大島育宙さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

大島育宙

大島育宙

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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.5

近年のリドリー・スコットは益々信用できる。
母を尊敬して生きてきた男監督だから、
というエクスキューズ的な解説抜きにしても
気持ち悪い格差を鋭い刃でこじ開ける。

マット・デイモンとアダム・ドライバー
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

4.7

30代でここまで技巧とテーマが一致して一貫してるのえげつない、長久監督。

YouTube映えもするし、きっとスクリーン映えもするのだろう。

虚無の中の希望を描くスタンスは『金魚』『ゾンビーズ』と変
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死国(1999年製作の映画)

3.5

初見。尺がタイトで観やすかった。

ラスト、栗山千明が現れるまでは不穏さ・ミステリーともに楽しめた。四国を逆にお遍路巡礼するロジックもとても面白い。

ただ、クライマックス以降、登場人物の行動原理がこ
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事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

3.9

公開当時映画館で2回観て久々にNetflixで再見。

4軒目のトンデモ展開で珍作認定食らってる感が強いけど、そこまでのフリは悪くなかったと思っている。3軒目の亀梨さんのヤバい顔だけでも見る価値アリ。
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

4.0

凄すぎる。いわゆる広告出身監督の映像の作り方だと思ってみたら度肝を抜かれる。映像技法の手練手管の宝庫。ひとつひとつのカット・アングル・色調の全てに意味があるという点でも、そして広告出身という点でも、次>>続きを読む

第9地区(2009年製作の映画)

5.0

オールタイムベストの1本を数年ぶりに配信で再現したが、やはり全く古びていないし、どう見てもニール監督の断トツの代表作である。14年経っても全く映像が古びない工夫が尽くされている。

初見は新文芸坐で『
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俺俺(2013年製作の映画)

3.3

『大怪獣のあとしまつ』の炎上で久しぶりに思い出してアマプラで鑑賞。当時は映画館で観た。

三木聡作品の中で「俺俺からは失敗作だらけ」と分類する人が多いが、
自分はこれが最後の成功作品とカウントしたい。
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踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!(1998年製作の映画)

3.4

突然観たくなって10年以上ぶりに再見。
やっぱり初期は本当に面白い。
キョンキョンの殺人鬼役が怖くて眠れなくなった幼少期の記憶が蘇る。

超重要人物がかなり早いシーンに意味ある形で映り込んでいるとか、
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前科者(2022年製作の映画)

3.1

時折不意に訪れるバイオレンスにギョッとさせられるだけで充分に鑑賞の価値はあるが、岸監督は根本的にヒューマンドラマとの相性が良くないのではないかと思った。過去作『二重生活』『あゝ、荒野』がある種の傑作た>>続きを読む

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

2.0

擁護の余地を探しながら見たけどかなり苦心した。
歴史に残る、愛すべき駄作で決定で良かろう。

俳優陣全員大怪我、
監督はミスマッチ。
深夜枠の30分×5話のドラマなら密かに人気も出たであろう。
詰まる
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.9

改装休業前の新文芸坐で初めてスクリーンで体験。

百鬼夜行シーンの中毒性たるや。
早く百鬼夜行シーン来ないかなーと楽しみになってしまう。

後のあらゆる映像作品に否応なく影響を与えていることを再確認。
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たまらん坂(2019年製作の映画)

3.8

黒井千次が読みたくなった。
RCサクセションが聴きたくなった。

人が動いていなくても、映っていなくても、
人がいるような感覚になる撮り方が面白かった。

淡々とし過ぎていて観ている間少しぼーっとして
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千年女優(2001年製作の映画)

5.0

新文芸坐休業前にスクリーンで初めて鑑賞。

「女優」という立場で物語の主人公に没入する女優、彼女の半生を役の人物設定ごと追いかける狂言回しの2人という構成。あらゆる時代・場がシームレスに繋がる/飛躍す
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

-

「イーストウッドだから見てられる」の極地だと思うし、『グラン・トリノ』『マディソン郡の橋』のセルフリメイク的な部分も大きいけど、その頃の肩肘張った名作量産期よりもずっと軽やかで見やすかった。

少年の
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.9

もっさりした白人・右派・低所得層のマット・デイモンが似合いすぎていて往時のアクションスターの面影なし!ちゃんと俳優としてのキャリアシフトに成功してるなあ。

現地でパートナーになる演劇俳優の女性役・カ
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ノイズ(2022年製作の映画)

3.5

公開前なのでネタバレなしで。

超豪華キャスト大作邦画サスペンスとしては数年に1本の出来だと思う。

原作未読なので二転三転の展開にストレートに揺さぶられた。横溝正史的な田舎の怖さホラー要素が後半もっ
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

5.0

2021年ベストどころか史上最高のコメディ。

筒井康隆ファンとしては氏の『霊長類南へ』『東海道戦争』『最後の喫煙者』『日本以外全部沈没』といった痛烈風刺ドタバタ小説がハリウッドの超豪華キャストで実写
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真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

-

この感覚が理解できる人だけを同世代と呼びたいなと思った。これが92年生まれの私のリアリティ。原作者のF氏は89年生まれ、二宮健監督は91年生まれ。主演の2人も99年と95年生まれ。難解、ということでは>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

4.2

スリラーミステリーの古典の風格がありながら、
明らかに実在事件(座間)をベースにしており、
SNS描写もリアリティがあって現代的。

片山慎三監督がポン・ジュノの助監督だっただけあって、『母なる証明』
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

これほど「音とコミュニケーション」にフォーカスした映画は珍しい。

下ネタを手話で言い合う家族はむしろ一周回って書き割り的な気もするが、兄弟と友達が恋愛してしまう閉鎖的なコミュニティの感じ、下品な感じ
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声もなく(2020年製作の映画)

4.1

素晴らしい。

韓国の犯罪映画に抱きがちな「生々しい暴力」(たまたまそういうものが先鋭化して日本に入ってきてるだけで、そうでないのも沢山あるが…)というイメージを覆す、静謐な暴力。しかし、ストーリーか
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.0

トム・ホランド版だけ予習してきた子供たちやライト層は中盤からポカーンと置いてきぼりになるけどそれでいいの?エンタメ作品は膨張した後に閾値を超えると収縮(最低限の予習はしてきた新規ファンすら置いてきぼり>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

-

『さがす』を観る機会に再見。

これでもかと畳みかける苦渋の決断の連打に圧倒される。敢えて不謹慎な言い方をすれば、不幸エンタメ(不幸ポルノ)としてのサービス精神が過多である。

初めてのまとまった稼ぎ
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そこにいた男(2020年製作の映画)

4.0

『さがす』きっかけで知り初鑑賞。

新宿ホスト殺人未遂事件のセンセーショナルな写真に触発されて作られたらしいが、犯行の場面自体の他は設定から何から大幅に改変されている。

事件のホストの人は生還して復
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カメラを止めるな!リモート大作戦!(2020年製作の映画)

-

一年半ぶりに再見。

つくづく制約・試練があればあるほどに力を発揮する監督だなあと実感する。

逆境を与えれば与えるほど光る俳優はよくいるけど、監督でそれって世界的に珍しいのではないか。

常に作品作
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ボス・ベイビー ファミリー・ミッション(2021年製作の映画)

3.9

今の時代に血縁主義を強化するテーマ性、メッセージ性は全肯定はできないし、「つめこみ教育」という仮想敵を持ってくる辺りに安直な計算高さを感じなくもないけど…アニメ表現の快感を詰め込める設定を突き詰める妥>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.8

濱口監督はやっぱりある程度ドラマチックで動きのある商業映画が好きだ。『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』は常に動きがあって集中力が持ったけど場が止まってるとたまに眠くなる。そもそもロメールもそん>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

2.8

こういうの好きな若い人多いな…
全部言葉にして説明しないでくれ…
言わなくてもわかるよ…表情や所作やカット割で少しくらい読み取らせてくれ…

初めてライトノベルを読んだ時のような感じ。
みんな好きなの
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

4.1

介護をはじめとするセンシティブな(と勝手に社会が決めつけて特定の感情と結びつけようとしている)トピックを使って全く非道徳的で完成度高いエンタメ作品に仕上げていてとても偉い。主人公2人がレズビアンカップ>>続きを読む

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.5

サスペンスのためのサスペンス。
それ以上でもそれ以下でもない純粋娯楽作品だが、情報整理のスムーズさと飽きさせない展開力・リズム感が超一級。
『ファーゴ』のようなコーエン兄弟作品には間違いなく影響を受け
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.1

前2作の下ネタ、露悪的なのかモラルあるのかよくわからない矛盾したグロをストレートには楽しめなかった自分にとっては、それらの「キングスマンらしさ」は不要だったのだな、と思えた。このくらいでいい。今回も嘔>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

3.5

まんまボヘミアン・ラプソディのアプローチでわかりやすかったけど、「ビートたけし」という人物の凄さを知りながらも、たけしのたけし性を崇拝はできていない自分としては「とある国のとあるコメディアンの半生」の>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.4

試写でいち早く観て良かった。
めちゃくちゃめちゃくちゃ面白かった!
グッチの血塗られた歴史をまず知らないので驚き。
派手なことは起きてないのに確かに『ゴッドファーザー』。リアル版和製『華麗なる一族』。
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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.4

ラブストーリーとしては90点。
レトロB級ダークアクションとしては90点。
今アメコミ映画に求めてたものとしては60点。
という感じだけど、昨今のMCUもDCも深刻に長大になっていてそもそも観に行くの
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あなたの番です 劇場版(2021年製作の映画)

3.9

ドラマファンは行くべし!
ドラマ未見なら絶対行くな!以上!

自分はドラマの過剰にフィクショナルでかつ、具体的には新鮮な事件は起きていないのに「交換殺人」という軸で串刺すパッケージのワクワク感に魅力さ
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.4

庵野秀明展開催記念特別上映で初スクリーン鑑賞

スクリーンじゃないとちょっと厳しい単調さ。
やはり『ラブ&ポップ」同様、庵野秀明が自分の物語を内容、モチベーション共に失い、藤谷文子の原作や主演の岩井俊
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