YukiSanoさんの映画レビュー・感想・評価

YukiSano

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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

魂の救済にまで辿り着いたダーレン・アロノフスキー監督作。

太りすぎて歩けない男が最期に罪を贖う物語。モビーディックと化した主人公が、自分のせいでエイハブ船長になりそうな娘を救おうとする。

アロノフ
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アテナ(2022年製作の映画)

4.0

現代社会のギリシャ悲劇。
フランスで起こる暴動をリアルなドキュメンタリーを見ている気分にさせながらマッド・マックスのような味付けをした社会派アクション映画。

1カット撮影が凄まじくハリウッド映画のよ
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.9

発達障害であろう あみ子をとても前向きで残酷に切り取った日常。

全然、空気が読めない あみ子が起こすトラブルにハラハラしっぱなし。

家族全員が、あみ子と向き合わず崩壊していくのに、あみ子だけは明る
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.1

火と水が恋に落ちるファンタジー映画。
しかし実際には、韓国系・アメリカンの実録移民物語。

ピーター・ソーン監督の両親の話をベースに繰り広げられる異文化との摩擦、偏見、差別、融和が火・水・土・風に置き
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.0

ウルトラ・シンプル イズ ベスト映画。
黄金を掘り当てた元最強の軍人が荒野でナチスと戦う、というだけのストーリー。他にはない。

主人公は全く喋らない。

何も話さないが、その顔つき、肉体、古傷、動物
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.5

MCU随一の珍作。
ラブ&サンダーより変。

MCUの輝かしい経歴を大爆死させた問題作なのだが、それも納得の混乱した内容だった。

3人の女性ヒーローが入れ替わるから混乱してるのではなく、作品のスタン
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PIG ピッグ(2021年製作の映画)

4.2

凄い。予測不可能な豚探しの旅路。
見つかったものは果たして…

森で暮らす孤独なトリュフハンターのニコラス・ケイジの飼っている豚が奪われ、探しに行く物語。「マンデイ 地獄のロード・ウォリアー」以来のニ
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.4

ゆるすぎ殺し屋バトルの第二弾。

前作より ゆるくなって登場。

JKの殺し屋の日常という新鮮な設定で人気を博した前作からフリーターになった2人のだらけきった殺し屋ライフを見せる。

恐らく殆どアドリ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

スパイダーマンとは何なのか?を考察するシリーズ第2弾。

マルチバースを流行らせたスパイダーバース第1作から「ノー・ウェイ・ホーム」が現れ、MCUまでマルチして.たった数年で何1つ新鮮味のない設定とな
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.3

キリスト教=白人がやってきたこと。
それは侵略と搾取の歴史。
つまりアメリカ合衆国のこと。

スコセッシの永遠のテーマである信仰心と暴力がそこに重なっていく。

その行き着いた先で、キリスト教が殺して
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

人間なんて1度動物に戻ってやり直せば良い、と本気で思ってそうなヨルゴス・ランティモス監督作。

野蛮と無垢なる人の境界線はなく、愚か者と賢者も等しく醜い。動物から人間に進化するのか、人間から動物に退化
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

フランケンシュタインが女性だったら篇

フランケンを女性に置き換えて、さらにその女性原作者の生き様を投影したフェミニズム映画。

のように見えるけどランティモスが今まで描いてきた、野蛮で無垢なるものか
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.1

アクション映画の玉手箱。

単なるジャンル映画から、アクション映画の見本市にまで出世した稀有なシリーズ。最初は二千万ドル程度の小作品だったのに最後は一億ドル近くかかっている。興行成績も回を重ねるごとア
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.9

ギャレス・エドワーズの集大成。
デビュー作以来のオリジナルSF映画。

ギャレスはゴジラで核爆弾を礼賛するかのように見える描写をしてしまった後、スター・ウォーズ ローグ・ワンでは核爆弾反対的な描写があ
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.1

史上最も正しいヴァイキング映画。武器、布、住居、など1000年前と同じものを揃えた美術が異常なリアリティを与えている。

その時代のヴァイキングの価値観や宗教観を徹底的に研究・再現したようで、異様な価
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

車とセックスする殺人鬼が聖母になるまでの物語。

一切、予測不能のストーリー展開と激痛描写のオンパレードで脳味噌を痺れさせた後に、じっくり父と子を超えた愛の物語に変容していく。

罪人が聖母であったり
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.6

ディビッド・フィンチャーは10代の頃、初恋の人のように憧れた人。エイリアン3、セブン、ファイト・クラブに恋い焦がれてしまった。

そんなフィンチャーと「セブン」の脚本家アンドリュー・ケビン・ウォーカー
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.0

お仕事哲学ムービー。

ほとんど会社の中だけで1週間のタイムループを何十回も見せる低予算映画の決定版。

しかし、日本のサラリーマンに向けて笑えて泣けるお仕事映画として、よく練られている。

また来て
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.9

スーパーインフレ映画、原点回帰。
そして監督なんていらない映画の爆誕。

正直、ブライアンのいないシリーズになってからクソB級映画でもやらないネタばかり連発してスケールアップと反比例して知能指数ゼロに
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.3

メタを超えて自分と重なる映画として至高の娯楽ムービー。

2023年を代表する超ヒット作。
バービーとスーパーマリオだけが10億ドル超えを達成した。2つの映画の共通点は異世界お仕事ものであること。
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.8

時代の終焉を伝える最終作。
主人公の衰えとシリーズの衰退とハリウッド活劇の終焉の全てをメタ的に表現しているかのようだ。

スピルバーグからバトンを受け継いだ男はジェームズ・マンゴールド監督。死に行く男
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僕が跳びはねる理由(2020年製作の映画)

3.9

自閉症の人々の見ている世界を体感させるドキュメンタリー。

マクロレンズの狭量な美しい描写と、彼らの敏感な耳を再現する音響で、新しい世界を垣間見たかのような感覚になる。

日本人の自閉症の人が書いた原
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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

3.6

活劇の魂を忘れてしまった続編。
だけど嫌いじゃない。

スタントマンの大活躍と斬新な特撮の融合が最高だったインディアナ・ジョーンズシリーズがCGまみれになって帰ったてきた。

しかも禁断の家族ものとな
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

4.4

スピルバーグ、父を許す篇。
それとも許したのはルーカスなのか?

エディプスコンプレックスの権化スピルバーグ&ルーカスによる、個人的な想いを凄まじいエンタメに昇華した傑作。

どちらも大人になって、父
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

マエストロは貧乏ゆすりを許せるのか?

ARTの権化であるTARがすったもんだで、ある結論に至るまでの物語。

男性的なエゴを振る舞う家父長制度の権化でレズビアンという矛盾を孕みまくったキャラクターT
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.9

永遠の0+朝ドラ×ゴジラ=−1

日本映画の悪い所を全て再現する男、山崎貴監督が遂に満を持してゴジラを監督する。

シン・ゴジラが封印した日本メジャー映画の大仰な演技と泣き&泣かせ演出のツルベ打ち。こ
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

私はかつて、ボランティア兼ドキュメンタリストとして東北被災地に3年間ほど滞在し、後に広島や熊本など被災地を巡った。

ドキュメンタリーを作るものとしては被写体と程よい距離感が必要なのだが、現地に住んで
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タンポポ(1985年製作の映画)

4.4

ラーメン・ウェスタン
奇跡の傑作。

寂れた女性ラーメン屋を1人前にするために集まったラーメン道を極めんとする男達の物語。

そして、その本筋とは関係のない食にまつわるエピソードの数々。シュールなはず
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バレリーナ(2023年製作の映画)

3.4

プロミシング・ヤング・ウーマンをジョン・ウィック化したみたいな話。

シスターフッドなアクション映画として時流に乗った設定で、見え見えなイマドキ映画だが女性の奴隷化がけっこう心に来る悲惨さ。

韓国映
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.4

スティーブン・スピルバーグとは、自分の作品の中で自分と対話する男である。

最近では「レディ・プレイヤー1」という作品で、若い頃の自分と現在の自分となるキャラクターが互いに話し合い助言するという奇妙な
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

3.4

空のダイ・ハード+モンスター

太平洋戦争中に極秘指令を受けたと言う女性兵士を乗せた航空機に襲い掛かる謎の影と日本軍。彼女が抱えた秘密とは?

と、ここまで書くとスパイものと思うが、実は密室ホラー戦争
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.7

巨大な宇宙人に飼育されている人類を描いたカルトSFアニメ映画。ダリが描いたみたいな風景の中で淡々とシュールな地獄を見せられる。

ペットにされたり、害虫駆除的に間引かれたりしてる人類を見ているだけで胸
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白鳥(2023年製作の映画)

3.5

ウェス・アンダーソンの朗読型短編映画シリーズ第二弾。

もう「フレンチディスパッチ」で開発した映画の形をした『本』を印撮することにしか興味を持てなくなったかのような独走っぷり。

第四の壁を超えるカメ
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.8

世界で1番オリジナリティがあるかもしれない映画監督ウェス・アンダーソンがNetflixでやりたい放題やった短編映画。というか映像絵本。

ベネディクト・カンバーバッチがドクターストレンジみたいな胡散臭
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

バカ映画史上初のアカデミー賞総ナメ映画。

おバカなのに哲学。
形而上学的にチ◯コ丸出し。
深いのか浅いのか分からない難解さと単純さ。
エンタメとアートの融合にバカを振りかけたら出来てしまった唯一無二
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

映画史最後の活劇映画シリーズ。
活劇映画と呼ぶに相応しい映画は今は年に何本見れるだろうか?

かのインディ・ジョーンズがCGまみれになり、スーパーヒーロー全盛期になって、純活劇映画と呼べるのは、この「
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