湯呑さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.8

義兄から借りた金が返済できず、刑務所に収監されたラヒムは2日間の休暇を得て仮出所する。彼が遺跡の保存作業に従事する姉の夫ホセインに会う為、クセルクセス王の墓に赴く場面から映画は始まるのだが、ここで重要>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.6

ここ最近、気分が落ち込んで映画の感想もなかなか書けないでいる。生きていても何もいい事がないのに、毎日朝早くに起きて仕事に行く…いつまで俺はこんな事を続けなくちゃならないんだ?別に望んで生まれてきた訳で>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.9

ケネス・ブラナーはロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身の舞台俳優としてキャリアを積み重ねながら映画にも進出し、主にシェイクスピア作品の映画化でこれまで高い評価を得てきた。しかし、そうした文芸作品の>>続きを読む

ボブという名の猫2 幸せのギフト(2020年製作の映画)

4.6

2007年3月のある夜、麻薬に溺れ路上生活を送っていたジェームズは、ひょんな事から一匹の野良猫と出会う。なぜかなついてしまったその猫を彼はボブと名付け、仕方なく飼い始める。しかし、それが彼をどん底の人>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

4.8

パリ東郊、旧ソ連の宇宙飛行士の名が冠せられたその団地は1963年の落成以来老朽化が進み、パリ五輪の開催を前に解体される事が決定した。2014年、映画の題材を探す為にパリを訪れていたファニー・リアタール>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.8

いやあ、これはいいね!デヴィッド・クローネンバーグの息子が撮ったという事で、どうせ親の七光りで作ったぬるい映画なんだろ、とたかを括っていたのだが(デヴィッド・クローネンバーグの息子である事が現在の映画>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

4.6

ちょうどこの文章を書いている頃、本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞したウィル・スミスが授賞式の席上でプレゼンターのクリス・ロックにビンタを喰らわず、という騒動が持ち上がった。脱毛症に悩む妻が丸刈りにし>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.7

ちょうど、この文章を書き始めた時、本作でアニタ役を演じたアリアナ・デボーズがアカデミー賞助演女優賞を受賞した、というニュースが飛び込んできた。ロバート・ワイズとジェローム・ロビンズが共同監督を務めた1>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.8

ウェス・アンダーソンの新作、個人的に非常に楽しみにしていたのに感想を書くのを忘れていた…別につまらなかったとかそういう訳ではないのだが…最近、私生活でつらい事が多すぎて何もやる気が起きない。コロナ禍で>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

4.7

前から疑問だったのだが、『ゴーストバスターズ』のゴーストっていうのは死んだ人間の霊なのか魑魅魍魎の類なのか、いったい何なんだろう?作中で言及される霊界とは天国とか地獄ともまた違うのだろうか?そこの親玉>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.8

サンダンス映画祭で4冠に輝き、アカデミー賞でも3部門にノミネートされた本作は、2014年のフランス映画『エール!』のハリウッド版リメイクである。オリジナル版ではフランスの田舎町に住む酪農家だった一家が>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

4.8

デビュー作『岬の兄妹』で新人離れした手腕を見せつけた片山慎三の新作は、 佐藤二朗、伊東蒼を主演に迎えたサスペンス/スリラーである。どことなく中上健次っぽい空気感を漂わせた前作(そういえば、中上健次の芥>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.4

アレッサンドロ・ミケーレがデザインチームを率いる様になってからのグッチはラグジュアリーストリート路線へと舵を切り、ノースフェイスの様なアウトドアブランドとのコラボレーションまで行う様になった。ライバル>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.7

クリント・イーストウッドの映画について語る時、どうしても彼の年齢に触れざるを得ない。何しろ、御年91歳である。もちろん、100歳を過ぎても映画を撮り続けていたマノエル・ド・オリヴェイラみたいな例もある>>続きを読む

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.4

このシリーズを心待ちにしている人ってどれぐらいいるんだろうか…正直、私は前作の『キングスマン:ゴールデン・サークル』でお腹いっぱい、という感じだったのだが、プリクエル的な位置づけである今作を挟んで、既>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

5.0

何という素晴らしさ…一見すると非常に芝居がかった、わざとらしささえ感じる登場人物たちの言葉のひとつひとつが、胸に沁み通り、心に豊かな感情が満ち溢れていく。可笑しさや哀しさ、美しさや恐ろしさ、その全てを>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

4.6

私は『マトリックス』については1作目だけをレンタルビデオで観て「ふーん」と思って終わり、という感じだったので、このシリーズが映画史に与えたインパクトとその後の影響については認めるとしても、それほど思い>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.7

「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」及び「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)」と呼ばれる有機フッ素化合物は、水や油をはじく、熱に強い、といった性質から、撥水剤や消火剤、コーティング剤など様々>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.7

エドガー・ライトがつまらない映画を撮る訳がないのは誰でも知っている。あらゆる年代のジャンル映画に精通した映画オタクでありながら、その知識を詰め込んで終わり、ではなく、そこにフレッシュなアイデアを盛り込>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.6

本作にマーベル作品としては初の同性愛者のヒーローが登場すると発表されて以降、公開前から投稿型レビューサイトでは低評価爆撃が繰り返されたらしい。こうした荒らし行為はMCU初の女性ヒーロー映画だった『キャ>>続きを読む

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

4.6

『ザ・レッド・チャペル』の公開以降、北朝鮮大使から「良心のない犬」と罵られ(まあ、それについては私も同意するが…)、北朝鮮への入国が難しくなっていたマッツ・ブリュガーの元に、ある日見知らぬ男からのメッ>>続きを読む

ザ・レッド・チャペル(2009年製作の映画)

4.6

マッツ・ブリュガーは、ジャーナリストとして活動する傍ら過激な内容のドキュメンタリー映画を撮り続けている、デンマークのマイケル・ムーアとでも言うべき人物だ。その最新作である『THE MOLE(ザ・モール>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

5.0

もちろん、これまでジェームズ・ワンの才能を疑った事は一度もないが、まさかここまでの高みに辿り着くとは…ホラー映画ファンのみならず、全ての映画ファンに観て頂きたい今年度ベスト級の傑作である。とにかく、本>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

4.8

キューバのグァンタナモ米軍基地内に設置されたグアンタナモ湾収容キャンプには、アメリカ軍によってテロへの関与を疑われ強制連行された人々が、未だに収容、監禁されている。この施設は2002年、ジョージ・W・>>続きを読む

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

4.7

国家の不正を暴こうとする記者たちの姿を描いた映画、というのは『大統領の陰謀』とか昔から色々とあって、最近では『ペンタゴン・ペーパーズ』や『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』といった秀作が記憶に新しい。これ>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.7

第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされ、第77回ヴェネチア国際映画祭ではオリゾンティ部門男優賞を受賞した本作、まず人を喰った奇妙な設定が目を惹く。
不用意な発言によって国を追われシリア難
>>続きを読む

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)

4.6

ジョン・カーペンターによる1978年のホラー・クラシック『ハロウィン』の40年後を舞台にした2018年版『ハロウィン』は、全米公開初週で7600万ドル以上の興行収入を稼ぐヒットとなった。その結果、監督>>続きを読む

殺人鬼から逃げる夜(2020年製作の映画)

4.6

日本でも吉岡里帆主演でリメイクされた韓国映画、『ブラインド』は交通事故で視力を失った主人公がサイコキラーに狙われるスリラーだったが、本作の主人公ギョンミは聴覚と発話に先天的な障害があり、同じ様にサイコ>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

4.6

綿矢りさの小説はデビュー作の『インストール』ぐらいしか読んでおらず、その映画版はいかにもTVマンが演出したといった感じのノリが鼻について楽しめなかったのだが、大九明子が監督した『勝手にふるえてろ』と『>>続きを読む

キャンディマン(2021年製作の映画)

4.8

ここ最近、80年代から90年代にかけてのホラー映画のリメイク、リブート作品が続いているが、いよいよ『キャンディマン』ときた。クライヴ・バーカーが製作総指揮を務めた1992年のオリジナル版は当時としては>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.8

まさか、今頃になって『デューン』の再映画化が果たされるとは…人間、長生きはするものだ。アレハンドロ・ホドロフスキーによる映画化企画が頓挫し、デヴィッド・リンチが監督を務めた1984年版も散々な出来に終>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.8

83歳になっても相変わらず旺盛な創作意欲を見せるリドリー・スコットの新作は、百年戦争に揺れる14世紀のフランスを舞台に実際に行われた決闘裁判の顛末を描いた、いわゆるコスチューム・プレイものである。当時>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.6

当初は2020年2月に公開予定だったこの映画、新型コロナウイルスの影響で何度も延期され、ようやく陽の目を見たのが何と2021年の10月である。当然、映画はとっくに完成していたので、映画館では1年以上に>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

本作はカンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初となる脚本賞の栄誉に輝いた。原作は『女のいない男たち』と題された、「いろんな事情で女性に去られてしまった男たち、あるいは去られようとしている男たち」をテー>>続きを読む

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

4.8

現代ハリウッドホラーのキーパーソン、ジェームズ・ワンとリー・ワネルは映画学校で出会い、2003年に1本の短編映画を作る。それが、世界中で大ヒットしたシチュエーション・スリラー『ソウ』の原型となったのは>>続きを読む

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

4.5

深い雪に覆われた山岳を舞台にしたスリラー『ウインド・リバー』に続くテイラー・シェリダンの監督2作目はアンジェリーナ・ジョリーを主演に迎えた、サスペンス映画とディザスタームービーをミックスさせた様な一風>>続きを読む