湯呑さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

4.7

ペドロ・アルモドバルという監督について何を語ればいいのだろう…もちろん、スペインを代表する名監督である事は認めるし、全てではないがそれなりに作品も観てはいる…ただ、個々の作品はそれなりに面白いのに、そ>>続きを読む

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

4.6

ロッキーとランボー。ハリウッドを代表する2大ヒーローを生み出し、ここまでの長寿シリーズに育て上げてきたシルベスター・スタローンの功績は映画界にとってはかり知れないものがある。しかし、監督脚本主演もこな>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

4.6

これぞジャームッシュと言うべき傑作『パターソン』とThe Stoogesのドキュメンタリー『ギミー・デンジャー』に続くジム・ジャームッシュの新作は、何とゾンビ映画である。確かに、これまでも『デッドマン>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.8

ルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』は、現在も多くの人に読み継がれてきた児童文学の傑作であり、ハリウッドでも過去に何度も映画化されてきた。その中では、ジョージ・キューカーによる1933年版、マーヴ>>続きを読む

許された子どもたち(2019年製作の映画)

4.7

内藤瑛亮監督作品では『ミスミソウ』と『パズル』しか観ておらず、本作と同テーマを扱った『先生を流産させる会』は未見のままである。タイトルからして相当ヘビーな話であろうと想像され、なかなか観る勇気が出ない>>続きを読む

21世紀の資本(2017年製作の映画)

4.5

それにしても、数年前にトマ・ピケティの『21世紀の資本』が我が国で大ヒットしたのはいったい何だったんだろうか?まあ、アベノミクスがどうとか、グローバル経済がどうとかいっても、国民の生活は全く豊かになら>>続きを読む

サーホー(2019年製作の映画)

4.0

ようやく、緊急事態宣言が解除され、近畿圏の映画館も営業を再開し始めた。本作は私にとって、ジェニファー・ケントの『ナイチンゲール』を観て以来、約1か月半ぶりの劇場での鑑賞である。しかし、実際に近所の映画>>続きを読む

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.6

基本的に、私は劇場で鑑賞した新作の感想のみをアップしているのだが、例外的にAmazon prime videoで観たばかりの本作を取り上げる。劇場公開からほとんど間を置かずにネット配信が開始された事、>>続きを読む

ナイチンゲール(2019年製作の映画)

4.5

前作『ババドック 暗闇の子供』は『エクソシスト』風のプロットにシングル・マザーが抱える精神的重圧や社会的な孤立感といった女性監督らしいテーマを盛り込んだ傑作だった。特に、母親役のエッシー・デイヴィスの>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.4

三島由紀夫が1969年に東大全共闘と行った討論会については、『美と共同体と東大闘争』という本が角川文庫から出版されていて、映画ではカットされているやり取りについても全て収録されている。この討論会がその>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.5

1960年代にフランス政府が労働力確保の為に実施した旧植民地からの移民受け入れ政策に伴い、都市郊外には移民向けの住居として低所得世帯用公営住宅団地が数多く建てられる事になった。しかし、移民たちをめぐる>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.4

演劇畑のルパート・グルードが監督した『ジュディ 虹の彼方に』は、正確な意味での伝記映画ではない。ジュディ・ガーランドについて何の知識もない人が、かつての大スターの生涯について詳しく知りたいと思って本作>>続きを読む

野性の呼び声(2020年製作の映画)

4.2

原作はジャック・ロンドンによる冒険小説の古典的名作である。その為、今まで何度も映像化されているのだが、私はそれら過去作品を1本も観た事がない。本作を鑑賞する前に予習をしておくかと思い立ち、ネットで調べ>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.4

映画の途中で2Dから3D映像に切り替わるという、一風変わった構成が話題になっているらしいので、私は普段3Dで映画は観ない(割増料金を払う程、金銭的な余裕が無い為)にもかかわらず、わざわざ3D上映が実施>>続きを読む

37セカンズ(2019年製作の映画)

4.8

映画の冒頭、トイカメラか何かで写した様な、ミニチュアめいた東京の街並みが俯瞰ショットで映し出される。その不思議に現実感を欠いた風景が、リアリティとファンタジーのない交ぜになった、本作の不思議なトーンを>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.8

この企画、そもそもはスウェーデン側から持ち込まれたものらしいが実際に出来上がった映画を観て、お偉いさんが怒ったりしなかったのかね。「テメエ、人様の国を何だと思ってんだ!」とか…
まあ、それはともかく『
>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.6

作品賞は逃したものの、アカデミー賞の3部門を受賞した本作、世間では「全編ワンカット映像」という謳い文句で話題になっている。もちろん、これだけ大規模な映画で本当に「全編ワンカット映像」など実現できるはず>>続きを読む

ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)

3.8

ブライアン・デ・パルマ8年ぶりの新作という事で、少しぐらい出来が悪くても、何だかんだとデタラメを並べて「全ての映画ファンが観るべき10年に1度の傑作!」ぐらいのハッタリをかまそうと―何しろ、俺の映画評>>続きを読む

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

4.5

これって結局、『アメリカン・プレジデント』を引っ繰り返しただけじゃないの?あっちも政治と環境保護がモチーフになっていた気がするし…ここ最近、例えば『オーシャンズ8』とか『ゴーストバスターズ』とか、オリ>>続きを読む

テッド・バンディ(2019年製作の映画)

4.7

法律家になる事を夢見てロースクールに通う好青年テッド・バンディは、ワシントン大学の医学部職員でシングルマザーのエリザベスと恋に落ちる。彼女の娘ともすぐに打ち解け、幸せな日々を送っていたテッドだったが、>>続きを読む

T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版(2018年製作の映画)

4.4

『マトリックス』で使用され、話題を呼んだ「バレットタイム(被写体の周囲にカメラを並べ撮影する事で、低速ないし静止した被写体を中心にカメラアングルを動かすSFX技術)」は、準備に手間が掛かり過ぎるのと、>>続きを読む

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

4.0

16mmのモノクロフィルムを使ってワンシーン・ワンカットで撮影したら「これはヌーヴェルヴァーグへのオマージュだ!」という事になって、カンヌで賞を貰えたりするんだから、チョロいもんだよな。IKEAの家具>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でえらい目に遭った(私は観ていないので何とも言えないが…)ライアン・ジョンソンの新作は、アガサ・クリスティにオマージュを捧げた本格ミステリーである。大富豪が謎の死を>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

4.5

実際にあった事件を脚色して映画化、というのは珍しくも何ともないが、調べたところ別に原作となったルポルタージュやノンフィクションがある訳ではなく、ニューヨークマガジンに掲載された2015年の記事を元にし>>続きを読む

ラフィキ:ふたりの夢(2018年製作の映画)

4.8

カンヌ国際映画祭への出品を果たすも、同性愛を禁じるケニアでは上映禁止となった(その後、期間限定で公開された)『ラフィキ:ふたりの夢』は、アクチュアルな主題もさる事ながら、その軽やかな佇まいで私たちを魅>>続きを読む

続・荒野の用心棒(1966年製作の映画)

4.8

そういや『続・荒野の用心棒』って観た事なかったな、と最近公開されたデジタル・リマスター版を鑑賞してきた。やっぱり、イタリアの低予算娯楽映画は良いなあ、というのが正直な感想。作り手の志が高いのか低いのか>>続きを読む

テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.6

まず、歴史的事実を確認しておこう。第1次大戦後にイギリス委任統治領として創設されたパレスチナは、当初はアラブ人を中心とする国であったが、第2次世界大戦後にユダヤ人が大量に流入してくる様になる。シオニズ>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.8

「いやあ、ケン・ローチの映画って初めて観たけど、なかなか考えさせられるテーマで面白かったなあ。ついでに他の作品も観てみるか。よし、AmazonでDVDをポチーッと!」
待て待て待てーい!お前はこの映画
>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

4.8

柔らかな朝の日差しに照らされたベッドの上で、日比野渚(藤原季節)は、微睡む井川迅(宮沢氷魚)の耳を愛撫し、その耳の形から恋人の性格を診断する。渚によれば、三日月形の耳を持つ者は控えめで協調性があり、他>>続きを読む