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Re:CREATORSのslowのレビュー・感想・評価

Re:CREATORS(2017年製作のアニメ)
5.0
すべての創作者たちへ。
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アニメやゲームの人気キャラ達が現実に現れ、闇堕ちした創作人気キャラによる世界の崩壊を阻止すべく、作者と日本政府が全面的に協力して戦う物語。

【本作の概要】
スマブラ的設定のため、バトルモノを期待してガッカリした方が続出した作品。
確かにバトルはするが、主に言葉で殴り合うシーンが多く、アクションはおやつ程度。
本作のメインテーマは創作キャラ達が現実世界に来たらどう思うか、作者はどう反応するのか、作者はどんな想いで創作に向き合っているのか、など創作者側の心情にメスを入れており、物語を書く、もしくはイラストを描く方なら誰もが心に刺さる作品である。

【本作の面白いポイント】
人気の創作キャラが自身のグッズや原作に対し、どう反応するのか、自分の今後の人生を原作でネタバレされた創作キャラのリアクションなど、この作品でしか見れない面白要素が多い。

【元ネタ探し】
登場する魔法少女やSF刑事、ロボットパイロットもオマージュされた作品が分かりやすく、宿敵の軍服姫は初音ミクが元ネタである事がなんとなくわかる。

【悪役にも自由を】
本作は「悪役」にもメスを入れ、悪役ならではの一線を超えた狂気性も見せるが、悪役にも自由を与え、最後にはある種の悪役への救いと悪役を生んだ作者達の罪滅ぼしという想いがこの作品には込められている。悪役好きの方には是非見てほしい。

【触れてはいけない創作の“闇”】
また、創作の闇にもメスを入れており、ここが賛否両論分かれるところ。
バトルモノにそんな要素入れたら萎えるのも理解できる。
しかし、この作品はそこが一番大事。

【裸の心と正義が暴走するTwitterの闇】
本編にも描かれる作者への誹謗中傷にもありますが、以前『神様になった日』の作者がSNSに書かれた数多くの批判コメントに精神崩壊して失踪したニュースがありました。
「誹謗中傷は罪だが、作品を批判するのは罪じゃない」と書く人が多く、私はそれを見て絶句しました。

作品=作者の心で作者の鏡。作者の内面がどうしても作品に反映される。

だから作品を批判するのは作者に対しても攻撃してる事に繋がる。
勿論、批判は自由。
ただし、「言葉を選んでね」と強く言いたい。
作品は作者の魂だから。
作者も「人」だから。

Twitterにヘイトスピーチ投稿して問題になった作者も沢山いるが、私は思う。
「SNSで批判して叩く人もいつ自分が批判される側になるか、分からないよ」と。
自分が信じてた正しさも自分が知覚してるテリトリーから一歩出れば悪だったりするから。

【総括】
本作は普通は掘り下げない創作の闇も描いてるので、同じ創作をする者としては心をケアしてくれる価値ある作品。
たぶん一生これを上回るアニメは作られないだろうし、この作品が注目を浴びる事は永遠にないだろう。
それでも関係あるか。
私は何度も言い続ける。
永遠にこの作品を、創作を、自分が生み出したキャラクター達をこれからも一生愛し続けると。
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