やまもとしょういちさんの映画レビュー・感想・評価

やまもとしょういち

やまもとしょういち

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.2

『ブラックパンサー』以来、MCUの新作は公開初日に観るようにしていたけれど、自覚している以上に気持ちが離れているのか、今回は公開後2週間以上経って劇場へ。

ドラマシリーズとしては大傑作だった『Ms.
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.1

2回見た(2023/11/01、2023/11/11)。記事とポッドキャストを作りました。感想・レビューは次に見たときに書きたい。

▼なぜ『ゴーストワールド』は20年以上の時を超え、愛され続けるのか
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ブリング・ミンヨー・バック!(2022年製作の映画)

4.0

記事を作りました。

▼民謡クルセイダーズは、いかにして世界の聴衆を踊らせるに至ったか。海外から向けられる視線を受けて語る
https://www.cinra.net/article/202311-m
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.9

記事を作りました。

▼音楽の正体は劇薬——ROTH BART BARON×岩井俊二対談。A_oから『キリエのうた』へ至る「歌」と映画の話
https://www.cinra.net/article/
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.8

前作未見、特に俳優への思い入れもなく何となく見た。

何も考えずとも、ぼーっと見てても話が理解できて没入させられるところに本作のすごさを見た気がする。トム・クルーズという華がありすぎる初老男性を中心に
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スケッチ・オブ・ミャーク(2011年製作の映画)

4.2

2023/09/09(1回目)
音楽のドキュメンタリーには、「映ってないもの」がよくあるのだけれど、この作品は捉え難い「歌」の本質のようなものに触れている感覚があって、ものすごく惹き込まれてしまった。
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.0

取材用に2回、オンライン試写で見た(2023/07/04、2023/08/07)。

恐怖とは何か、どこから来るのか、ということを考えさせられた作品だった。

フロイトは「不気味なもの(unheiml
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バービー(2023年製作の映画)

4.8

この作品を通じてグレタ・ガーヴィグやろうとしたことには、100%同意したいし、120%の意思をもって自分のものとして受け止めたいと思う。素晴らしい映画だったと思う。

まず序盤、サーシャがバービーに言
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ブレイブ ストーリー(2006年製作の映画)

3.9

このごろはとにかく暑すぎて、アスファルトの反射熱の厳しさに地球温暖化などさまざま思いを巡らせながら「決意の朝」を脳内再生してしまうことが増えたので、10代のとき以来に鑑賞した。当時は原作も読んだ気がす>>続きを読む

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

3.9

オンライン試写にて。軍隊という特殊な状況でブラック・クィアの困難が際立ち、また他方でセクシュアリティと関係なくひとりの人間、ひとつの命として同胞を思う気持ちとして主人公フレンチが尊重されるという、クィ>>続きを読む

ワイルド コンビネーション:アーサーラッセルの肖像(2008年製作の映画)

-

DVDを購入したので繰り返し見ることになるでしょう。

▼1回目(2023/06/28)
ヒッピー世代がゆえにそもそも東洋文化に関心を持ったり、しかもそれが高野山に行ってみたいと両親に手紙を書くくらい
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

さまざまなレイヤーで理解して楽しめるようなわかりやすさを担保していながら、物語として抜群の強度を誇る素晴らしい作品だった。パンフレットもまだ販売されてなかったり、そもそも情報が少なすぎるので作品を観て>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.9

すごくおもしろかったし、何度もグッときたのだけれど、スパイダーマンに対して自分がたいして思い入れがないということをまたしても実感させられた映画だった。

サム・ライミ版もアメイジング〜も見ずに『ノー・
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

縁あってオンライン試写で拝見。PCの画面だからってことでなければ、霧がかった京都を少し緑がかった色で捉えた映像のテクスチャーにまずグッときた。

時間モノ、ということ以外はあまり情報を入れずに見たのだ
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怪物(2023年製作の映画)

4.2

有害な男性性、および家父長制的価値観が隅々にまで行き渡った社会の害悪、日本社会の現状を、是枝裕和がドキュメンタリストとして手腕を発揮しながら、映画的手法を駆使して昇華させた映画作品、というように観た。>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

20年前のビデオの映像と現在を対比的に重ねていき、父と娘の関係を描き出すのかと思いきやまったく違ったので驚いた。説明的な(「言語的」といっていいかもしれない)描写はほとんどなく、実験映画的で、詩的な映>>続きを読む

サン・ラー ジョイフル・ノイズ(1984年製作の映画)

-

P-FUNKやリー・スクラッチ・ペリーの宇宙船、デトロイトテクノ、あるいは冨田勲、もしくは一部のアンビエントミュージックなど、「宇宙を志向する音楽」を考えるにあたって、その源流たるサン・ラーについてよ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

完成試写にて。フェーズ4以降の作品でぶっちぎりによかった。

まず、不完全でどこか破綻していることをそれぞれに引き受けているガーディアンズの面々(ここでは主にロケットとピーター・クイル)に重ね合わせる
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マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

3.9

『vol.3』に備えていまさら見た。あってもなくてもどっちでもいい、という感じがむしろよかったし、泣けた。キンゴの看板が映っていたけど、『エターナルズ』とつながっていく伏線でしょうか。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

物語の中身だけで判断するとかなり厳しいのだけれど、奇妙なカメラ位置からの異様なアングル、バストアップを多用したショット、カット割りから滲み出るアングラ映画感や映像のテクスチャーそのものに通底する美意識>>続きを読む

オー・ブラザー!(2000年製作の映画)

4.1

これはMCU以前の「アメリカ神話」なのかも。

見落としている膨大な小ネタがあるのだろうなということをまず思いつつも、ロバート・ジョンソンのクロスロード伝説など超有名どころを筆頭に、ベビーフェイス・ネ
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.9

「蘇りし者」という副題、時折差し込まれるキリスト教の話が多くを物語っているのだろうけど、アメリカ原住民やその他諸国に対する帝国主義的なアングロサクソン人の「罪」をすべて請け負うかのように、レオナルド・>>続きを読む

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

3.6

壮大かつ長大な作品にも関わらず、ある部分では詳細に、またある部分では省略気味に描かれていたことにより、絶妙な物足りなさを感じる作品だった。

中国王朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の第二次大戦後とその回想と
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

テクノ・オリエンタリズム的表象の現在を確認したくて視聴。大枠でもディテールでも未だに日本は誤読されまくっていて、半分以上は「ハイテク中華」的なニュアンスの方が近いように感じた。

路地裏や東京駅はデタ
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Love Is the Message:A Night at the Gallery(2014年製作の映画)

3.9

1970年代のニューヨークに存在した伝説的なクラブ「The Gallery」のドキュメンタリー。当時の映像と関係者へのインタビューで構成されているが、前者に比重が置かれている点がドキュメンタリーとして>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

舞台は2000〜2001年(推定)のイラン、イスラーム教シーア派の聖地・マシュハド。娼婦を狙った連続殺人鬼を追う女性ジャーナリストを主人公にした本作は、社会に搭載された女性蔑視的な価値観を炙り出す…と>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.8

試写にて。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の世界観とはある意味では真逆にあるような、大学でライティングを教える超肥満体で白人中年ゲイの自宅というごく閉ざされた場所で展開する物語。>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.3

あまり韓国の映像作品を見るほうではないですが、演出やショットの鮮烈さにとにかく驚かされ、「これは日本の映画のいいラインでも見劣りしちゃうかも…」と思わされた。

メロサスペンスといっていいのか(?)、
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.8

サノスに次ぐのであろう大型ヴィランとしてカーンが本格的に描かれたフェーズ5の幕開けとして、極めて重要な位置を占める作品のはずなのに、過去のMCU作品で最低クラスの作品のような気がした。

意図的であっ
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.3

試写にて。感情的な反応としては酷く混乱させられ、ある部分で決して快くない気持ちにさせられているにも関わらず、この映画作品を目の当たりにできた喜びは計り知れない。安易な共感や理解など、すべてビリビリに引>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

試写にて。ひと言で言えば、アジア人家族による荒唐無稽なインフィニティー・ウォー、といったところだろうけど、制作側も明らかに意図していたように、普遍的な母と子、父と子、夫と妻という家族(もっと視点を広げ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.9

音の存在を感じさせる映画だなと思った。ろう者のボクサーであるケイコを通じて、音の存在をあぶり出すように、私が自身の社会的属性を理由に普段無自覚でいられていること(さまざまな生きづらさ)を見せられたよう>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

『SLAM DUNK』という作品に対して、正直それほど思い入れがあるわけでもなかった(20年前、小6くらいのときに一度だけ全巻読んだレベル)のだけれど、開始数分でなぜか、本当になぜかボロボロと泣けた。>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.6

アニメーションというフォーマットで、芸能〜伝統文化からポップカルチャー(あるいは都市伝説)までを含んだ「日本文化」を超ハイコンテクストに提示した作品として観ました。めちゃくちゃ面白かった。

詰め込ま
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