sukeさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ミカエル(1924年製作の映画)

3.0

耽美的なルックがギリシャ神話的な性愛のプロットに合って神聖みを出している。

アース・ママ(2023年製作の映画)

3.0

人間の強さと弱さの均衡と、その均衡がいつ崩れるかというハラハラ感。
モールの一角にある感じの写真スタジオのイラスト背景と、その前で幸せそうに映る家族のモチーフがいい感じで、それを提供して見つめる主人公
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鶏の墳丘(2021年製作の映画)

3.0

いろんな影響が独自に統合、昇華されて独特な造形センスを生み出している。実写っぽい風景とCGが合成された冒頭のシーンが良かった。ゲームの動きをそのまま切り取ってトレースしたみたいなカメラというかショット>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.5

終始うかない顔をしている主人公。今ここにいることに何か違和感というか場違い感というか窮屈さ、居心地の悪さもしかしたら申し訳なさまでも感じてしまうようなマインドが、中国移民のポジティブさとの対比で引き立>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

PMSの登場人物の行動力。その症状としての行為だけでなく、キャラクターとして、あまりみたことないような次の一手を出してくる。
風を受けて逸れるフリスビーや反射的に放り出す髪の毛など、生っぽいシーンが印
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スケアクロウ(1973年製作の映画)

3.0

弱さを持った男性同士の連帯を描くにあたって、繰り返し描かれるホモセクシュアルの否定。その否定がよりクィアな視点を誘発する。

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.5

映画の中の時間経過と現実世界の時間経過がリンクする。役者の加齢、世界をめぐる情勢の変化、観客の人生の変化などいろいろな変化を映画によって想起させられつつ、過去の記憶をどう捉えるかを、ひたすら続く移動と>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0

切り返しショットと2ショット、そこで展開される会話と視線のやり取りの連続体。退屈になりそうな形式の中で、タイムリミットまでの男女の関係の変化とその吐露によってサスペンスっぽい感じになって注意が持続する>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

映画の歴史の中で、映画そのものと、映画に関わる人と見る人の置かれたアンビバレントな状況を、ザ・テクノロジーのテレビ局や、諦念を持った懐古主義的な編集マンや、記憶のないエンジニア的な元関係者、映像メディ>>続きを読む

月曜日に乾杯!(2002年製作の映画)

3.5

一筆書き的にフォローする対象が移り変わる郊外の村でのカメラワークはコミュニティの共時性、やり取りがなくとも同じ場所にいる空間のリアリティにつながる。
一方でベニスのワークは人物から風景、人物から別れる
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.0

近未来の予知によってどのようにマッチョな敵を倒すのかという興味は見るモチベーションを持続させた。マイノリティ・リポートの様に装置を用いない脳内イメージとしての予知としてのビジョンの映像表現をいかに面白>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.5

予告編というポジションがおもしろい。
いろんなイメージの集積が、頭の中を覗き込んでいる感じがする。またそこから戦争と闘争の近現代の人類史が立ち上ってくる。

リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

4.5

イメージとして作り上げられた郷愁を掻き立てられる。自然とそれに対峙する人間の美しいショット、光。静かで深い家族の愛に感動する。

軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)

3.5

他者との関係性の中でどうにもならない欲望、願望に対して悶える様が、表現における同様の葛藤と重ねられる。大胆さを感じるこの映画自体のつくりが、同テーマでもがいてるような印象を与える。

エマニエル夫人 4Kレストア版(1974年製作の映画)

3.5

背景として映し出されるタイの風景の数々が観光写真の感があり、美しさもあるが、トータルでオリエンタリズムみがすごい。

行為の途中でのカットなど、描き方が独特。思いの外、性を自由の希求や個人の解放という
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11×14(1977年製作の映画)

4.5

映画の可能性をあらためて探究するかのような、古典的な作品みたいな視聴覚的な刺激に溢れている。
モノをモノとして捉えるような、写真表現で行われていたような運動に通じる被写体との距離感を感じさせる大胆な構
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アレンズワース(2022年製作の映画)

4.5

初っ端から静止画かと思うような変化の地味なショットをかましてきて、画面にのめり込ませる。派手な動きが無いからこそ、わずかな変化や痕跡を通してそこに流れる時間や被写体が示す過去や現在、未来、そしてショッ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

歴史に対する罪の意識や責任の所在。過去と現在を映像で繋げ、確かに存在したとされる事実を説得力のある映像で描き、サスペンス、ミステリーの謎解きのストーリーとともに藪の中的な、不確かな、人間同士の関係の中>>続きを読む

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

3.5

補色の関係や一人二役を用いて、イタコ芸的に母との同一化によってその存在の謎を解き明かし、映画の題材にしようとする映画監督。その同一化がかなわないものの、結果として自分とは異なる、理解しえない他者として>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.0

画面内外への人の出・はけのさせ方がどのシーンも凝ってて印象的。そして色や構図などがすごい良かった。ポートランドの美大を舞台にしていたのがまた絵面の良さに一役買っていて、またその街の雰囲気も表しているよ>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

3.5

特定のポイントごとに逆行する語りが、前に見たシーンの種明かしと新たなフリの提示になっているが、単にその羅列や繰り返しではなく、韓国の政治的な大きな変化やそれに翻弄された国民のトラウマを丁寧に遡っていく>>続きを読む

スライス(2018年製作の映画)

3.5

70年代のブラックスプロイテーション映画へのリスペクトを感じる作風。
そもそもの70年代映画群ではなく、タランティーノとかからの間接的な影響というか、国内逆輸入みたいな文脈でこういう新世代のアーティス
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ロー・タイド(2019年製作の映画)

3.5

フレッシュ。見やすい。サスペンス要素強めで舞台設定もおもしろい。少年性というか青春性、カミングオブエイジ感よりも、若者たちの駆け引きがよかった。

オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

3.0

とにかく美しいショットとポエティックなテーマと構成。トニ・モリスンの文学性に通じるような、ブラックコミュニティとその文化の、これまで描かれていなかったような切り口でのアートへの昇華の仕方という感じで、>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

3.5

ペインティングのタッチを残したアニメーション。アクションとマッチしていてかっこいい。アメリカのティーンカルチャーが嫌味なく盛り込まれていて、お馴染みの悪役達と共闘するのも熱い。

イコライザー(2014年製作の映画)

3.5

市民としてのあり方が問われるというか、CIAやFBIみたいな間接的に庶民に関わる政治活動としてのスパイみたいな、他人事みたいな距離感ではなく、そういう世界観を生活に接着していく感じが新鮮だった。そのギ>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

3.5

007みたいなスパイもの、という雰囲気が一気に出てきたが、デンゼルワシントンの凡人面や、エージェントの素の生活を多めにつなげていくことで、スパイもののおもしろさを保ちつつ、イコライザーらしさみたいなも>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.5

アメリカ国外に出ても、世界を飛び回ることなく土地に根を下ろそうとするところを描くのがシリーズらしい。あらためて、市民生活の脅威と排除が、市民によって行われるみたいな、アメリカ感がいまアメリカンクラシッ>>続きを読む

Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)

4.5

ブラック・クィア、多様性を視覚的に示した観客のインサートの反復や、コミュニティ、ルーツ、フェミニズム、カルチャーへのリスペクトを表現した演出など、アルバム「RENAISSANCE」のコンセプトに忠実で>>続きを読む

少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

3.5

背景と乗り物、乗り物の上の人間など、異なるスピードの層がスクリーンに重なって、年齢による世界の見え方であるとか自己と他者との違いであるとかにまで思いを巡らせてしまうような気がする。

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

3.0

面倒くさい人間関係の押し引きが凝縮されている。その面倒臭さに真摯に向き合うわけでもなく、なんとなく諦めというか適当な感じのムード。そしてそれがその時代の政治的なムードにも感じられる。

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.5

魅力的なニューアジアの世界観。エスニックな手触り感あるテクスチャーと無機質なマシンの融合がすごいアートと、それを全編通して本物らしく登場させる技術、視覚効果が見どころあった。

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)

3.5

説得力のある映像で、泥臭い戦争の現場を描く。構造や構成も含めて端正な仕上がり。

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

オープニングやエンディングのコント的な荒唐無稽さとは裏腹に、男女のキャラクターを通して描く比喩や直接的に挿入される音声や映像など、非常に政治的。その総合的な表現がかっこいい。

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.0

スイッチアクションがビデオゲーム的発想でおもしろいギミックだった。主題的に当然なのだろうけどバイブスが多重人格的すぎてとっつきにくかった。ドラマ版やこれまでのシリーズで積み上げてきた物語が結節すること>>続きを読む

バルドー/ゴダール 2Kレストア(1963年製作の映画)

3.0

ひたすらに重なるイメージの連続体の中で、スター俳優のふわふわとした、存在するようで存在しない虚構の像を作り上げる。