kigumaさんの映画レビュー・感想・評価

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ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)

5.0

色を削ぎ落として現れたゴジラの本質

まったく同じ作品なのにまったく印象が異なる作品。
オリジナルを鑑賞した時は少し浪花節な台詞まわしが鼻についた。
しかし色を削ったことで脚本は溶け合い、見事に物語と
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.0

マキタスポーツがただただかわいい。マキタスポーツを愛でるための映画。マキタスポーツがちいかわのように「えいっ!やー!!」と刺股を振り回す癒しの映画。
エンタメはかくあるべし

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

- 最適解

70年前の初代ゴジラがカイジュウ映画のフォーマットをすべて確立してしまった。

子供の時には純粋にvsシリーズを喜んでいたが、思春期に入ると初代ゴジラの伝説をいろいろ耳にするようになり興
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

“知性とは雑音を知る力”
劇中、ショーペンハウアーの言葉として引用されたこの言葉。検索してみると
<優れた精神は騒音を嫌う>
と翻訳されていた。

“偉大な精神が卓越しているのは、持てる全ての力をただ
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

-全裸かと思ったらちゃんと履いていた

「今度のシンの庵野監督は全裸で欲望剥き出し」と聞いていたど、見終わった正直な感想としてはしっかりお盆の下にパンツ履いていた。
確かに学生の時に制作された「帰って
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.7

-無縄自縛-天馬行空-吾唯知足

ひとの心は経験によって作られる。

「こころのかたち」とは、出来事や周囲のひとびとによって作られた凹みや歪みのようなもの。

時には自分がクッキー生地のように感じる事
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.7

[NOT 映画 BUT 空想特撮映画]

驚いた点
ウルトラマンという作品が持っていた「空想特撮ドラマ 」の肌感覚を見事に切り出している事。センス オブ ワンダーの精神、今のロシアでは禁じられている「
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ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

5.0

“自由な人は決して屈しない”

2014年のウクライナ公民権運動を描いたドキュメンタリー。

ニュースで知っていた内容を遙かに超える苛烈さ、残忍さ。歴史は単なる情報の羅列からでは決して分からないと改
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.0

-2021年の神曲(La Divina Commedia)-

怪獣映画とホラー映画は代数と同じ。結果よりも過程が重要。

この映画は分類上コメディだけど、オチよりも過程がホラー。

ローランド・エメ
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宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-(2020年製作の映画)

4.0

-より現実に近い世界-

時間断層の消滅により、戦時体制から戦後体制に移行した世界。

もっとも貴重なリソースである時間のアドバンテージを失った地球は、軍縮、予算制約のある現実に近い世界観となっている
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麻雀放浪記(1984年製作の映画)

5.0

-美しい、ひたすら美しい映画-

これ以外の感想がない。

登場人物達はどうしようもないギャンブル依存症ばかり。

意識高いメッセージもなければ、明確で分かりやすい山場すらない。

でも、まったくケチ
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フューリー(2014年製作の映画)

3.0

[現実味とはなにか?]
CGではなく実物の戦車(ティーガー、M4ez8)を使用。小物類、大規模なセットを含めてプライベート・ライアン以上に凝った撮影が行われている。
しかし、不思議な事だけど、物語にま
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.5

-MSは飾り 実写映画の文法で作られたガンダム-

 原作は未読なので純粋に映画のみの感想。
カメラワークから人物描写から、実写映画の文法で作られた初のガンダム作品だと思う。押井守監督作品でもアニメ的
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

-20年以上心に刺さっていた氷の矢

終幕のあと、20年以上心に刺さっていた氷の矢が溶けた気がした。
これほど旧劇場版が心理的な重しになっていたなんて気がつかなかった。

残虐な描写よりもエヴァの世界
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

5.0

今初代を観て思う。ブライアン・デ・パルマは映画の神


MI最新作から遡って初代まで鑑賞した。

初代を劇場で観た時の衝撃はよく覚えている。さすがに最新作と並べえると古さを感じると思っていたんだけど、
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TENET テネット(2020年製作の映画)

5.0

-ノーラン監督のドラクエ5


タイムパラドクスものは理解が難しい。

大好きなスタートレック・ヴォイジャーにもタイムパラドクスを扱ったエピソードが多くて頭がパニックになった。

知識では補えない、直
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ダークナイト(2008年製作の映画)

3.3

-めくるめく映像美と脚本のミスマッチ

クリストファー・ノーラン監督作品の魅力。それはスクリーンに空間の奥行きを出すカメラワークだと思う。
ウェス・アンダーソン監督のドール・ハウス的、浮世絵的2次元カ
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劇場版 幼女戦記(2019年製作の映画)

5.0

-神の死後、ひとに残されたもの-

この作品のタイトルは(狙ってるとは思うが)損をしていると思う。
このタイトルゆえに敬遠していて、NetflixでTVシリーズを偶然見て驚いた。

戦争を扱う映像作品
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マトリックス(1999年製作の映画)

4.5

-メタ現実は近代ポップカルチャのスクラップブック

マトリックス 今更初見で見た。
この映画はPCショップのデモで再生されていたイメージ。しかし優れた脚本、俳優の演技でめちゃ面白かった。公開年1999
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繕い裁つ人(2015年製作の映画)

3.6

-フェルメールの絵のような美しさ

中谷美紀さんがミシンを踏むシーンのフェルメールの絵画のような美しい露出と構図が目に焼き付く。
坂を場面切替の小道具にしたり、人が座っている位置で関係性をさり気なく表
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俺はまだ本気出してないだけ(2013年製作の映画)

3.5

-映画と音楽

ゴンチチの音楽がとにかく作品にマッチしている。特にシズオの脳内で様々な年の自分が喧嘩するシーン。あれは最高。


シズオを演じても堤真一はやっぱりカッコイイし、本当はちょい役で出ていた
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南極料理人(2009年製作の映画)

5.0

-ことばで伝わらないなにか

沖田修一監督の作品を観たのははじめて。作風がとても好みでハマる。

とにかく台詞で説明しない。役者の動きや表情、動作だけで観客に推測させるのが伝言ゲームみたいで楽しい。引
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

3.0

-ソン・ガンホが支えたもの

「韓国ぐらい暮らしやすい国はない」
作品冒頭のソン・ガンオ演じるタクシー運転手の台詞が印象的。
庶民の偽らざる気持ち「わたしは幸せである。何故ならわたしに不都合な事は起こ
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音楽(2019年製作の映画)

4.5

-そぎ落とされた何かと残った何か

この映画のコアは冒頭三人で最初に演奏するシーン。
あの短いシーンは2001年宇宙の旅の骨のシーンのように象徴的。(あの映画も結局あそこだけ撮りたかったのではないかと
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

5.0

-舞台を見ているような空気感

「ローマ」、「ザ・モーニングショー」は風景、音響、役者が一体となって語るタイプの映画。この作品はまったく逆で、小さな舞台の二人芝居を見ているような役者との距離感。レイ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

-北極星は辿り着けない道しるべ-

スノーピアサーの時にも思ったけど、ポン・ジュノ監督の作品には映画の全ての要素が詰め込まれている。
すべてを二極化する風潮の中で、感情の多面性を大切にする映画が増えて
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.5

-神なき時代の導き手-

新三部作の構成は最初のep4-6の展開をなぞっている。
すべての神話、物語の根幹のエッセンスである「英雄の帰還」を。
スクリーンを見ながら思いだしていたのは「ジェダイの帰還」
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

5.0

- 部分(part)のわたし(i)

都市伝説のたぐいだと思うけど、欧米では中庸の意見は馬鹿にされるという。
「どっちも一理ある」は意見ではなく「わたし(i)の理」が意見であると。
この伝説はしごく真
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ドリーミング村上春樹(2017年製作の映画)

4.0

-村上春樹と読者の平行世界-

長年にわたって村上作品のデンマーク語翻訳に取り組んでいる女性のドキュメンタリー。
「風の歌を聴け」冒頭の有名な一節 "完璧な文章などというものは存在しない。完璧な絶望が
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

5.0

-身の丈に合わせないアクティブシニアがまき散らず銃弾とFワードの快感-

マッドマックスFRを見て血湧き肉躍った感覚を思い出す。
ターミネーターという作品は不思議で、低予算B級SFアクション映画として
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

5.0

-ぼくはビートルズファンが大嫌いだ。だけどこの映画に出てくるすべての人が大好きだ。

ビートルズのファンは面倒くさくて苦手。
・権威主義的で
・マウント好きで
・高慢で
・偏見に満ちて
・了見が狭いか
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

-ひとびとの心の中に静かに熟していく怒りの葡萄-

- 人びとの目の中には、失敗の色がうかび、飢えた人びとの目の中にはしだいにわきあがる激怒の色がある。人びとの魂の中には、怒りのブドウが、しだいに満ち
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天気の子(2019年製作の映画)

5.0

- 転がる石のように -

アニメでしか出来ない表現でありながらアニメという事を一時も感じさせなかった。
周回遅れで「君の名は」を見てその完成度の高さに驚きつつも、好きか?と言われればちょっと考え込む
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記憶にございません!(2019年製作の映画)

4.0

-リメイク版民王を作ったキレイな三谷幸喜-
ドラマ化された「民王」とほぼ同じプロット。しかし「民王」のような強引な展開でも、本作の方が不思議な説得力がある。
三谷幸喜作品らしい「小ネタ」が連発し、それ
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君の名は。(2016年製作の映画)

5.0

- 組紐は糾われそして封印のように解かれるのを待つ

社会現象になっていた時に敬遠してしまい今回初鑑賞。
事前に聞いていた情報も足を遠ざけていた一因だった。
曰く
・(噂)監督は主人公ふたりの感情起伏
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ロケットマン(2019年製作の映画)

4.0

-タロン・エガートンのYour Song-

エルトン・ジョンの伝記映画の形をとっているけど、エルトン・ジョン本人の人生以上にタロン・エガートンという役者の心の奥底を垣間見ることが出来た映画。
フレデ
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