お父さん大好きサッシャ・ギトリの三代記(でも長台詞室内劇)。20年前に逃げた妻を盛大に悪役に仕立て、私生活で当時ギトリのパートナーだったジャクリーヌ・ドリュバックはしっかりアップで撮る。ドリュバックが>>続きを読む
序盤からうとうとしてしまった。ギトリ主演作品定番の長台詞室内劇だなーと思いきや、最初のシークエンスを終えたギトリの部屋がそのまま舞台セットとなるシークエンスがめちゃくちゃ面白かった。先程まで部屋にいた>>続きを読む
省略が効いているし割と正攻法というか破綻なく進行していく感じがある。17世紀の出来事がシームレスに現前するのが面白くわかりやすい。幻想的な物語だけどダニエル・シュミットとしては不可解さや頽廃美は薄めの>>続きを読む
ダニエル・シュミットのアマルコルド。「子どもでいるのは大変でしょう」イングリット・カーフェンが昔話とともに語りかける。甘美な過去、過ぎた美しい時間を思い出すだけの時間。
四半世紀前に関わった人が渋滞>>続きを読む
うわぁぁ…大変見応えある大作だった。衣裳がすごくて主役も脇役もなく煌びやかなんだけど、その衣裳の豪華さに負けないくらい撮影も演出も素晴らしかった。
イザベル役のジャッキー・モニエ登場シーンはルーカス>>続きを読む
粒子粗めのファーストショットは長谷川潔のメゾチントのようで美しい。可愛らしいアールデコ調のセットデザインや人形に扮したギミックな役者が魅力的で、ほんの少しだけコマ撮りアニメーションが入る。ほとんどスタ>>続きを読む
昔観た時のしみじみとした好さをあまり感じられなかった。こういう初期ジム・ジャームッシュぽいオフビートな映画(なのに色々贅沢)はこの時代までしか作れないものだったのかもなと思った。日本人がエグゼクティブ>>続きを読む
ふと思い出してDVDを引っ張り出してきた。奇想に溢れた素晴らしい美術と物語全体に漂うなんとも物哀しい感じが好きで初見以来時々観返している。老いたバロンがやっぱり哀れなんだよな。
この物語のバロンは、>>続きを読む
プロットだけ聞くと結構好きかもしれないと思った。普通の映画としても十分成立するはずだが、じゃあ普通の映画って、映画として成立する条件って何なんだと。監督は「映像作品」にするつもりだったとのことだが、映>>続きを読む
地道で静かな積み重ねを経て、不意に涙が込み上げてくる。およそ外連味とは無縁な地道さ。誰でも出来ることではない。『夜明けのすべて』でも感じたことで、本作の主人公ケイコ自身のありようとも重なる。
『夜明け>>続きを読む
オンラインで映画の切符買って開始ギリギリに映画館へ行ったら発券できない。スクショしか撮ってなくてメールも届いておらず窓口で確認してもらいながらスクショを見たら購入確定を押してなかった。その場で切符買い>>続きを読む
染み入るようによかった。これもスタンダードサイズ16ミリでとても美しく瑞々しい撮影。序盤の暗闇と薄明のロングショットも印象的だった。
ほとんど空っぽの冷蔵庫から出てくる野菜も思いのほか生き生きしてい>>続きを読む
固定長回しの部屋がじわじわと明るくなっていく冒頭はアピチャッポンかと。一夜ものということでアケルマン『一晩中』も想起するものの、バス・ドゥヴォスは深夜にこそ浮かび上がる社会構造に焦点を当てている。とは>>続きを読む
映画館で映画を観ることは、出自も年齢もばらばらの人たちが、ひとつの目的をもって同じ場に集まるということだった。
映画内映画を観る彼らを私たちは観ている。正面ショットの彼らがスクリーンからまっすぐ視線>>続きを読む
IMAXの音圧が苦手だが『ストップ・メイキング・センス』なら観たい。しかしじっと座って観るのは拷問でしかない!
ビッグスーツはこのライブの象徴だけど、This Must Be The Placeでデ>>続きを読む
オープニングシーンの躍動感!鶴を見上げた次に鶴視点の超ロング俯瞰。これはすごいわ…と思ってたらその後もずーっと、仰角、俯瞰、広角、クローズアップ、移動、クレーン、コマ落ち、マッチカット、光と影、ありと>>続きを読む
小津監督カラー作品のような鮮やかで鄙びた赤と新橋色、赤を引き立たせるためのショウウィンドウからの万華鏡ショットはにわかにタルコフスキーとは思えないが若く美しい。とにかくこれが卒制とは…
否が応でもラ>>続きを読む
自分の中でずっと『鏡』が最重要作品になっていた。イタリアで撮られた『ノスタルジア』はヨーロッパの艶っぽさが感じられることに違和感があり、くぐもったロシア語で国内で撮られた作品こそタルコフスキーなのでは>>続きを読む
こちらも『クィア・シネマ』で取り上げられていた作品。随分昔に観てあまり印象が良くなく(というかオードリー・ヘプバーンもシャーリー・マクレーンもあまり好みでないというのもあり)、ヘイズ・コード下でもそれ>>続きを読む
こちらも『日本侠客伝』などとともに『クィア・シネマ』で引用されている作品。これがあの有名な健さんの唐獅子牡丹か〜。助監督に降旗康男の名がある。プロットはほとんど『日本侠客伝』と同じだけど、要所要所の見>>続きを読む
菅野優香『クィア・シネマ』(フィルムアート社)をつまみ読みしている。そのなかの「連累の観客論 ー原節子とクィアなジョーク」とそれに続く「ゴシップ、あるいはラディカルな知 ー高倉健のスター・イメージ」の>>続きを読む
『赤い手のグッピー』というタイトルは一体なんなんだとずっと不思議だったんだけど「グッピー家の"赤い手“」ということなのね。魚ではない。代々近親婚を繰り返してるグッピー家はお互いに渾名で呼び合ってて、そ>>続きを読む
ものすごい緊張感で消耗する。『奇跡』と同じように室内ではずっと柱時計がかちかち鳴っていて、轟々と風が鳴るクライマックス以外は物音を入れていない。
丸々とした老年の女性へアロフス・マーテが魔女の告白を>>続きを読む
ずっと観ていたい。映画、光と影のあらゆる表現がここにあるとすら思える。開いた口が塞がらない。1932年の映画とは思えない。
レニングラード・カウボーイズが出だしから舞台上に80人くらいいる男声合唱とオーケストラのアレクサンドロフ・アンサンブル引き連れてて、ヘルシンキ元老院広場にめちゃくちゃ人入ってて熱狂的に盛り上がってる絵>>続きを読む
1年以上借りパク状態でした。申し訳ありませんです。週明けは「クー」で挨拶します。
何度観ても愛おしい作品。あらためて、ゲオルギー・ダネリアが突然変異的に脱力SFを撮ってキャリアの中でもこれ一作だけで、>>続きを読む
林檎農家の男が激怒してトラックに積んだ林檎を投げまくると子どもたちが坂道を転がる大量の林檎を必死で拾おうとする。クライマックスでも坂道を大量の林檎とその箱、トラックが転がる。とにかく林檎が転がる画を撮>>続きを読む
行き着く先が凄まじ過ぎる…最初からすべてをしくじっていて、同情できることが1ミリも無い。
イギリス以前のジョセフ・ロージーを今回の特集で初めて観たけど、本作は終始いやーな感じといい、警官役のヴァン・ヘ>>続きを読む
こ、これは…オフュルスやっぱりすごいわ…最後の最後でまたうわあぁ〜ってなる(語彙)またこの尺の短さが素晴らしい。
ワンオペ主婦が主人公のノワールというプロットからして興味深いがまったく一筋縄ではない>>続きを読む
恐怖の迫り方やヒロインと怪物(殺人鬼)の置き方などハリウッドの古典的スリラー映画のスタイルを敷衍しているよう。あとやっぱり『悪魔のいけにえ』か。理由なき殺人鬼の異様さを松重豊の身長に全振りしている。衣>>続きを読む
すんごい面白かった!!
恥ずかしながら初鑑賞。でも27年前には私多分観られなかったと思う。歳とった今だから観ても大丈夫な気がした。当時の世紀末的な不穏さを煽るものや「私とは」みたいなのが正直苦手だった>>続きを読む
毎回「あ、これ前観てたわ」てなる作品。シークエンスごとにインタータイトルが入るため小噺集のような感じ。ずっとニカニカ歯見せながらアコーディオン弾いてるメンバーが気になる。ロシア民謡風、カントリー風、ロ>>続きを読む
2024年1本目にこれを観た。元旦でも8割方埋まった客席で、上映中にあちこちの携帯からさざなみのように緊急地震警報が鳴り出した。「こわい」という声が聞こえ少し怖くなる。席を立って外へ出る人が3人ほどい>>続きを読む
2023年最後は『ル・アーヴルの靴みがき』で締めた。大好きな作品だ。人の情けが悪法を凌駕するという、映画の中だけでも理想が具現化されたらいいじゃない。映画の中だけでも奇跡が起きたら嬉しいじゃない。そう>>続きを読む
素敵だ。異星人なので喋れないジョー・モートンのそばにいると皆が饒舌になり勝手に喋りまくって彼は黙っててもいつの間にか仲良くなってる、そういう役がすんなりと合う味わいと可愛らしさがジョー・モートンにある>>続きを読む
公開時に見逃して今年中に観ておきたかった作品。まずこれだけ重いテーマを104分の尺に収められることが素晴らしく、まじで多くの監督に見習ってほしい。見せるべきところをかなり絞っている。それと男性に性暴力>>続きを読む