中心のない映画。今まで観たギヨーム・ブラックでは一番好きかもしれない。森林を開発したパリ郊外レジャー施設での点景に『女っ気なし』『みんなのヴァカンス』のような非リア充は出てこず、若者は男女問わずリア充>>続きを読む
ファスビンダーの真骨頂だな。というかゲイカップルたちが当たり前のように社会に存在している。友好的な反応ではない場面もあるが差別や偏見の対象としては描かれない。本作でファスビンダーは初めてゲイを直接的に>>続きを読む
短編三部作でどれもモノクロームで部分カラー。ミハイル・コパヒゼ監督に捧げられる『井戸』が一番好かった。旧市街の一角だけで繰り広げられ、短編の小気味よさがあった。コパヒゼ『傘』をオマージュするショットが>>続きを読む
都会(トビリシ)に住む者の個人主義と、都会の人間からは観光客に阿り形骸化したように見える地方(カヘティ)のアラヴェルディ聖堂の祭。坊主頭の都会の男が終始渋面で祭を観察しペシミスティックなモノローグを繰>>続きを読む
途中までやや冗長に感じたのだけどこの科白劇もまたファスビンダー作品における報われない虚しさに通底していることを知らされる。外連味も控えめで舞台の移動が多いにも関わらず、彼の室内劇の閉塞感と何ら変わらな>>続きを読む
アレクサンドル・レフヴィアシュヴィリの作品を観るのはこれが二本目。本作はかつてYouTubeで観ようとして途中断念してた。好みの画だったけど当然日本語字幕は無かったので…今日は修復版日本語字幕入りで観>>続きを読む
上映前にジョージア映画祭企画のはらだたけひで氏による解説あり。予定されていたテムル・バブルアニ『雀の渡り』という作品は監督本人があるある言ってた上映素材が実は失われていて上映不可能となったため本作と差>>続きを読む
中世ジョージア叙事詩が題材とのこと。台詞や劇伴はあるがサイレント的な進行。4分の3くらいのロングショットは崖の風景画に実写をはめ込み合成している。3DCGだらけのスペクタクル映画と概念は同じかも。首を>>続きを読む
面白かった。部屋から部屋への移動のショットつなぎをどう自然に見せるかの研究がかなりされていると思われる。さすが。またクローズアップという技法をどこで取り入れるかについても。
そのショットつなぎが自然な>>続きを読む
もうひとつの『マリア・ブラウンの結婚』という感じだけど『マリア・ブラウン』の方が断然よい。通り一遍の脚本かな。とはいえ敢えて通俗性を辞さぬまま画づくりはファスビンダー全開で、久しぶりのファスビンダーは>>続きを読む
あまり考えずに観ていたけどよかった。ここでクォン・ヘヒョが印象に残っていると語るシーンは『それから』のキム・ミニがタクシーの窓から雪を見上げる美しいシーンに似ている。イ・へヨンの信仰めいた心の中のモノ>>続きを読む
なんというラスト…!オリヴェイラのこういうサッとぜーんぶ軽やかに鮮やかにちゃぶ台返しするのがすごいな〜と観るたび思う。長尺だけど本作はどこも退屈するところがなかった。
「精神を病んだ人の家」で各人が>>続きを読む
ファーストショットの横移動が既にすごい。ショットのための映画だこれは…長回しロングまたはフルショットにこだわり過ぎているのか単調に感じるところもある。とはいえそのへんの監督とは比べものにならないくらい>>続きを読む
自宅に差した花束の水のカビが「美しいから」とそのままにしていたり、もらった包みのまま花束を置いて朽ちるようすを愛おしむというジェーン・バーキンの感覚は、色硝子瓶に積もった埃を払わない森茉莉に似ている。>>続きを読む
昔VHSで観て以来。5階のラスボスを倒し捕まったシルビアを取り戻しても「幸せは長く続かない」(また1階から無限ループ)という構成をも本作は同期させる。私はあなたを忘れていない、それを伝える手段はゴミと>>続きを読む
めくるめくイメージとテキストの洪水で再生成された『映画史』はやっぱりすごいんだなと改めて認識した。まだ全部観てないけど。
早稲田松竹で三本立て1500円だから観たけど、単体だったら観なかったかも。
ゴダールってほんとに「人たらし」だったのだな。こういう、どんなにひどいことしても人が寄ってくるツボを本能的に心得てる人っているよな。あと好きになるとすぐプロポーズするらしい。気になる女性を映画に出して>>続きを読む
素晴らしかった。ナン・ゴールディンの生育歴と家族環境、作品と交流の変遷からオピオイド系鎮痛剤の薬害によるサックラー家への抗議活動とその成果まで、彼女の行動原理がすべてつながっている。それがものすごくよ>>続きを読む
最初のシークエンス、坂の入り組んだ魅力的な地形に立つ病院で雪が舞うなか、おそらく幼い頃から知っている看護師をヨンホがささっと抱き締めるのがしんみりとよかった。
玄関の鍵が開かないのを「ドイツだから」>>続きを読む
すごくよかった。同じくウォルシュの『追跡』もそうだったけど、人間の力でどうにもならない環境の脅威が人間模様ときちんと絡み合ってて圧倒される。
送電線工事に従事していつでもどこでも呼び出され命の保証が無>>続きを読む
エモーショナルなドリーイン・アウトとクローズアップ切り返しで緊張感が増し(あまりに何回もあるのでちょっと笑える。風景ショットに中間字幕重ねるのも)、この作品の特徴ともなっている。尺が短いのもあるけど、>>続きを読む
ジョルジュ・サドゥール著 丸尾定訳『世界映画史』(みすず書房)はとても通読できず時々つまみ読みしている。先日ジャン・グレミヨンを観ていたく感動したのでグレミヨンのところを読んだら『この空は君のもの』(>>続きを読む
カタルシスは無い。最初から最後までずっとよれよれしている。冒頭の外出るときにカメラがすーっと引いてってロングショットになるところ、壁際にただ立って煙草吸う黒人のエキストラ男性がいる、それがすでにかっこ>>続きを読む
演出の無い映画は無く、また真実かどうかというよりも、第二次大戦直後の戦争PTSDとその治療の過程を扱うプロパガンダ映画を国主導で作ること自体が当時の日本ではあり得なかったことだなと。今でもか。
構成そ>>続きを読む
ずっとヌメラーとしていて、テイストは違うけどアルトマンの『三人の女』みたいに全員ヘン(謎度は段違いにアルトマンが上)。マーロン・ブランドとエリザベス・テイラーの組み合わせが最高だった。ゴールド染色版と>>続きを読む
スタンダードサイズのぎゅっとした画面に叙事的なロングショットによる南北戦争と、前線でのオーディ・マーフィや兵士たちの感情の変遷をありありと伝えるクローズアップが併存していてすごい。遠い過去のはずの南北>>続きを読む
恥ずかしながら初めてのジャン・グレミヨン作品。大変面白かった。無くは無い物語なのにどうしてこうも面白いのか。シュジー・ドレール演ずる愛人は日本なら若尾文子がやったら良いに違いない。彼女を囲う禿げ散らか>>続きを読む
ミリアム・ホプキンスが出てるので観た。小津監督が撮りそうなプロットだなと思ったら小津監督が「感動した作品」で影響を受けたらしい。ホプキンスはやはり素敵だ。あの三白眼でよく変わる表情と広いおでこと金髪は>>続きを読む
『ホールド・オーバーズ』を観て久しぶりに観返した。両作続けて観ると呼応するような味わいがあった。3人の移動、未成年の飲酒を断られる、アイススケートなど、『ホールド・オーバーズ』がオマージュしたと思われ>>続きを読む
オープニングからエンディングまで完璧に擬70年代映画のつくりで感心した。それは斜に構えたスタイルを示すものでもキッチュな面白味を出すためのものでもなく、傷みと疲弊と諦念の時代のアメリカや、多く言及され>>続きを読む
これは……でっかいスクリーンで観たかった…。3D、まさに「ザ・前景/中景/後景」て感じだなーと思ってたら太陽光線や霧の迫り方はおおと驚いた。でも別に2Dでもよかった。それよりスクリーンはでかい方がいい>>続きを読む
リヴェット作品としては謎と謎の真相が割とはっきりしてる復讐譚だった。それゆえにリヴェットらしくない感じもした。サンドリーヌ・ボネールがほぼ出ずっぱりでサンドリーヌ・ボネール眼福映画でもある。そこまで好>>続きを読む
染み入るような作品だった。伍長役のジャン=ピエール・カッセルの飄然と見開かれた目が全編にわたって印象深くいとおしい。(にしても息子のヴァンサン・カッセルはよく似てる。)常に淡々とした可笑しみを湛えなが>>続きを読む
公開時からとても気に入っている。先日黒沢清とオリヴィエ・アサイヤスの対談記事を某SNSフォロイーの方のご紹介で知り、DVDで久しぶりに観かえした。オリヴィエ・アサイヤスのいいところ(フェティズム含む)>>続きを読む
正対して撃ち合ってるのにどちらも当たらない哀川翔と六平直政。クリーニング工場ってたしかにロケーションとしてはとても好い。相変わらずロケーションが本当に好い。序盤のヒットマンが住んでた鉄筋アパート、矢崎>>続きを読む
とても面白かった。ショットと編集のキレ、不意に現れるやたらと牧歌的なBGM(洞口依子登場のロングショットのときが多い)で面白さが増す。これ公開時に劇場で観てるんだけど、画面が暗いのとハリボテのデカい木>>続きを読む