シズヲ

アイドルマスター シンデレラガールズ 2ndシーズンのシズヲのレビュー・感想・評価

3.6
うわ〜Filmarksにアニメ追加されとる 折角なのでかつて見ていたアニメを1~2クール引っくるめてレビュー。以前は本家ゲームもやっていた(鷺沢さんPでした)。アニメ放映当時は鷺沢さん出てきてくれてめちゃ嬉しかったなあ。

全体的に“ファンタジーとリアリティーのせめぎ合い”を感じる作品。1クール目の未央ちゃんや2クール目終盤の卯月ちゃんなどが顕著だったけど、シンデレラプロジェクトのアイドルは概ね“子供”として描かれているんだよな。彼女たちは精神的に未熟で庇護すべき対象で、社会に立たされる上でのプロ意識や責任のようなものが求められる場面は希薄。アイマス全般に言えることだけど作中の“アイドル”も自己実現の手段であるので、根本的に部活レベルの観念でドラマが構成されている印象(こう考えるとラブライブのスクールアイドルという発想はなんだか興味深い)。

それ自体は良いけど、そんなキャラクター達を取り巻く環境はあくまでリアルさを伴って描かれる。ミニマムな領域で収められた765プロとは違ってデレアニの346プロは大手事務所、1クール目の2~3話でもアイドルであることが“仕事”として描かれる。更に2クール目からは常務の登場でアイドル事業部門の改革などの“大人の事情”がガッツリ話に絡んでくる。でも主軸となるアイドルの物語は前述したように部活レベルの観念で進むので、大筋で見るとだいぶ奇妙な印象を受けてしまう。登場人物に対する寛容性と作中舞台の規模が釣り合ってない印象。大人側である武内Pと常務の対話パートもテーマ性の提示としてちょっとあざとい。ニュージェネ組とそれ以外のCP組の湿度差、多数存在するキャラクターへの目配せを要求された展開など、構成で苦労してそうな印象も端々から感じる。

そんなこんなでトータルで見ると引っかかる部分が多いけど、単体のエピソードは面白い。1クール目1話は“武内P”の意外性や凛と卯月のドラマチックな対比などが印象深いし、仕事としてのアイドルに踏み込みつつニュージェネ三人組の華々しい初陣を描いた3話はぶっちぎりの傑作。それ以降も“登場人物の自己実現・成長”を描いた単発話はそこそこ安定している(2クール目の“姉と妹の葛藤”を軸にして着地させた城ヶ崎姉妹&みりあ回は特に好き)。時計や階段など、お伽話的な暗喩を多用した視覚的演出の数々も印象的。ただ心情を天候に置き換える演出はちょっと頼り過ぎだし、お伽話的暗喩も前述の“ファンタジーとリアリティーのせめぎ合い”の一端を担ってる感はある。

映像面で言うと、無印アイマス同様ライブシーンを手書きのアニメーションに拘っているところも好き。“ライブの時だけCGに変わる”といった現象が起きないおかげでドラマパートからの移行もシームレスだし、視覚的にもすんなりと飲み込める。気合いの入った場面ではちゃんとヌルヌル動いてくれるし、既存楽曲もアニメ新規楽曲も総じて良い。そんな訳で思う所もいっぱいあるけど、何だかんだで憎めないアニメ。主役級であるニュージェネ組の感情描写は他の面々以上に生々しく湿っぽい質感があっただけに、物語の焦点を彼女達だけに絞ったデレアニも見たい気持ちはちょっとあった。あと目元が薄暗く描かれている鷺沢さんはかわいい。
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