あべ

ゾンビランドサガ リベンジのあべのネタバレレビュー・内容・結末

ゾンビランドサガ リベンジ(2021年製作のアニメ)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

いやあ良かった。
やっぱ最後で持ってかれたなー
ラストのライブは尺といい演出といい、ライブとしてちゃんと見れてなんか感慨深くなった。
ライブの背景もあって、お客さん一人一人が苦しい中だけどわざわざ足を運んで来たんだなとか思うと、観客がただのモブに思えなくなってた。
このライブの意味合いとか、フランシュシュのこれまでとか色々包括してアイドルっていいなあと純粋に思った。

一番グッときたのは避難先でパフォーマンスしてるとこ。
ああやって自分の身一つで大変な思いをしてる誰かを笑顔にできるのってとんでもないことだなあと。
そういう存在になりたいと憧れるさくらのような人の気持ちがめちゃくちゃわかった。

あとはやっぱりシリアスと笑いのバランスがほんとにいいなと。
特に駅スタライブの詳細を10話に持ってくるあたり巧み。
タイトルに「リベンジ」ってあるだけに中盤までその失敗を取り返すのが大目的としてあるんだけど、肝心の駅スタライブがどういう経緯でそうなったかとかほとんど明かされないまま進む。
そうすることで、駅スタの失敗の事実と、それによって打ちのめされたメンバーたちという状態がただの情報として入ってくるから、メンバーの心境とか深く考えず「そうなのね」と受け入れられる。
それによってベースの笑いを崩すことなく話を進められてた。
んで終盤に失敗のガチさを改めて提示することで、ラストのドラマに繋がってる。

「佐賀を救いたい」という気持ちがそれまで漠然としてたんだけど、最後の豪雨被害によって具体性をまとったことでより迫真のものになってて良かった。

全体を通して、アイドルものとしてめちゃくちゃ良かった。
キラキラキャピキャピせず、地道に一歩一歩前へ進んでいく姿とその直向きさに心打たれた(キャピキャピさせないという意図はあったらしい)。
あと、「売れる売れない」の打算性じゃなくて「佐賀を救う」という目標があって、だからこそ「たくさんの誰か」とか漠然としたものじゃなくて「佐賀に住む人たち」ひいては「目の前のあなた」という明確に笑顔にしたい人たちがいるのが良かった。
メンバー自身のキャラや関係性だけでなく、このファンの人たち(佐賀)との関係性が物語の軸に据えられてたからこその「応援したくなるアイドル」が確かにそこにあった。
そしてなにより全体のバランス加減。
ぶっとび設定に端を発するぶっとび展開満載なんだけど、それを笑いに昇華してそういう世界観として見せる巧みさ。シリアスとの塩梅がちょうど良かった。

総じてアイドルものとしてもモチーフにしても、他にはないオリジナリティのあるいいオリジナルアニメだった。
あべ

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