シズヲ

ゾンビランドサガのシズヲのレビュー・感想・評価

ゾンビランドサガ(2018年製作のアニメ)
3.6
「『神撃のバハムート』のリタが可愛かったからゾンビアニメをやろうと思った」と語られた制作秘話、気持ちはよう分かる(リタは可愛かったため)。「私達、生きたい」というキャッチコピーといい何やら深刻そうなイメージビジュアルといい放送前はシリアスっぽい雰囲気を醸し出していたが、蓋を開けてみれば「サガってそっちのサガかよ!」となる圧倒的出落ちぶりで笑う。ゾンビになった少女達がアイドルになって佐賀を盛り上げるという予想斜め上の題材もいっそ清々しくなる(伝説の昭和アイドルだの伝説の花魁だのメンバーも混沌としているのが味わい深い)。そんなこんなでメタルやったりラップバトルやったりする1~2話はカオス寄りだし、身体張り過ぎなゾンビィギャグにも笑う。全体的にコミカルな作風なので、個性的なキャラクター達を見ているだけでも楽しい。キャラデザのキュートな柔らかさが好き。

とはいえバカをやっているように見えて根はだいぶ真面目。3話での軌道修正がかなり顕著だけど、ちゃんとライブを始めて以降はシュールなゾンビネタを混ぜつつも堅実な展開へと進んでいく。このへんは佐賀県の協力を得てPRも兼ねている部分が大きいんだろうけど、序盤でブチ上げたゾンビ×アイドルの期待値に釣り合っていない感が否めなかった。愛と純子の対比を軸に描かれるライブや肉親と対峙するリリィのエピソード等いずれも面白いことには面白いけど、滅茶苦茶やってた最初に比べれば随分凡庸な内容になったなあという印象。要所要所でぶっ飛んだ描写を入れてくれるものの、基本的にはスパイスの域を出ない感じ。そうやって無難な構成で進んでいくにも関わらず、作中で提示された伏線や謎はほぼ続編に投げっぱなしなのが引っ掛かる。

CGによるライブシーンはモデリングがそこまで自然じゃないので最初こそあんまりしっくり来ないけど、歌の熱量や演出のおかげで段々慣れてくる。歌そのものはいずれも秀逸で、個人的には『アツクナレ』がやっぱり好き。アニメ放映後に公開された『佐賀事変』もめちゃめちゃ良かったので、せめて本編でも使ってほしかった。モデリングに関しては2期において可愛く手直しされてて良かった。
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