Junさんの映画レビュー・感想・評価

Jun

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ムーンシャーク(2022年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

ソ連生まれのサメ人間ことハイブリッドシャークと月で戦う映画。観る前は『テラフォーマーズ』かと思ったが、観ている間は『猿の惑星』がよぎった。だから面白いというわけでもないのだけれど。

本編開始2~3分
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ジョーズ ザ・ファイナル(2022年製作の映画)

3.6

邦題は酷いが中身は悪くない。そもそも原題は『The Reef: Stalked』であり、物語に繋がりは無いが同じアンドリュー・トラウキ監督の『赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター(原題:THE REEF)>>続きを読む

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.8

今やレジェンド・オブ・ホラーとも呼べる『オーメン』の前日譚を描いた最新作。

教会の不穏な怪しさや不可解な連続死で高まる緊張感がとても良い。演出は手堅くクラシックだが熱のこもった演技など目を見張るシー
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M(1931年製作の映画)

4.0

フリッツ・ラング監督初のトーキー映画ということで「音」に着目してみると、Murdererである犯人が少女を殺害する前兆として吹かれる口笛はこの上なく秀逸な仕掛けだと言える。加えてモノクロの画の上では光>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

溝口健二による演出と早坂文雄によるスコアとが相俟って、作品全体に不思議な妖しさが漂う。カメラの長回しがもたらす画面の緊張感は同時に不気味さを宿している。観る人の解釈が及ぶ内容と物語の奥行きが素晴らしく>>続きを読む

我輩はカモである(1933年製作の映画)

3.7

突き抜けたナンセンスと絶え間なく展開されるボケの数々に笑う。が、似た響きを持つ単語を掛けたギャグは日本語訳では中々伝わりづらいところ。コメディ映画の宿命とも言えるが、ネイティブに受け取るのと字幕を見る>>続きを読む

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-(1998年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

TVシリーズの熱心なファンが否定的なコメントを出していたりと、傍から見ても賛否両論の色が強いと感じられた『機動戦艦ナデシコ』劇場版。TVアニメーション時の魅力と言えば、ラブコメを基調としながらもシビア>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

どこか攻撃的、排他的でありながら、純粋な愛を真っ向から描いたラブロマンス。

夜空を彩る盛大な花火を背に踊るアレックスとミシェルの姿、彼女を心から愛するが故にアレックスが尋ね人のポスターを一つ残らず燃
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美女と野獣(2014年製作の映画)

4.2

ディズニー製(アニメーション、実写版双方)を娯楽に徹した陽と捉えるならば、本家フランスに産まれた今作はクラシカルでありながら気品に溢れたダークファンタジー。物語はより原作に忠実と言えるが、野獣に至る経>>続きを読む

レリック(1997年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

人間の脳下垂体を奪い取るトンデモモンスター、コソガの暴れっぷりが楽しいSFホラー。

簡素な語り口で悲劇の舞台が整えられていくので、視聴者は集中して惨劇にのめり込むことができる。密室と化した広大な博物
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ニノチカ(1939年製作の映画)

3.9

グレタ・ガルボの美しさと洒落たルビッチタッチのコメディが可笑しいロマンス映画。作品全体が楽しくも優しい雰囲気に包まれており、エッフェル塔や当時のパリの様子を観光さながらに眺めることができるのも良い。ニ>>続きを読む

美女と野獣(1946年製作の映画)

4.0

才人ジャン・コクトーの手に依る『美女と野獣』。ロマンチシズムに満ちたディズニー製と比較しても心理描写が克明に描き出されており、芸術性の高い逸品。時代を感じさせる衣装デザインやセットに縛られない魅力があ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

奇怪な手術で蘇生された女性の成長を辿る人生讃歌。知的好奇心に依る動的な探求が障害に突き当たることで露わになるのは、男性優位な社会の常識や目に見えない抑圧。これらを規範に縛られない主人公が乗り越えていく>>続きを読む

メトロポリス(1927年製作の映画)

3.8

一世紀近くも前に構築された大胆な未来世界は一見の価値有り。移動するときも誰一人顔を上げる者はなく、機械の一部であるかの如く働く労働者たちの姿は不気味であり、反対に能天気に映る資本家たちの享楽的生活はシ>>続きを読む

劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ(2017年製作の映画)

4.4

総集編感の強かった前作と比べると、一つの作品として纏まりが感じられ、映画への没入感も高い佳編。久美子と先輩のあすかを軸に構成されたアウトラインが過不足なく、久美子の姉のエピソードも活かされている。名シ>>続きを読む

キミとボク(2011年製作の映画)

3.6

キミとボクの10年と少し過ごした時間。華美な映し方はなくともじんわりと胸が温かくなる好編。銀王号と中村蒼の表情がとても良い。「CANON IN D MAJOR」を含め、平井真美子の手によるサウンドトラ>>続きを読む

櫻の園(1990年製作の映画)

4.6

奇を衒った演出をするでもなく、女子高生たちの瑞々しい青春の一ページを直截簡明に描いてみせた珠玉の名作。
里美先生を想い香織が泣きながら皆に今という一時の大切さを説く場面や、公演が中止になりそうだと知り
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劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(2016年製作の映画)

3.9

良くも悪くもTVシリーズ第1期の総集編な劇場版。物語の本筋が明快且つシンプルに進んでいく様は観ていて気持ちが良いが、脇を支えるキャラクターたちの魅力的なエピソードが削られてしまい個性がスポイルされてし>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.3

絶えず緊張感を孕んだカメラワークが素晴らしく、実際にルーブルで撮影されたロケーションの妙と物語の異彩さが見事にマッチしている。過去の記憶の艶めかしさは特筆に値するが、岸辺露伴を演じる役者の質が不一致に>>続きを読む

文化生活一週間/キートンのマイホーム(1920年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公とヒロインが一生懸命に家(マイホーム)を運ぶ最中、思わぬアクシデントで線路上に立ち往生してしまう。列車が迫り来るが、反対側の線路だったため難を逃れた。…かに見えたがその直後、もう片方からも列車が>>続きを読む

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.1

非常識に溢れた物語は一見現実味がないように思えるが、しかし小気味良いアクションの連続で魅了する今作は、機械文明に毒された社会を何よりも痛烈に風刺している。娯楽性とメッセージ性を併せ持つチャップリン映画>>続きを読む

ジオストーム(2017年製作の映画)

3.4

『ユニバーサル・ソルジャー』(1992年)、『スターゲイト』(1992年)、『インデペンデンス・デイ』(1996年)、『GODZILLA』(1998年)、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2>>続きを読む

サウンド・オブ・サンダー(2004年製作の映画)

2.9

時間旅行が実現した未来を舞台に、富裕層の道楽と化した恐竜狩りで起きたトラブルがやがて人類滅亡の危機を招く様を描いたSF映画。監督のピーター・ハイアムズと言えばB級路線を軸に良作を多く手掛ける職人監督と>>続きを読む

マルタの鷹(1941年製作の映画)

3.8

複数の事件が絡み合いやがて一つの真相に至る展開には無駄がなく、否応なしに物語世界に引き込まれる。ハンフリー・ボガート演じる私立探偵サム・スペードはさりげない仕草や会話から魅力が伝わってくる好キャラクタ>>続きを読む

グリーンランドー地球最後の2日間ー(2020年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

アポカリプス的ディザスター・ムービー。監督は前作『エンド・オブ・ステイツ』(2019年)でもジェラルド・バトラーと組んだリック・ローマン・ウォー。
目玉となる災害シーンよりも、突如地球の終末危機を宣告
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裏窓(1954年製作の映画)

4.1

全編を通して主人公の部屋からカメラが外に出ないにもかかわらず、物語規模は見た目以上に大きく感じられる。要因の一つには、四方をアパートに囲まれ中庭を中心とした閉鎖的な空間だが、そこに存在する登場人物たち>>続きを読む

ラスト・ブラッド(2008年製作の映画)

3.5

原作映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』で覚えた衝撃と比して見劣りは避けられないが、全体を構成するパーツを追えば中々どうして。チョン・ジヒョン演じるサヤの立ち居振る舞いや強い眼差しは十>>続きを読む

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.0

オフビートな笑いを交えつつもショッキングシーンはドギツく、キメるところはスタイリッシュに。タガが外れてからのアクションシーンはさながらゲームのように進んでいく。バカ映画と切って捨てるのは容易いが、制作>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

3.9

北野武、第一回監督作品。

警察と裏社会の交わり、麻薬を追う物語に特に意外性はないが、とにかく剥き出しの暴力に彩られた映像が魅力的である。緊張感を湛えたカメラワークは目を見張るものがあり、唐突に鳴る打
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

思った以上に『三丁目の夕日』しているドラマパートのこってり感に若干胸焼けしそうになったが、それを補って余りあるスペクタクル! 破壊と絶望を宿したゴジラの圧倒的存在感を前に涙を流してしまいそうなほど感銘>>続きを読む

ガールズ&パンツァー 最終章 第4話(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

もはや物語的に新鮮な展開など望むべくもないのだが、それにしても面白い。まさかのあんこうチームリタイアを経ての第4話は、個性的なチームメイトたちやライバルの活躍が目一杯描かれていてとても楽しい好編。だが>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

緊張感を持続させる異常なまでに長い間と、場面が切り替わる度に存在感を増す雨が印象的だ。検非違使が姿を現さないのも不気味で良い。
三者三様に証言が食い違う物語は、人のエゴイズムを浮き彫りにしているとも取
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

主役を務めるアイナ・ジ・エンドの唯一無二の歌声と広瀬すずが持つ透明感の魅力に彩られた映画。悲劇性を纏う物語は刹那的な熱を帯びており、ダイレクトに感情を揺さぶる歌唱シーンには思わず息が詰まりそうになる。>>続きを読む

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

4.2

交わされる詩的な会話と瑞々しい映像、神秘的で無国籍性をたたえた音楽が美しく、原作同様に観る者の心に響く傑作アニメーション。孤独な心を抱え生きていかなければならない現代人にこそ刺さる。無情な絶望と喪失感>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「コワすぎ」シリーズ6作目にして満を持して(?)の劇場版である。前作の序章から次いで登場する浄霊師の道玄に落ち目のアイドル・小明と物理学者の斉藤を加え、一行は「タタリ村」へ足を踏み入れる。過去作に登場>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

『さよならの朝に約束の花をかざろう』に続く岡田麿里監督第2作。前作とはまた大きく異なる物語の切り口と主題の多角的な深さに度肝を抜かれた。

製鉄所の爆発事故を境に時間の流れが止まってしまった町。共同体
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