ゾンビミキサーさんの映画レビュー・感想・評価

ゾンビミキサー

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バッファロー’66(1998年製作の映画)

5.0

ラブストーリーだと言われている話だけれど、ふたりの子どもの物語という感じがした。

無関心な親に対して、されてもいない期待に応えようと空回る罪悪感に似た無償の愛が生々しくて切ない。

それでも、散々暴
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

5.0

サスペンスかと思って見始めたけれど、犯人探しなんてところに本質はない打ちのめされた人間の話だった。

トランプ支持者が多くて差別が根深い、貧しい白人たちの田舎町と言われるミズーリ州が舞台。

看板を掲
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.5

どの画面をとっても絵本やおもちゃみたいな可愛い画だけど、内容は貧困の話だった。

ディズニーリゾート本場の街で、チケット買えるひとが買えない娼婦を買って、娼婦がそれを盗んで売ったり、貧困層は端金が入る
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神と共に 第二章:因と縁(2018年製作の映画)

4.0

前作の明らかにならなかった真相だけでなく、使者三人の過去を巡る、まさしく因縁の物語。
これまで三人の信頼関係が強く描かれていた分、過去の業が重たくのしかかる。

一章は徹底的に父を廃して母子の話だった
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神と共に 第一章:罪と罰(2018年製作の映画)

5.0

フルCGでの地獄巡りや、ロングコートの死神たちが都市や燃え盛る地獄で可変式の武器を使って戦う戦闘シーンも、とにかく大迫力で最高だった。

正統派のアクションだけれど、ストーリーは善人が必ず幸せになる訳
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パラダイス・ネクスト(2019年製作の映画)

4.0

全編台湾で撮られたという、とにかく全部のシーンが美しい映画だった。

日本から遠く離れて生きる彼らの逃避行には暴力と過去の暗い影がつきまとうけれど、本編のほとんどはその予感だけで、雑多で綺麗な台湾での
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メランコリック(2018年製作の映画)

5.0

東大卒のフリーターが夜は殺し屋の仕事場になる銭湯でちょっとずつ大人になっていく話。

監督兼主演の方がとにかく演技が上手くて、引きつって左右非対称な表情や、殺人を見たとき恐怖よりも倫理的な怒りよりも新
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落下の王国(2006年製作の映画)

4.0

大怪我を負い仕事も恋人も失いかけて入院中のスタントマンが、自殺用に薬を盗ませるため、同じ病棟の少女を取り込もうと物語を聞かせる話。

同監督の『ザ・セル』でも幻想的な精神世界の映像が印象的だったけれど
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アシュラ(2016年製作の映画)

5.0

汚濁と欲望まみれの街で、権力と権力の板挟みになる汚職警官の物語。

フィルムノワールらしい汚さとネオンの美しさが入り混じって、俳優が血みどろで地べた這いずったり、ガラスコップ噛み砕いてゲラゲラ笑ったり
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.0

心に大きな傷を負った男が兄の急死で甥の後見人にされ、思い出したくもない思い出が詰まった故郷に戻る話。

情感を煽るようなBGMやカメラワークはほぼなく、ある事件の前と起こってしまった後の現在をドキュメ
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.0

18年間子どもが生まれなくなった近未来の話。
その理由も何も語られず、ただ緩やかな滅亡だけが横たわっているような映画だった。
自分の先に繋がるものがない絶望感が蔓延しているけれも、ルベツキ映像監督が撮
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マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

5.0

予告を見て最近多い禁止系ホラーの系譜かと思っていたら、もっと重たく悲しい家族であるための掟の話だった。

恐ろしい父親から逃れ、辿り着いた母の生家で厳重な掟に縛られながら過ごす兄弟の姿は、自然豊かなの
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息もできない(2008年製作の映画)

5.0

暴力の連鎖の中にいる取り立て屋の男と、暴力の渦の中でも自分を失わずにいようとする女子高生の触れ合いの話。

虚勢を張って地獄のような日常を生きるふたりは、とても相手をそこから掬い上げる余裕なんかないけ
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夜明け(2019年製作の映画)

4.0

耐え切れないもの全部から逃げた青年が、辿り着いた田舎で、死んだ息子の影を求める男に拾われる話。
信頼や期待は、時によって呪いにも救いにもなることを誰よりも知っているふたりの関係か息苦しい。

夢の中
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LAPSE(2018年製作の映画)

4.0

近未来日本を舞台にした、三人の監督に寄るオムニバス映画。
邦画でSFと聞き世界観に少し不安があったが、現代日本に芸術的な演出で色づけしていて、現実と地続きの近未来らしい雰囲気がどれもよかった。
AI・
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ゆれる(2006年製作の映画)

4.0

しがらみだらけで息苦しいのに道だけは空しいほど広い田舎に帰省して、何とか保っていた家族の均衡がある事件から崩れていく話。

西川監督らしい生活感溢れる映像と、上滑りするだけの会話と長い沈黙の対比の怖さ
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

4.0

全編ほぼ通報司令室で進み、主人公の横顔しか見えないのに飽きるシーンのないサスペンス。
声と音しか頼りがなく、声の主を信じようが疑おうが受話器を置いたら相手と自分を繋ぐものは何もなくなってしまう、電話と
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