YukiSanoさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

アルファベット(1968年製作の映画)

3.3

ディビッド・リンチの邪悪なEテレ。
歌のお姉さんが悪夢のABCの歌を血塗れで歌ってくれる。アニメ部分など60年代とは思えないほどに斬新。

ツインピークスreturnが凄すぎて、リンチ熱に浮かされて観
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インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

3.3

リンチの無限悪夢。
何重層にもなっている構造でメタ的要素満載で混乱する。

ミニDVで撮られ、音声なども素人レベルな時もある自主映画に近い作り。リンチが思い付いたら好きな時に俳優呼び寄せて撮り上げたと
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テイク8(2015年製作の映画)

3.5

カメラを止めるな!を早く観たいのに観れない状態なのでYouTubeで監督の短編を観る。

カメ止めを観てないから何とも言えないけども、メタ構造の物語が効いていて面白いのが特徴。

映像的に安っぽいし、
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.7

信仰心とリビドーいわゆる勃起力との葛藤の物語。

これはブギーナイツやマグノリア、ゼァウィルビーブラッドでも描かれた狂気と自己のぶつかり合いと、父性への憧憬と別離が描かれている。

ポルノやカエル、石
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インポッシブル(2012年製作の映画)

4.0

災害体験映画。
体験するのは津波そのものよりも、家族を失う恐怖や、避難所での絶望的な状況、そして人々の優しさと希望。

阪神淡路大震災の体験や東日本大震災の時に長いことボランティアで関わったりした身か
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アイ・オリジンズ(2014年製作の映画)

4.0

瞳に宿った魂を追う、切なくも美しい物語。

何の予備知識もなく見たので展開に面食らったスピリチュアルSF。

作家で女優ブリット・マーリングが気になりすぎて観賞。アナザープラネットの監督らしい内省的な
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ザ・イースト(2013年製作の映画)

3.7

作家性を持つ女優ブリット・マーリング主演。自ら企画し脚本を書くこだわり派の彼女が気になる。

彼女はSF的題材を使ってスピリチュアリティを探求する作家のようだが、このイーストは環境テロリストに潜入する
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悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.8

昼ドラ+超バイオレンスアクション

スタントアクション映画の歴史に新たなを足跡を残す超絶アクション映画。ヒロインもカメラマンも生きているのが不思議なレベルで文字通り体当たりしてる。

同時期に出たアト
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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

フェチズムの足りないスターウォーズ。

このシリーズは監督による何らかのマニアックなこだわりが偏って変なバランスになるシリーズだと思っている。メカニズムよりだったり、フォースの描き方だったり、政治的要
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美女と野獣(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

定番のディズニーもの。
興味ないのに家族のために借りたら、誰も見ないから一人で見た…

ところが凄まじい作り込みと飽きかけたら仕掛けてくる歌と踊りで目を離させない。これが超一流の仕事なのか、と感心して
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アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ソナチネの高齢者リメイクバージョン。

一作目の残酷ギニョールから、二作目は仁義なき戦い、三作目はやはり自己回帰。

ブルーが抜けた北野死生感。
何度も見た、あの風景へ最終的に回帰した時にアウトレイジ
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デッドプール2(2018年製作の映画)

4.5

ハリウッド版ポプテピピックなのに、愛と感動の超大作でもあった!

まさか、こんなに笑って泣けるとは!
期待してなかったので不意を突かれた。

前作のXmenメンバーが絡むと途端に漫画っぽさが出すぎてデ
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GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)

3.1

意外と拾い物なSF映画になっていた。動画配信サービスで暇潰しに見るのに最適な感じ。

こんなゴジラがあってもいい。昔、ゴジラをテーマにした短編漫画集を持っていたが、あれと同じようなノリを感じる。

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アウトサイダー(2018年製作の映画)

2.4

素晴らしい美術や衣装と時代考証で見せられる戦後日本。まるで深作監督が復活したかのような迫力の演技を披露する日本俳優陣。

これは凄い時代の日本映画の復活か‼と思わせておいて、凄まじいコケっぷり。脚本が
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クローバーフィールド・パラドックス(2018年製作の映画)

3.1

物凄く面白くなりそうなのに、どんどんこんがらがって行くSF。

クローバーフィールド・ユニバースに共通している抜き身の刃物みたいなヒリヒリ感がないので、ハラハラもせずに状況を理解することばかりに頭がい
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オクジャ okja(2017年製作の映画)

3.7

とても不思議な映画。
韓国の少女が巨豚を救うためにアメリカに乗り込む大冒険ムービー。

韓国映画とハリウッド映画のハイブリッドなのは間違いないのだけど、今までの既存の商業映画とは、在り方が違うと感じた
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.6

瑞々しい子ども時代から大人になる、ちょうど狭間の一晩を描いた青春映画。

何かが起こりそうな予感に満ちていて、不安になる焦燥感がある。これからホラー展開になるのかとドキドキしてしまうのは、監督がイット
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

4.0

凄まじい多幸感。

口コミで広がって超ロングランしてるので全く興味なかったけど観てみた。GWの1日ってこともあるだろうけど、半分くらい劇場が埋まっていて、その人気ぶりに驚かされた。きっと何度も足を運ぶ
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グーニーズ(1985年製作の映画)

3.5

レディ・プレイヤー1を観たので、スピルバーグが残した遺産を見直そうと思い、ストレンジャー・シングスとセットで一気見。

はるか昔に見たが、恐らく幼稚園か小学生低学年でだったためにスロースしか覚えてなか
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.6

魂が震える傑作。

韓国の民主化運動が激化した1980年の光州にタクシー運転手が観客を案内するという構成が上手すぎて拍手したくなった。最初は寅さん風の人情喜劇なのに途中から社会派映画になり、最後は涙な
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アナイアレイション -全滅領域-(2017年製作の映画)

3.8

アレックス・ガーランドの人類補完計画。

2001年宇宙の旅にタルコフスキーとクローネンバーグを足したような難解SF。

一見すると遊星からの物体Xな設定を、美しい映像と抑えた演出で補って芸術映画に昇
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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

アベンジャーズでゴッドファーザーをやる。
ルッソ監督の言葉だ。

これはドン・コルレオーネのような悲しみと愛憎がスクリーンに刻まれる王についての物語。シェイクスピアのように荘厳に描かれた歴史絵巻に近い
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.0

娯楽の神様スピルバーグによる自己分析、自戒、自画自賛がひしめき合う映画。

この作品を他の人が撮れば80sカルチャーへの憧憬と批評になるが、スピルバーグが撮ると意味が全く変わってくる。彼の脳内と人生の
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マザー!(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

宗教ホラーでコメディ。

旧約聖書を書いた創造主がスランプに陥ったため、創造のミューズを使って新約聖書を書いてキリスト生誕までを遂行する物語。

メタファーしかない話で、家そのものを演劇ばりに世界の縮
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.9

ホラー版ドラえもん、
みたいな良作ジュブナイルもの。

いきなりオープニングの子ども腕チョンパで心を鷲づかみされてから、恐怖のジェットコースター行き。子どもにトラウマ与えるなら最高の映画。

これはス
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

人種差別ホラーという新ジャンル。

公開当時に見逃したため期待と予測が膨らみすぎていたので、あの展開には良くも悪くも戸惑った。実はホラー風味なだけの社会派ブラックコメディだと思い込んでいたために、案外
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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年製作の映画)

3.8

インフィニティウォーに備えて2回目の観賞。

というか内容を覚えてなかったので再確認。今見るとブラックパンサーのヴィブラニウムなど、この頃から伏線がしっかりしてて驚いた。

第2弾ともなるとインフレ感
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アベンジャーズ(2012年製作の映画)

4.0

漫画映画の正しい実写化。

いまだ、かつて誰も達成したことのなかったヒーロー集合ものの傑作となった。ウルトラマンも仮面ライダーも集合するまではワクワクしても最終的にはクソ映画になるというジンクスがあっ
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バイオハザード:ザ・ファイナル(2016年製作の映画)

2.1

完結編ということで、破綻してるシリーズだと認識しながらも見てしまう。

すると不思議なことに前作で活躍していた面子が出てこない。内容を記憶することが難しいくらいにスカスカなので一作見忘れたのか、内容を
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アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)

3.7

センス良すぎるスタイリッシュ映画。
サントラが素晴らしい。

とにかく全部が絵になる女、シャーリズ姐さんの素手喧嘩を全身で感じることが出来る。中盤の階段落ちからカーチェイスまでを1カットで見せる所はア
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聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)

2.9

テレンス・マリックのオ⚫ニー映画。

素晴らしい撮影にオスカー俳優と美女が出ていなければ、単なる学生映画と変わらない。

恐らくアドリブで演じてるであろう名優たちの演技が健気で可哀想になってくるぐらい
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.8

ハリー・ポッターと死の放屁

美しい哲学映画。
生きる希望を探す死体との心の旅路。
性に目覚めて生を目指す。

希望を見出だした死体は、ジェットスキーやヒゲソリ、コンパス、鉄砲、火炎放射、など様々な力
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

4.0

ヒーローとは何か?
ヒーロー映画の役割とは?

常に時代と共に揺れる正義の価値観。

ヒーロー映画とは、誰のためにあるのか?

それは子ども達のためであり、また虐げられた人々を鼓舞するためにある。
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散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.5

和製SFの秀作。
凄い面白いアイディアの脚本だった。

大学生の頃に黒沢清監督にハマって観まくってたのにドッペルゲンガー以降から、何となく見ていなかった。しかし彼がいつも意識しているジョン・カーペンタ
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猿の惑星:新世紀(ライジング)(2014年製作の映画)

3.6

知性とは何か?
叡知とは何なのか?を問いかけてくるSF映画。

始めに怒りに満ちた瞳から始まるこの作品は知性を得た猿が平和に暮らしている所から、やがて人類との戦争に至る。

分かりやすく歴史の中で戦争
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エル ELLE(2016年製作の映画)

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何だこれは…?
今まで観た映画の中でも最も感想に困る映画。冒頭の淡々としたレイプシーンに頭を殴られたような衝撃を受けてから、ずっと混乱の渦に巻き込まれる。

常識や偏見を覆されまくって、善悪という二元
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