yzさんの映画レビュー・感想・評価

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うたうひと(2013年製作の映画)

4.4

『なみのおと』(未見だが『なみのこえ』ともだろう)とは明確に違うものになっていて「記録」という点では作為性があまりに強い部分があり正直どうかとも思うが試み自体は面白く理解できる。

そもそも眠かったの
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.6

先行作品への目配せ?ステレオタイプ?どちらの言い方を取るか迷うところだけどベタな要素とスマホ周りの現代性のバランス良し。ゴア描写として物足りなさはあるものの種類自体は豊富な殺人大喜利。白眉はやっぱり焼>>続きを読む

オクス駅お化け(2022年製作の映画)

3.7

物足りなさはあるが好ましくもある。
ツカミのインパクトの強さに惹かれたが、それを基準とするとその後の既視感のある弱いジャブ的ジャンプスケアがとにかく物足りなかった。しかしミステリ・ドラマ的な面での推進
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ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

3.0

要素要素は面白いとはいえ物語全体としては惹かれなかった。

ヌーヴェルヴァーグの監督たちの女性の扱い方があんまり好きじゃない。

あこがれ(1958年製作の映画)

4.0

子どもらの行為自体は酷いもんで笑ってしまいもするが瑞々しさ、さわやかさは存在していて運動の切り取り方もちゃんと魅力的に見える。微かなノスタルジアさえある。

バットマン(1989年製作の映画)

4.4

街やガジェットのデザインがなかなか良い感じで惹かれる。ジョーカー像、バットマンとの関係も魅力的。

独裁者(1940年製作の映画)

4.7

あの戦争においてマスメディアが担った役割というのは散々語られているように自明で、そんな映画という制度が今よりも有効だった時代に果たすべき役割を果たしているのだと最後の演説を観て思った。しかしそれでも虚>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.7

暴力的なまでの窮屈さや孤独。
思い出すことがあれば逆に身に覚えのないことも当然ある。
ドワネルの瞳、涙、駆けていく様、記憶に残った。ジャン・ピエール・レオにハマった監督たちの気持ちが分かるような気がす
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なみのおと(2011年製作の映画)

5.0

真にあの日の悲劇を体験した訳ではない者たちに何が出来るだろうか。

かつての津波を語る紙芝居で始める時点で「記録映画として残すこと」の意義を徹底的に思考した結果だと言うことが伝わる。そして、カメラの前
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モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.0

人間の尊厳について。
未だ問題点が変わらない、それどころか悪化している様な社会構造を当時すでに看破していたチャップリンの凄さ。
開幕のモンタージュから凄まじいキレで始まり工場パートの直球社会批判が素晴
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インソムニア(2002年製作の映画)

3.8

サスペンスとしてのスリルに展開の読めなさ警察・犯人間独自の共犯関係や演出、アルパチーノの存在感と面白く見た。好きだったのは不眠症や抽象表現だが物足りない部分もある。ノーラン作品というとっかかりで観てい>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪(2015年製作の映画)

1.0

投稿映像はメリハリがなく長い。映像にも取材にも怖さがほとんどない。全くもって面白くない。一部表れてはいるが、この形式に求めるのは撮ることへの意識な訳でその点が極めて薄いのがかなり残念なポイント。
また
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.3

そもそも人間は孤独。カテゴライズと差別は更にその個人を見ない。ふたりだけが交わす言葉と時間。
固定された時も動く時もカメラの働きが良い

戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖降臨!コックリさん(2015年製作の映画)

3.8

昨夏にシリーズ途中まで一気見したものの止まっていたのを再開。
やはり良い意味でしょうもなくて面白い。
今回は投稿映像の序盤、学校に忍び込むくだりがシンプルに怖かったのが非常に良い。コックリさんを始めて
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

4.0

ポスタービジュアルも浜辺で横になっているのを後ろから捉えたショットも良すぎてポスター欲しくなる。あと二幕の始まりの映画館も凄い。キム・ミニ魅力的すぎ。

ヨンヒの諸々から人は孤独であるということが漂っ
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ニンゲン合格(1999年製作の映画)

3.5

人間ドラマや芝居と構図の作り込み、唐突な暴力

Seventh Code(2013年製作の映画)

3.0

ストーリー自体に正直あまり面白みはない。(とはいえラストは驚いた)
しかし黒沢清の作家性という点では出力されている面もある。黒沢さんというと他者の他者性を強調した人物像、その者との邂逅や共同体、世界で
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.8

ストーリー自体の面白さ、二人の異物感を強調する芝居と演出、廃墟空間の使い方どれも黒沢節が冴えまくっていて最後まで緊張感、不穏さがかなりの高次元で維持されている。かつ最後にどんでん返しの様に構造がひっく>>続きを読む

果てなき船路(1940年製作の映画)

3.7

印象的な陰影や人物の運動(アクション)の捉え方、撮影が凄い。
ただでさえクローズドな船内に戦争の問題が加わって起こるドラマも面白いものがある。

戦争状態において個人の自由は制限され労働という形で国家
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.6

正直なところ惹かれる物が無くスルーしていたけどNetflixに降りてきていたので何となく観てみたらめちゃくちゃ面白かった。ある意味、山下作品を複数観た後である今観たのが正解であった。タイミングに恵まれ>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

5.0

あまりに衝撃的、余韻が抜けない。
エンタメ的な意味での"面白い"においては物足りなさもあるがそれ以上に完成度の高さに圧倒された。

少年期に受けた同性間性暴力被害そして射殺というトラウマが「普通の人間
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美しき結婚(1981年製作の映画)

3.8

プロットや言葉で交わされるやりとりの側面、ロケーションや編集という映像的な側面それぞれに面白みがある。
オープニングとエンディングの音楽が好み。
美しき結婚という題が鋭く美しい。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.6

人物造形やその対比、構図に撮影どれもかなり上手く出来ていて非常に完成度が高いと思う。
ラストのシークエンスは全体的に素晴らしいが特に、同じ方向に向かう運動を捉えながらその先にある対比が記憶に残る。
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ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)

3.9

よくわかんねぇけど好感触。じわじわと良いもん観たという気持ちが湧いてくる。

どこかのラインから前の年代の作品に対してコントローラブルかつテキパキした人の動かし方・動き方が印象に残ることが多く、この作
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トンソン荘事件の記録(2020年製作の映画)

1.0

謎に惹きつけられる訳じゃなければ映像表現としても目新しさがある訳でもない。そして根本的な問題だと思えるのは、撮り方の問題。記録映画(映像)という程であるのに撮り方の作為性が目立ちリズムが劇映画的になっ>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

3.7

気まずさのコミカルさ。
ホン・サンスが撮る卓を挟んだ人たちの会話、ズームはどうしてこんなに魅力的なんだ。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

粗もしくは好みではない部分はあれどノーラン作品でも屈指の完成度なのではなかろうかと思った。

はじめにネガティブな点
・さすがに説明を省略しすぎ
既鑑賞人の感想から漏れてきていたが、人物紹介が限りなく
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.5

はじめてのホンサンス。
言葉にし難い良さがある
生々しい人間がそこにいて些細な瞬間に感情が揺さぶられる。ゆっくりとしたズームイン/アウトが沁みる。

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.4

ようやくBlu-ray買ったので劇場で観て以来2回目、改めて物凄く豊かで物凄く面白い。
(これで遂に現状ディスク化済み濱口監督作品コンプリート達成)

公開当時の感想はあまり覚えていないが再見するとば
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(1960年製作の映画)

3.8

ショット・編集・音響・演出にアイデアと上手い映画なことがよく分かる、良いもん観た。

浮き雲(1996年製作の映画)

3.5

どん底に落ちてしまうきっかけも、希望の瞬間も自分の力が作用し得ない範囲で起こる事象すなわち偶然にある。トランプで決めるなんて!と思うがどうしようも無さの誇張表現として適していて面白い。そして、落ちてし>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.3

「悲しみは使い古した喜び」すごい言葉だ。
かつてとは違い、決定的な断絶が生まれていることに気づいてしまう。それでも元に戻れなくとも使い古した喜び(昔の関係性)は無くなる訳ではない。そして、「悲しみは使
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

ウェンディにとって最も親密な他者は言葉が通じない(はずの)犬である。彼女の生活水準もルーシーの事をどれだけ思っているかも丁寧に描かれている。そして、彼女自身のほとんどの周囲の人間との関わりは業務的とで>>続きを読む

祇園囃子(1953年製作の映画)

4.0

奥行きを感じるそれを筆頭に構図が非常に良い。男性中心不均衡構造の権化を舞台に女性たちの生、連帯を描くこと。最後のシークエンスの為の(その感動が最大化される)映画だ。

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