六四二さんの映画レビュー・感想・評価

六四二

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セイジ 陸の魚(2011年製作の映画)

3.6

HOUSE475の建物が引き逢わせてくれた映画である。山深いダム湖を見下ろす場所に、HOUSE475はポツンと今も実際あった。これが映画の中心でありバックボーンになっている。
「たびびと」がモラトリア
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雪子 a.k.a.(2024年製作の映画)

4.0

予想を遥かに超えた良い映画で、多くの気づきを貰った。特にラップバトルに自ら挑む雪子の勇気には参った。
この人が愛おしくてならない。

おいしい給食 炎の修学旅行(2025年製作の映画)

3.7

戦隊ヒーローのような市原隼人
空手道のカタ演武、いやMJを連想させる給食芸に
磨きがかかっている。

岩手の学校の演出はやり過ぎ感を感じていて、二人の教育者の論争にならなかったのが少し残念だ。仏教系の
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ストロベリームーン 余命半年の恋(2025年製作の映画)

3.5

イチゴの季節は冬という今の時代だが6月、初夏の季語?らしい。インディアンサマーと似た感じでネイティブアメリカンが使った言葉とのこと。時節を表現する言葉はどの国に依らず趣がある。

浜松で醤油が伝統的に
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素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる(2025年製作の映画)

3.7

タイトルが素敵すぎる
ストーリーの奇想天外さに、凡人には理解が及ばない部分があり、脳が刺激される。
誰も考えつかないようなことを形にして興行まで持っていくなんて
これを作った天才かつ努力家を、素直にリ
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秒速5センチメートル(2025年製作の映画)

3.6

このお話を自分の経験と重ねて見ると
カサブタをむしる自傷行為みたいになるのではないか。一方で尊厳もへったくれも無しに縁が切れた泥々の出来事も、甘美な新海氏の物語は清々しく昇華させてくれるかもしれない。
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トロン:アレス(2025年製作の映画)

3.7

デジタル的ビジュアルというと前世紀のトロンがイメージの源泉、その元はテレビゲームだろう。アレスが逃げ込んだ先の古いアーキテクチャとともにアーケードゲーム機がいっぱい並んでいた。あのなんちゃらグリッドの>>続きを読む

ハウス・オブ・ダイナマイト(2025年製作の映画)

4.1

都度つど、”女性作家”と言ってしまうキャスリンビグローの手による必見の映画。人類終末の端緒となり得る20分間悪夢のシミュレーションである。
忘却を許されない不安のタネのはずなのに、気候変動や局地的な戦
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スノードロップ(2024年製作の映画)

3.9

苛立ちを感じるほど、直子は流れに任せる選択をお終いまで続ける。いくつかの分岐点の全部で消極的決断をしているようにしか見えないが、そうでなかったものが、ひとつ在ったことに後から気付いてどきりとする。
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見はらし世代(2025年製作の映画)

3.9

街がたくさん映り込んでいるのが楽しい。
“再開発”でまちの魅力が失われることが多い中で宮下公園はうまくいっていると個人的には思う。
空中公園たる今の第三形態はたしかに「見はらし世代」といえる。持ち上が
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シークレット・メロディ(2025年製作の映画)

3.4

三本目、工夫されず看過された
気になるポイントを冷ややかに見てしまう

なんで夜にユンボ
全部はいったままで
そんな雑なこぼちないわ

アンビジブルマン
お化けになるということを想像すると恐怖だ

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ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー(2024年製作の映画)

3.7

予想もしないところに連れて行ってくれる
へんな映画だった。そういうのが好きだ
見て、儲けもんだった

美和の言葉がかなり重いストレートパンチで、いちいち当たる。よけられない。

爽子の衝動(2024年製作の映画)

3.9

行政でカバーし切れない領域の存在を世間に問題提起した「市子」をみて衝撃と強い同情の気持ちが起こったが、その問題の部分がこの自主制作映画で凝縮されている。
起きてしまったという過去形のお話そしてそこから
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ブラックドッグ(2024年製作の映画)

4.0

白のMAD MAXと呼びたい
映画のゴビ砂漠の色が白い。そこに黒い犬が映える。
バイクもこの砂漠に似合っている。ホンダのCRFだろうか、軽いオフ車はいいなぁ。

この映画は、ひとりの男と一匹の犬のバデ
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パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)

3.7

金持ち専属の衣装購買係?
面白いコトが見れそうで興味をそそる。主人公のモウリーンが紙袋をいくつも腕にぶら下げながらプジョーのスクーターを駆る。その姿はスマートでないが仕事とのギャップが面白い。
彼女を
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ジュリーは沈黙したままで(2024年製作の映画)

4.0

テニスは孤独なスポーツだ
命のやり取りをする貴族の決闘の趣がある
若くして求道者たるジュリーは強さと純粋さとプライドを強いレベルで併せ待っている(に違いない)

前のコーチと何があったか、無かったか
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海辺へ行く道(2025年製作の映画)

3.7

この映画の見方にはコツがあると思う
ちょっと前に流行った立体視と同じように
脳の認識モードが切り替わるのをじっと待つ
そうしてワンダーアイランドに取り込まれて
身を委ねればいい

ワン・バトル・アフター・アナザー(2025年製作の映画)

3.6

チュパカブラヒルだと?
ポールトーマスアンダーソンの作品は私には全体像が掴みにくい。モチーフとしていることがピンとこず、映画を撮った動機を理解し共感することが困難なのだ。アメリカ人が見る映画を日本人の
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ファンファーレ!ふたつの音(2024年製作の映画)

4.0

筋書きの上手さと、省略の妙たるスパッとキレのいい編集が気持ちいい。キレがいいのに人物の感情変化を描くところでは飛躍が無い。兄弟が親密になっていく過程を見ていると、偏屈な人間でも楽しくなってくる。シーン>>続きを読む

テレビの中に入りたい(2024年製作の映画)

3.2

テレビが茶の間の中心だった時代へのノスタルジーではなく、かつて夢中になったマニアックな番組へのオタクの想いともちょっと違う。
あまり多くの人に理解されない特殊なフェティシズムの告白であり、こんなにダメ
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.0

ソ連の極東はウラ寂しいウラジオストクのほど近く、一応、戦勝国のはずだが住人に覇気はない。
それなのに映画は力強い。
善悪の観念は薄く、力を持つか持たないかが、人間の真理だといわんばかりにソ連的リアリズ
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宝島(2025年製作の映画)

4.0

史実として
県民の4人に1人を殺した米国。
その時、死ねと言いつつ盾にしたあと米国に差し出した日本。
この二者に泥水を飲まされ続けた沖縄の恨みは浅くあるまい。
これまで見聞きして知った事でこのように書
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沈黙の艦隊 北極海大海戦(2025年製作の映画)

4.2

ニューヨーク沖海戦が悪魔的に美しく感じるのは、ストラビンスキーの劇伴が使われたことが大きい。格調の高さと新鮮さが相まって忘れられないシーンになった。
相変わらずのたかおポエムや、テレビでの党首大喜利な
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光りの墓(2015年製作の映画)

3.2

面白いわけではないのにハメられてしまう
魔法使いのアピチャッポン
差し込まれるエピソードには、驚かされるばかりである

ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

5.0

女性と男性で見方が違うかもしれないが
胸がキュンとして、永遠に届かないオードリーに対して恋に落ちること必至。歳をとってから見るとそのような感情に加え、ハメを外しながらも王女という重責を自覚し、自身で気
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アメリカン・ハニー(2016年製作の映画)

3.9

映画のタイトルと一緒の楽曲がいい。
歌のほうはイノセントな内容だが、映画の主人公はビッチの成分が強い。テキサス産アメリカン・ハニーは名をスタァという。見事なキラキラネームだ。

アンドレア・アーノルド
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ワザリング・ハイツ ~嵐が丘~/嵐が丘(2011年製作の映画)

4.0

撮影が超素晴らしい力作
花鳥風月、イギリスの荒れ野の風景が特に魅力的
アンドレアアーノルドの作家性が十二分に発揮されていて、古典に新たな輝きを帯びさせている
見応えがあった

リンダ リンダ リンダ 4K(2005年製作の映画)

4.2

高校の女の子がバンドをやっているだけの
緩いポンコツ映画に泣かされているポンコツだ。もとい、バンドはポンコツのままで終わることはなかった!
20年彼方からスクリーンの力を借りて今に届いた光が眩しい。そ
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遠い山なみの光(2025年製作の映画)

3.9

イギリスで家庭を持つ悦子が故郷長崎にいた終戦直後のことを語った(あるいは語らなかった)私的な掘り起こし系の話。マクロ的には静かな反戦、反核の映画である。
見終えて関心はある仕掛けに向く。
しかし、いつ
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DREAMS(2024年製作の映画)

3.3

薄い日差しの空気感や街の情景
フラッシュダンスの件とかカフェでの対話など、面白いと思った部分もあるが
この映画は少し苦手だ
逐一モノローグで心の動きを説明してゆく手法に
疲れてしまった

バード ここから羽ばたく(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

相変わらず近寄りたくない異常さが漂うコーガン。本作もその存在感を示している。首すじに大きなムカデのタトゥーを這わせ滑稽なくらいのルックでMAD MAX世界のチンピラさながら電動キックボードを駆る。
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.5

バレエダンサー、サンボマスターを養成する?
タルコフスキー劇場
エンコ詰め
チラつかせる娘の存在
コンセクエンスを見直さねばなるまい
付いてなかったっけ?

ふつうの子ども(2025年製作の映画)

4.0

かなり濃い演出でありながら、違和感を感じさせずに子供の世界に軸を置いて撮った傑作コメディ、ちょっとラブコメ
元気で明るいこいつらを見ていると心強い。

脚本のセリフとともに子供達の役者ぶりが凄い。
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エイリアン(1979年製作の映画)

5.0

改めて劇場で見ると、驚嘆すべきは圧倒的な緊迫感に寄与する音響効果と劇伴の使い方だ。

公開当時、劇場はだいたい自由席で出入りも自由だった。アッシュ暴走のシーンで飛び込み、自分はフリーズして見る自信を無
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僕の中に咲く花火(2025年製作の映画)

3.4

親密な人の死の衝撃にとても率直に反応した作品だ。伊丹十三が見せなかったものを省略で済まさないことは、この映画の大きな見どころだと感じている。

自死は重く大きい問題だ
心配を抱える家族も多かろう
塞い
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ベスト・キッド:レジェンズ(2025年製作の映画)

3.4

昔からのファン向けの映画だろう。
見どころは出てくる俳優たちに対する懐かしみに尽きるが、自分はこのシリーズを見ていないのでそれは無い。
それでも、全部言っちゃう浜村淳により、”飛燕一文字五段蹴り”なる
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