犬さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

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本作がメタルギアソリッドの元ネタということに驚いたのだが、このままゲーム化したら面白いんじゃね?っていう小島秀夫の嗅覚の鋭さに感心する。

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)

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奇しくもスティーヴンキングの原作『霧(ミスト)』も1980年なのが面白い。灯台を拠点とするラジオ局に繋がる長い外階段を下りるショットのロケーションが抜群に良い。チャールズサイファーズの絵に描いたような>>続きを読む

マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

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『危険なメソッド』同様に面白さを見出せないし、ロバートパティンソンも『コズモポリス』ほど魅力的に映らない。人体発火がCG丸出しだと少々冷める。

コズモポリス(2012年製作の映画)

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記号的な会話の羅列を半受動的にインプットさせられるこの感じが全然嫌いではないし、寧ろクローネンバーグの中では偏愛。近未来の有象無象に突如として告白される前立腺の非対称、それがまたラストの答えとして返っ>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

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良くも悪くも難民を題材としたカウリスマキのフォーマットという感じで突出したものは感じられないが、その淡白なオフビートが堪らない。相変わらず犬の演出が最高だし、寿司で失敗する件も笑える(あれアボカドじゃ>>続きを読む

危険なメソッド(2011年製作の映画)

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キャストの豪華さに気を取られて物語的快楽が一切として感じられない。ボディホラーでなければサスペンスでもなく、クローネンバーグとしての良さが軽薄。キーラナイトレイがスパンキングされることに需要を持つ人だ>>続きを読む

スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年製作の映画)

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ハマることが出来ずに退屈。シームレスな回想に於いて少年時代の過去(妄想)に現在のレイフファインズが同じ空間に存在して傍観することで精神疾患による差異と答え合わせが顕に感じられる流れは地味ながら惹き付け>>続きを読む

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)

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例によって主人公が不眠症なところが如何にもシュレイダー脚本といった感じであり、これから復讐を決行するとなれば二つ返事で軍服に着替えて「ビールを買いに行ってくる」と誰がどう考えても怪しすぎる嘘で淡々と家>>続きを読む

ガーゴイル(2001年製作の映画)

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グロテスクな意味でのカニバリズムというより猟奇的な愛情の狂気として捉えるべきなのだろうが、全然ハマらず。文脈は違うけど、好きすぎて堪らない表現として「君の血管で泳ぎたい」的な文言を想起した。

南部の人(1945年製作の映画)

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『怒りの葡萄』然とした家族での新天地に近所付き合いや天候による苦難が試練として降り掛かる。ルノワールの「水」は強く打ち付ける雨や氾濫する川となり猛威を振るうが、晴れ渡る空を見上げるザカリースコットとベ>>続きを読む

スターマン/愛・宇宙はるかに(1984年製作の映画)

3.0

下手したら冷め兼ねないのに撮影か照明のせいか理屈では語れない傑作の雰囲気が漂う。ラストに宇宙船を映さずカレンアレンのクローズアップで瞳に反射させるショットの信頼度と強度がエグい。『続・激突!/カージャ>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

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激渋なオスカーアイザックがモノトーンな美術に身を置きながら、恋愛に於いては東京ドイツ村のイルミネーションみたいなところで中学生のような手繋ぎデートというギャップ。ポールシュレイダーの過去作をちゃんと追>>続きを読む

ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

3.0

ブラピがクレアフォーラニとカフェで出会ってミラーリングやタイムコンストレイント、ネクタイを手で押さえる仕草(クレアフォーラニが目線を向けて下唇を噛む)や「稲妻に打たれる」のキーワードという天性のナンパ>>続きを読む

黒の超特急(1964年製作の映画)

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加東大介の悪人役を初めて見た気がするが、田宮二郎の凄みも相まって双璧をなす。個人的に増村保造は当たり外れが激しいが、この黒シリーズに関しては割と面白い。

黒の報告書(1963年製作の映画)

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『落下の解剖学』より余程のこと解剖学をやっていて楽しいし、この高度経済成長期の光と影を赤裸々に描く黒シリーズには見応えを感じる。『黒の試走車』に次いで主人公が報われない後味の悪さはバッドエンドというよ>>続きを読む

テトロ 過去を殺した男(2009年製作の映画)

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あまりピンと来なかったが、現在がモノクロで過去がカラーという演出やオールデンエアエンライクが交通事故に遭うときのシーンには目を見張るものがあったが、、蓮實重彦がその年のベストに入れていたらしく相変わら>>続きを読む

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

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向かいのビルで行われている会議をハイスピードカメラで撮影して読唇術で価格を暴こうとしたり、自らの恋人をスパイとしてホテルに向かわせて設計書を盗ませたり、ちゃんとスパイ映画をやっているし悪くないのだが、>>続きを読む

突撃隊(1961年製作の映画)

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暗闇の戦地を蛇行しながら進む様子が版画のような黒主体に細やかな白で輪郭が生まれるバキバキなショットで目を凝らす。ラストのマックィーンによるタッチダウンからの慟哭しながら火炎放射が何とも言えない戦場の苦>>続きを読む

馬三家からの手紙(2018年製作の映画)

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病名が公表されていたけど遺族の意向は無視されたらしいし孫氏の突然死が闇深い。昨今の日本でもそうだが、やはり国の問題は内側からではなく外側から糾弾してもらうことが一番効果的なのだろう。

外人部隊(1933年製作の映画)

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心底どうでもよくて全然ノレなかったのだが、一人二役を演じ分けたマリーベルよりフランソワーズロゼーにシフトして悲劇のヒロイン面して終わるの裏で私情が働いてる気がしてならない。

犯人は21番に住む(1943年製作の映画)

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それぞれキャラ立ちしていてエスプリの効いた娯楽的バランスではあるが、俺が求めていたのはフライシャー的なゴリゴリのサスペンスなので「犯人はこの中にいる!」という展開には興を削ぐ。歌手が歌唱中に真犯人に気>>続きを読む

エドワールとキャロリーヌ(1951年製作の映画)

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ドレスが〜スーツが〜っていう痴話喧嘩からの演奏会を途中退場して無難なハッピーエンドになりそうなところで起伏を作って冒頭の延長として円環構造に着地させる周到さ。

市子(2023年製作の映画)

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脚本に多少の期待を寄せていたが、最近鑑賞したのにも関わらず記憶が曖昧な『ある男』に類似性を感じてしまい可もなく不可もなし。杉咲花の演技力の高さについては言うまでもなく、不遇な家庭環境から転化されたファ>>続きを読む

ヴェラの祈り(2007年製作の映画)

3.0

ショットが堂々としているしフレーム外まで行き届いた人物配置が二作目にして卓越している。激渋なコンスタンチンラヴロネンコをカメラの裏に回らせて反対側からフレームインさせるのはズビャギンツェフにとって遊び>>続きを読む

巴里の空の下セーヌは流れる(1951年製作の映画)

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ナレーションの主張が強いこともあってそこまで興味を持てなかったが、終盤の落第医学生が絶体絶命の手術室にて「見殺しには出来ない」とオペを開始するシーンは意外と見応えがある。医師たちの目元のカットで繋いだ>>続きを読む

モスキート・コースト(1986年製作の映画)

3.0

消費社会と物質主義に塗れたアメリカからの離脱により未開の地を求めて0からのスタートを図るハリソンフォードと振り回される家族。文明を築く発明家が文明批判、原理主義との対立、移民問題からパワーバランスの崩>>続きを読む

女の中にいる他人(1966年製作の映画)

4.0

『乱れる』に匹敵する成瀬ベスト。冒頭の煙草のマッチカットから不穏な空気感が漂っており、また濃淡の濃い陰影が異色として際立つ。長く暗いトンネルに車を通らせるシーンも然る事ながら、終盤による打ち上げ花火と>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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ミステリー、法廷劇、人間ドラマ、全ての要素として程度が知れていて肩透かし。息子の首振りに合わせた左右パンやドキュメンタリー然としたクイックズームもこれ見よがしと言ったようで余計。結局、今作に於いては真>>続きを読む

ルース・エドガー(2019年製作の映画)

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真相は闇の中とされているが、もし全ての犯行がケルビンハリソンジュニアによるものであればなんだか夜神月を想起するような欺瞞。優秀な人物像と潜在意識が混濁するオクタヴィアスペンサーの主張と「発音が難しいか>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

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これから銃乱射事件が起きてしまう店内は不気味な空気感が漂っており、その凄惨な模様はエンタメとして描写せずとも十分な痛ましさを余韻として残す。どうしても『エレファント』が想起されてしまうので比較も兼ねて>>続きを読む

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年製作の映画)

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ホラーとしての恐怖品質ではなくモキュメンタリーとしてのエポックメイキングを評価するべき作品であり、内容より存在の功績。恐怖演出を過剰にしてもリアリティ(バッテリーが長持ちすぎるのは見逃す)が薄れて本末>>続きを読む

馬上の二人(1961年製作の映画)

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あれほど強そうな戦闘部隊のリーダーを見せられたら「軍隊が先住民(コマンチ族)に交渉するも一筋縄では行かず、武力行使で攫われた白人を取り戻す」っていう勧善懲悪な単純構成で十分そうだが。息子が首吊りに処さ>>続きを読む

燃える平原児(1960年製作の映画)

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白人と先住民族に於ける対立構図の中で分断を余儀なくされたエルヴィスプレスリーが混血である自身のアイデンティティを見つめ直し苦悩と葛藤が描かれる。砂塵が吹き荒れる荒野の中を耐え忍びながら歩くドロレスデル>>続きを読む

女経(じょきょう)(1960年製作の映画)

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市川崑の『物を高く売りつける女』が脚本や演出を含めて一番面白い。次点で撮影は吉村公三郎が一番良い。増村保造は若尾文子頼りで特筆すべき点がない。

好色一代男(1961年製作の映画)

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女を口説いては悦びを与える好色家の一代記を年月ではなく距離として描き、軽妙な語り口に乗せて日本各地(場面転換)を渡り歩かせる。これが最後の色恋だと思われる中村玉緒が呆気なく殺され、本来のヒロインとされ>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

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マスコミではなくドキュメンタリーなのだと矜持を保つ瀧内公美の天秤は前半の仕事と後半の父親に於ける公私の選択によって思わぬ亀裂を生んでしまう。川瀬陽太や光石研にスマホのカメラ(録画)を向けて自供を促す手>>続きを読む