寿司さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.5

スリリングなエンターテイメントかと思いきや、結局だれの味方にもならない突き放し方に、映画のもつ「優しくなさ」を体感するハメになりました。そうきたか〜〜〜。

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール(2017年製作の映画)

3.6

満たされないものの埋め合わせとして周りを巻き込んでドラマを求めてしまう、狂わせガールの気持ちも分からなくないんだよな〜

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.9

ひとつひとつの映像表現が光ってるんだけど、最後のあっけらかんとした彼の姿、背景で流れる音楽、あのワンシーンが世間の虚しさを体現していて忘れられないな…
なにが一番満点だったかと言いますと、主人公サムの
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.5

省略を上手く使った脚本構成、映像の強弱が今の時代に求められる映画の作り方が詰め込まれていてお勉強になりました。
下手な音響を使わず、一切音を出さない本当にクワイエットな作品だったら悪質カルトとして楽し
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KUSO(2017年製作の映画)

3.0

短編のひとつで全く言語が出てこない時間が20分近く続くのですが、延々と唸り声と汚物、虫が湧く世界に発狂しそうになってしまった。我々どれだけ「言葉」で自我を保っているのだろう。
まぁこんな風に真剣に考え
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.2

やはり家で観るのとは全く違うものが想起される。冒頭の激しい点滅やモンタージュの衝撃に、さっきまで居た劇場外の現世界から切り離される。映像のアトラクション、といったらあまりに低俗だれど、画面を眺めること>>続きを読む

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

3.4

洗練された実験的な映像展開にちょっと馴染めなかったけれど、思えばこの監督、あらゆる画の撮り方ができるのだったと観終えてから気づきました。ベルイマンに傾倒したかのような映像展開、どうしてもチープビデオに>>続きを読む

アクション、ヴェリテ(1994年製作の映画)

4.1

「ヤったことある?」「あそこ触れ!」くだらない思春期の男女のやりとり、文字通り全くくだらないんですけど、待ち受ける最後は思春期に逃れられない、本当の「性」の目覚め。浮ついた会話からのこのギョッとする展>>続きを読む

サマードレス(1996年製作の映画)

3.9

いいと感じた人と身体を重ね、何となくいいと思ったものを身に着ける。そこに「性」など意味は成さないし、あるのは個人の「いいな」だけ。夏って本当、くだらない理屈から解放してくれる素敵な季節だよね。照りつけ>>続きを読む

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)

4.6

いろんな経験を経て、感情が生まれる瞬間を目撃する。映画はそんな機会に恵まれたものであるけど、この作品はその過程を更に深く、ゆっくりと捉えているのが気持ちいい。人間、特に子供の感情は一つのきっかけで生ま>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.6

映画に美とか理屈を求めてしまいがちなのですが、実際そんな「枠」なんて薄っぺらいものですよ。カメラから滲み出る汗臭さが観る者の血を熱くさせる、観る者をまくし立てるほど作品の圧が実はみんなが欲しがってるも>>続きを読む

(1957年製作の映画)

-

ストーリーが非常にスムーズ。つっかえる所が無くてサクサク見れちゃうなー、と思っているうちに終わっちゃった。もっと音響など編集が欲しかったなぁ…などという愚直なワガママを許してください。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.8

Amazonプライムで『BIG LITTLE LIES』を観て映像の切断の上手さにこの監督に惚れてしまった。今作でも時空と人を自由に行き来するカットが上手くて、映像だけでも見応えは十分です。
あとこの
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それから(2017年製作の映画)

4.5

この編集、なんですか?観るものをノラせ、そして裏切る。こういう編集をしてこそ本当の映像は生み出せるんだよって、ほっぺビンタされた感じ。隙だらけのようで隙のない、計算高さに悔しくなる。

万引き家族(2018年製作の映画)

4.1

是枝作品を観ると現代風俗の断片を見せつけられる。これがもし18世紀、地方で起きたことだったら、と考えると見え方は変わる。整備された環境の厄介さ、絆まで整えようとする社会の不気味さ。
樹木希林から漂う老
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ザ・ビッグハウス(2018年製作の映画)

4.5

もうクタクタだった。勘弁してほしい。最初の30分、まるで文化祭のような熱気が伝わり、観ているこちらもワクワクする。しかし映像が進むにつれ、あまりにドメスティックな経済を目の当たりにしてしまい、どんどん>>続きを読む

愛、アムール(2012年製作の映画)

4.5

ああこれ、劇場で観たかったな。暗くて拘束された環境で観たら、苦しくなるに違いない。その苦しさを味わえたら、この作品の重さが味わえるのに。
死を目前としたとき、人は弱くなり幻想に全て任せたくなることを私
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街のあかり(2006年製作の映画)

4.1

決してお涙ちょうだいな画を作るわけではなく、どこまでも撮り手が客観的。第三者からみたユーモアを交えながら、弱者の視点を保つ。しかし客観過ぎず温かみが残されているのは、音楽のおかげか、それとも細かな演出>>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.6

韓国映画のグロテスク、躊躇ないのに娯楽たらしめられてて、芸術への挑戦を常に感じる。國村隼ンンンン!!

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.5

完全にノーマークだったのに、まさかの傑作だった〜空間を轟かせる重低音とハズれた旋律に呑みこまれるこの体験、昨年のGOOD TIME以来です。
終盤にかけて主人公の弱さが滲み出ていく、このストーリーをど
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.9

ウェス・アンダーソン、やっぱり狂気じみている…好きを極める人の作品に「なぜこの作品を」とか聞く必要なんてあるでしょうか。描きたい想いが沸騰してる人間のその熱意が、スクリーンからバンバン伝わる。アツ〜い>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

3.7

大衆に消費されながら生きる充実感と、絆や愛を求める純粋な人間らしさとのせめぎ合い。「こうじゃなきゃ生きていけない」自らの一部を押し殺した姿が重たくも清々しく感じられたのは、きっと共感できる自分がいたか>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.7

フェアリーな画から漂う、真夏の安モーテルの匂い。急な豪雨がゴミの散乱してる地面を蒸し、事務所からは乾燥しきった冷房の匂いが伝わる。優しい画がむしろこの「どうしようもなさ」を際立たせていて、「かわいい」>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.5

笑えない、けど笑ってしまった。自分はあまりにおめでたい世の中を生きているなと思って。
家族といえど、結局はただの人の集まりで、そもそも「家族」という繋がりに疑問を感じられずにはいられない。インターネッ
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.6

赤ちゃんの泣き声、着信音、暴言…社会格差とかデカいことに限らず、日常生活で触れる「ノイズ」に、わたしは嫌な顔せず居られているか。倫理の限界を描き続けることで、観る人の良心をボロボロに剥がしてくる。濃密>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

人を「好き」でいることはそれなりに傷付くことばかりだけど、レディ・バードはどんな傷も受け入れ、絶対に人を責めない強さがある。
‪グレタ・ガーウィグという人間の全てが詰まった作品であり、これからも彼女を
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スーパーの女(1996年製作の映画)

3.7

遅ばせながら初めての伊丹十三。
目眩がするほどしつこい原色、キャラクターも色強い。でもこの濃さがスーパーなのに非現実な世界に変えていて唸ってしまった。雑多な寿司屋も良し。夜に安っぽいネオンが光るスーパ
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夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

3.6

塩素の匂いがきつい学校のプール、蒸されたような草木、子供の走り去る音。物語を越えてときどきハッとさせられる映像と音が、自分の体に夏を取り戻してくれます。一気にあの季節が好きになっちゃったな。

髪結いの亭主(1990年製作の映画)

3.8

こんなにも純粋な性癖をひとつの愛として描いてしまうのだから、物語って本当に恐ろしいものだよな。
幻想を追い求める虚しさやもろさこそ「美しい」という美学。気持ち悪いと思えるのはむしろ現代だからであって、
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.6

全ての必然を喜んで迎え入れようとする姿に惚れ惚れしてしまう。美しい映像作品はその美しさを言葉にする力を奪う。語るより、ずっとこの余韻を噛み締めていたい。というより、ドラッグみたいな映画で、劇場で体感し>>続きを読む

グッバイ・ファーストラブ(2010年製作の映画)

4.1

わたしはとにかくミア・ハンセン=ラヴの映像が好き。繋げたというより、撮ったものを「置いていった」ような映像。2人の間に生まれる「情」に身を任せ、物語が作りあげられていく。あくまで客観的な視点を保ってい>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.6

古典的な起承転結に勿体無いと感じるものの、映像のボリュームとの相性を考えるとこれくらいがちょうど良かったのかな。
そういった点も含めて、四半世紀近くのカルチャーを築き上げてきた監督の映画に対する愛と苦
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バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

3.7

人形、得体の知らない人物たち、一見やりすぎのような不快なシーン。全ての要素が連続して積み重なるとやっぱり怖い。斜め下からグッと顔に引き寄せるシーンなんか、分かっているのにゾッとさせられる。サイコ作品は>>続きを読む

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

4.5

ここまで綺麗に創り上げられるとむしろ悔しいね。凄かった。映像の中の出来事全てが凄かったんだよ。
何より嬉しかったのは、ちゃんと劇場で観る作品として設計されていたこと。音の使い方、長回し、それに役者陣の
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ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)

3.5

それぞれの想いが複雑に交差するけどそれを決して言葉として描かない姿勢が良かった。漫画と同じく画で語る力が保たれていて観ていて気持ち良い。
上の句よりも映像としての眩しさは少ないけど、底から湧き上がるス
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.3

想いを溜めることの限界とそれを口にしてしまう恐さ。だいたいの男女関係は女性が本質をズバッと指摘し、男性はそれに翻弄されていくような気がする。(社会的、ではなくただの対人関係としての話)その移り変わりが>>続きを読む