの映画レビュー・感想・評価

やなじゅん

やなじゅん

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.9

AIを題材とした現代的なテーマと古典的なホラーが融合した佳作。

ミーガンという人形の不気味さと存在感が巧みに表現されており、愛らしさも兼ね備えたキャラクター造形は、続編を期待させる魅力に溢れている。
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砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ケーブルが自動車に轢かれて死ぬ場面は、馬車の時代から機械文明への移行を象徴し、西部劇の幕引きを詩的に表現している。ヒルディが去った後のケーブルの孤独な生活は、やや冗長に感じられ、物語の緊張感が薄れた印>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

二人の男女を通して、戦後の急激な時代の移り変わりが表現されている。淡々と時間が流れていくので主人公たちに感情移入しづらいが、残酷とも言える時の流れを確かに感じ取ることができる。最初は清楚な印象だった新>>続きを読む

機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-(2025年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

これは正史のIFを下敷きにした新たな物語ということでいいのかしら。一年戦争のダイジェストにかなりの尺が割かれており、物語が本格的に動き出すのは全体の半分過ぎてから。良くも悪くも序章といった位置付けであ>>続きを読む

(1954年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

説明されなくとも、登場人物たちの複雑な心理が確実に伝わってきた。この作品が傑作と評されることに疑いの余地はない。
物語の途中で男があっさり死んでしまったのには驚いたが、ザンパノがジェルソミーナを捨てる
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アビゲイル(2024年製作の映画)

3.6

ヴァンパイア×バレリーナの最恐ヒロインを顕現しようという作り手の気概が感じられる1本。

誘拐した少女に襲われる逆転構造が楽しく、誰が生き残るか分からない展開にハラハラ&ワクワク。しかし、あまりに捻り
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顔のないスパイ(2011年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

物語の鍵となるスパイ・カシウスの正体が早々に明かされ、「ここからどうなるんだ…」と思いきや、なかなか捻った展開で楽しませてくれる。小粒ながらアクションシーンもほどよく盛り込まれており、好印象だ。カーチ>>続きを読む

サイコ・コップ(1988年製作の映画)

2.5

なんでか昔、この作品のVHSが実家に置いてあった。改めて観ても取り立てて面白くはない、類型的なスラッシャー映画。型通りな演出と、警官に扮したサイコ・コップさん(ただの大男)がちょいちょい瞬間移動するの>>続きを読む

アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)

4.0

悪趣味だけれど不快感はなくちゃんと笑える。幼少の時分には何も思わなかったけど、改めて観るとこの作品って惨劇の場面は直接的にはほとんど描写していないんだね。だから奇跡的なバランスで成り立っているのかな。>>続きを読む

プー あくまのくまさん(2023年製作の映画)

2.7

キャラクターに依拠した興味を誘う題材を除けば、面白味に欠けるホラー映画といった印象。プーもピグレットもただの大柄な人な風体で笑ってしまう。もう少し得体の知れないモンスター感は出せなかったものか。なんと>>続きを読む

サイレントヒル(2006年製作の映画)

4.0

シーンによっては多少の時代は感じさせるものの、凝ったビジュアルエフェクトとゲームホラーな世界観が楽しい好編。物語に救いはほぼないと言える展開だけれど、ラダ・ミッチェル演じるローズの娘に向けた母の愛と眼>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.9

同じくヨーロッパ企画制作、上田誠脚本繋がりで『サマータイムマシン・ブルース』を彷彿させるタイムループ系コメディ。
たった2分の繰り返しで物語を積み上げていく斬新さ、それでいて時間の経過と共に変化を付け
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ミステリーだと構えて観るととんだ薄味だが、ヒューマンサスペンスとして捉え直すと濃厚な味わいだ。裁判が始まってからは夫婦の秘密や嘘が暴かれ、不確かな事実の上で本作のドラマが形作られていることが分かる。最>>続きを読む

劇場版 BanG Dream! It's MyGO!!!!! 後編 : うたう、僕らになれるうた & FILM LIVE(2024年製作の映画)

4.8

TVシリーズでは圧倒的に不足していた楽奈のエピソードが前編で大幅に補強されたので、映画版は前後編併せて5人の物語としての密度がより増していたように思う。どのキャラクターも、迷子でありながら前に進むひた>>続きを読む

まる(2024年製作の映画)

4.1

創作らしい誇張表現ではあるが、自分の手が届かないところで評価が独り歩きし、求められるアーティスト像が確立されていく様子が可笑しくもあり空寒い。局所的にカメラの長回しが切り取る会話する様が面白く、それを>>続きを読む

ふれる。(2024年製作の映画)

3.4

「あの花」以降、岡田麿里脚本の主だった劇場作品はほとんど足を運んでいるけど、これほど素直に評価ができないと感じたのは初めて。

「ふれる」というキャラクターを起点に心の交流が描かれた本作品は、題材とし
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八月の濡れた砂(1971年製作の映画)

3.0

湘南を舞台に、無軌道な若者たちの剥き出しの青春が描かれる。大人への反抗を暴力とセックスでしか示せない彼らを蔑めばいいのか憐れむべきか…。価値観のまるで異なる現代においては共感の覚えづらい物語と登場人物>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ(2024年製作の映画)

4.6

シリーズ3作目にしてアクション特盛りの花丸映画。池松壮亮がベビわる世界観に投入されたことで画がぐっと締まるの凄い。一体全体なんなんだこの存在感は…。新たにチームを組む前田敦子と大谷主水演じる入鹿みなみ>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

3.9

もっとドキュメンタリーチックな作品かと思ったけど、骨子はフィクションを成すよう、あけすけにキャラクターが配置されていたように思える。物語の背景をボカすことでヒロイズムやペシミスティックな視点を逆手に取>>続きを読む

劇場版 BanG Dream! It's MyGO!!!!! 前編 : 春の陽だまり、迷い猫(2024年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

単純に総集編と疑いもせず劇場へ足を向けたので、序章を紡ぐ楽奈視点の新規パートに驚いた。軽くTVアニメーション1話分はあったかと思う量。よくよく考えれば副題が「春の陽だまり、迷い猫」であり、楽奈を映した>>続きを読む

きみの色(2024年製作の映画)

4.2

モラトリアムの内なる秘密と共有によって奏でられる青春のハーモニー。

立ち位置の異なる3人のキャラクターは同調しやすく、友情で結ばれたバンド空間が観ていて心地良かった。普通なら失敗や衝突の下げ展開を経
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お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

4.1

始まってから終わるまでの二時間が笑いっぱなしだった。マリリン・モンローが魅惑的に描かれており、非常に長いキスシーンは誰の印象にも残るだろう。問題点を挙げるとすれば(実際には全然問題ではないのだが)、ジ>>続きを読む

着信アリ(2004年製作の映画)

3.5

雰囲気や設定が秀逸なJホラー。定められた死に向かう恐怖に目が離せなくなる。序盤の被害者たちにはもっと豪快な描写を期待してしまったが、多分『ファイナル・デスティネーション』シリーズが脳裏に浮かんでしまっ>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

全てを手に入れた傍らで、実は何一つ手に入れることができなかった新聞王ケーン。彼が最期に遺した言葉「薔薇のつぼみ」を探るミステリーであり、同時に孤独な権力者の悲哀にも迫るドラマだ。

劇中の登場人物たち
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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY(2023年製作の映画)

3.9

短期留学生として来日したアイラの悩みの解消に至る展開としては尺が短くやや性急に感じられるが、既出メンバーである栞子の悩みとリンクさせて描写した点は上手いと思う。観光案内と称してスクールアイドル縁の地や>>続きを読む

プレデター2(1990年製作の映画)

3.6

公開年を超え10年後(1997年)のロサンゼルスに舞台を移したシリーズ第2作。

都市のごちゃごちゃした空気感そのままに、ロス市警や麻薬カルテル、プレデターの捕獲を企てる特殊部隊等、立ち位置の異なるキ
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プレデター(1987年製作の映画)

4.0

こんなシンプルなストーリーでも映画って面白い…を地で行く傑作。

言うまでもなく、長きに渡って愛されるハンターであり独自の文化を持つ知的クリーチャーのキャラクター性に依る功績は大きいが、エリート揃いな
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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章(2024年製作の映画)

4.8

ちょっと驚くくらいに良かった。と言うのも、事前に確認した上映時間(67分)からなんとなくおおよその分量を予想していたのだけど、見通しを遥かに超えた満足感が得られたからだ。観終えてから思わず時計を確認し>>続きを読む

モンスターネード(2023年製作の映画)

2.0

パッケージの画は最高なのだけど中身は…。

とんでもない状況が起こっていても国規模のマクロな視点はなく、頭の悪い登場人物たちがわちゃわちゃと逃げ惑ったり小競り合いを繰り返すのみでただただ退屈な物語。シ
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エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

4.5

過去作へのオマージュに彩られながらも、新しい視聴者が観る単体のSFホラー映画としても傑作と呼んで差し支えのないクオリティだと思う。本家リドリー・スコットの手を離れた(製作に名を連ねてはいるけれど)途端>>続きを読む

ラストマイル(2024年製作の映画)

4.4

TBS発傑作TVドラマ『アンナチュラル』や『MIU404』の延長線上に打ち立てられただけあり、申し分ないエンタメ性とサスペンスに富んだ娯楽作。物流センターを舞台に目まぐるしく飛び交う情報と、いつ爆発が>>続きを読む

劇場版 MOZU(2015年製作の映画)

3.4

シーズン1は、日本ドラマの底力を感じさせる圧倒的スケール感でとても面白く感じられた。続くシーズン2は話の規模を広げすぎて色々と焦点がぼやけてしまったように映り、スピンオフは楽しいが本編のシリアス具合と>>続きを読む

ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

3.9

ドラキュラがロンドンへの移動を試みる船上の物語に焦点を当てた作品。このシンプルな設定が功を奏し、船上の逃げ場のない恐怖と怪物に見立てられたドラキュラとの攻防から良質なB級ホラーの体を成している。その割>>続きを読む

ミンナのウタ(2023年製作の映画)

3.0

現在公開されている次作『あのコはだぁれ?』を観てからの鑑賞。どちらも単体で物語は完結しているので、逆の順番で観ても特に困ることはなかった。恐怖演出はオーソドックスなものでまとめられており、凡庸な物語同>>続きを読む

CUBE 一度入ったら、最後(2021年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

オリジナル版『CUBE』を観たときの衝撃は筆舌に尽くし難い。それを踏まえた上での鑑賞だったので、それほど期待値は高く持っていなかったが、それでもこれは…と思わず口を噤んでしまう出来栄えに感じられた。今>>続きを読む

劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:(2024年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

作品のクオリティを崩さずに保った総集編の後編。文化祭ライブをクライマックスに据えて、ドラマの醸成に不必要な箇所は遠慮なくカットされているが、タイトさは物語の密度の高さに直結している。前編から通してエピ>>続きを読む