yaさんの映画レビュー・感想・評価

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メランコリア(2011年製作の映画)

3.8

鬱病を題材にしつつも、いつの間にかそれを遥かに超えるスケールの話になる作品。

まず冒頭の、MVのようにバッチリ仕上がったスローモーション映像。そして鬱な妄想ではなくそれが全てリアルになる後半の衝撃。
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8

異国でのバカンスでハメ外し過ぎて、自らのアイデンティティを失う話。

オープニングのフォント・コンビネーションからもうビシバシ溢れ出るヴィジュアル・センス。独自の文字やグロテスクなマスクに至るまでのデ
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.6

ドイツのラッパーXatarの伝記的な実話を元にした、移民ギャングスタ・サクセスストーリー。

窪塚洋介に似た存在感抜群の主人公に、「最初の記憶が刑務所」という圧倒的バックグラウンド。しかも単なる悪さで
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.9

12年毎に再会する幼馴染2人の恋愛映画。恋愛というより、人生におけるちょっとした縁を描いた作品。

別にそこまでドラマチックでもない、どこにでもあるような話。だからこそのリアリティ。

そんな誰しもが
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

原爆の父、そしてアメリカン・プロメテウスと呼ばれたロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた作品。

超大作的な派手さはなく会話劇中心だが、時間軸をズラした演出にサブミリナル的に挿入される閃光や爆発、そ
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

3.8

息子の転落死によりとことん狂っていく夫婦をキリスト教的世界観で描いた話。

まず心を掴まれるのが、ラース・フォン・トリアーのセンスが冴え渡りまくったプロローグの映像美。スローモーションのモノクロ映像に
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燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)

3.8

日本唯一のパリ・オートクチュールのデザイナー、ユイマナカザトさんのドキュメンタリー。ケニアで服の終着点と起源を目撃し、日本で未来をつくり、パリから発信する。

ゴミの山をみても儚い美しさを真っ直ぐ見出
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

砂の惑星デューンをめぐるSF超大作のパート2。

前作から続く圧倒的なスケールの世界観に加え、ドリーミーな砂漠や異質なハルコンネン花火まで、アーティスティックにデザインされた映像がとにかく美しい。
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ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

3.6

あるIT企業の社長「ボス・オブ・イット・オール」を演じることになった俳優と社員達の人間模様を描いた作品。

とことん茶番だけど結構笑えて、意外にもほっこりさせられる。

ビジネスは感情。ガンビーニ好き
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マンダレイ(2005年製作の映画)

3.6

ドッグヴィルの続編、アメリカ3部作の2作目。

未だに黒人奴隷制度が残るマンダレイにやってきても、グレースの博愛主義は健在。但し、環境に染まった集団はそう簡単には変わらないし、変えることが必ずしも正で
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

3.8

毒殺されかけたロシアの反体制派のカリスマ、ナワリヌイが犯人を突き止めるまでを収めた衝撃過ぎるドキュメンタリー。

イメージとは裏腹に、彼の素顔はウィットに富んだナイスガイ。命懸けの状況にも、笑いを交え
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ドッグヴィル(2003年製作の映画)

3.9

ドッグヴィルという村に、美しき逃亡者グレースがやってきたことから炙り出される人間の狂気を描いた作品。

舞台のような簡易的なセットに極めて説明的なナレーションという実験的な構成により、様々な状況に置き
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

切迫詰まった作家が、目の敵にしていた「ザ・黒人の本」を書いてみたら大ヒットしてしまう話。

ポリコレの時流で逆にコモディティ化されたブラック。表面的な差別は無くなっても、深層心理に居座る悪気のない偏見
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コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.6

MI6管理のもとCIAとKGBのエージェントがタッグを組むバディ映画。

ガイ・リッチーらしいスタイリッシュな映像は健在。アリシア・ヴィキャンデルも安定の美貌。

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.5

女性のスパイ小説家がリアルにスパイ活動に巻き込まれる映画。

全体感は、ほぼキングスマン。笑うしかないこってりアクション演出に予想外の展開の連続。とにかくライトでポップな仕上がり。

サム・ロックウェ
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.6

説明不要の、今最もマ・ドンソクを楽しめる犯罪都市シリーズの3作目。

予想を裏切らないワンパン・アクションに決め台詞。マ・ドンソクが無双すればするほど劇場が笑いに包まれる、最早ハートウォーミングな本格
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.7

一代で財を成した大麻王ミッキーのビジネス売却を巡る、紳士(ワル)達の駆け引きを描いた作品。

記者の取材を元にした脚本で進行するという構成が面白く、またガイ・リッチーらしい編集やストーリーをみせながら
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.6

ロンドンを舞台に、86カラットのダイヤモンドをめぐるアウトロー達の群像劇。

当時は無名だったジェイソン・ステイサムやベネチオ・デル・トロ、そして既にスターであったブラッド・ピットと名優が揃い踏み。
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.9

アフガン戦争で通訳に命を救われたアメリカ兵が、命を狙われることになったその通訳を救いに再び現地に向かう話。

アフガン戦争における現地通訳のビザ問題という新しい側面にフィーチャーした、緊張感溢れる骨太
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

朝鮮王朝を舞台に、盲目の鍼師が活躍する政治サスペンス。

とにかく設定とストーリーが秀逸。序盤のゆるい展開に何気なく散りばめられた違和感。その謎が解けてから見せる怒涛の展開。

「見ない」ことが良しと
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

夫の転落死から始まる、謎が解けない法廷サスペンス。

息子の視力が弱いことや複数の言語での会話により、そして揚げ足取りと紙一重の論理で争う裁判により一層見えにくくなる真実。その全然わからなさがリアル。
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

3.6

ギャンブルで多額の借金を負ったチンピラ達とその関係者達のストーリーが絡み合いやがて収斂する作品。

イギリスのタランティーノと言われるのも納得で、随所にUK感がほとばしる。

若かりし頃からブレないジ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

不安症が抱える過度な不安をリアルが悠に超えてくる悪夢のような地獄からの、怒涛の展開を見せる最早理解不能な終盤の地獄。正にキャッチフレーズの悲喜劇オデッセイスリラーの名に相応しい超怪作。

アリ・アスタ
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.8

19世紀に実在した興行師P.T.バーナムの、見世物小屋やサーカスと共に駆け抜けた人生を描いた作品。

正に叩き上げプロモーターというべき、嘘や誇張さえ交えた営業力。偽物であるからこそのし上がったのに本
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.5

スポーツ界最大のスキャンダルの一つと言われている、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を題材にした作品。再現度が高くテンポも良い。

貧困層からのアイススケートで成功とその後の転落具合は、正にアメリカン・ド
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

ダムマネー(愚かな資金)とみなされていた個人投資家達がヘッジファンドを打ち負かしたゲームストップ事件を題材にした作品。

アメリカでの個人投資の浸透具合に加え、YouTubeやSNSの拡散力とコミュニ
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トニー滝谷(2004年製作の映画)

3.7

洋服を買いまくる妻とその夫の孤独にまつわる、極めて文学的な作品。

オープニングからもう坂本龍一のピアノが静かに際立つ。そして絶世期といっても過言ではないレベルの美を放つ宮沢りえ。

「洋服って自分の
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

3.8

レクター博士とクラリスの緊迫した対話や関係性が魅力のサイコスリラー。

映画史に燦然と輝くサイコパスであるレクター博士のキャラクターデザインが圧巻。イカれているのに気品溢るる、まさに原点にして頂点。
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.8

トーキング・ヘッズによる伝説のライブ映画。セットにお金をかけまくっている訳でもないのに、その音楽と原始的な動きは人間の根源的な何かを刺激し自然と体が動く。

タイトル通り、直感的にただ楽しむことができ
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ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

3.4

ダニエル・ラドクリフとエマ・ワトソンの天才子役オーラが凄い。

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.6

外出禁止の子供達のシュール過ぎる日常。

初期作から奇妙さとそのレイヤリング具合は健在。

純粋培養だからこその狂気。オチのスカし具合もシュール過ぎ。

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.9

LGBTQに限らず、自分らしく生きるという壮絶を描いた作品。

第一印象は完全に草彅剛なのに、品のある仕草や独特の話し方でいつの間にかトランスジェンダーとして生きる凪沙に。

「何でオレだけ」を乗り越
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

子供のように純粋な女性が自由を求める冒険譚であり成長譚。他者や世界から学びながら、自分の価値観で正直に生きていく。

まず何より、ヨルゴス・ランティモスのアートセンスが爆発したルック。アンティークとバ
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.7

ヤクザ潜入捜査系ノワール作品。

とにかく野生味溢れる岡田くんのアクションと肉体美が魅力。松岡茉優もセクシーだしキャストが皆ハマってる。

ありがちなようで更に奥行きのあるストーリー展開から、割とあっ
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.5

トラブルが連鎖して本当にもう最後まで走るしかない汚職刑事サスペンス。

葬式も結婚式も年末年始も関係ねぇ!というある意味ツラいお仕事映画。

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.4

売れないYouTuber少女と動画編集ができるストーカーおじさんの話。

YouTuberを通じて描かれる人間の薄っぺらさ。最早全員クズで不快。

嫌いという本音のカタルシスを味わう前にやってくる厳し
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