こたつむり

機動戦士Zガンダムのこたつむりのレビュー・感想・評価

機動戦士Zガンダム(1985年製作のアニメ)
3.5
◆ 重厚!伝説級のアニメ、その続編!
  混迷する事態は時代を切り裂いた結果か!?

あの『ガンダム』の続編。
ということで、ワクテカしながらテレビの前に陣取ったものの…背景が掴めないままに、ガンダムとガンダムが闘う意味が分からず、そのまま離脱した…そんな小学生の頃。

基本的に予習が必要なんですね。
地球連邦軍の中に生まれたエリート集団がティターンズ。それに反対するグループがエゥーゴ。基本的には同じ軍隊なので、基地や港は共有…って、ちょっと小学生には複雑すぎますよね。

ただ、それゆえに魅力的なのも事実。
構図が分かった上で臨めば、それぞれの立ち位置と思想が事態に合わせて動くのが面白いのです。まるで「アニメにリアリズムを持ち込むとはこういうことさ!」と冨野監督が高らかに宣言しているかのよう。挑戦的な姿勢ですね。

だから、トミノ節も炸裂。
というか、わざとトミノ節を前面に出している気がします。「落ちろ!蚊トンボ!」なんて普通の流れでは使いませんよ。そもそも他のアニメだと「蚊トンボって何さ?」で却下されると思います。

また、後半でアクシズが関わる展開も見事。
三つ巴で膠着する…なんて政治的な様相を取り入れるのは…うん。完全に小学生は切り捨てる姿勢でした(それでも僕の同級生は理解して鑑賞していましたけど…振り返ってみればスゴイ話ですね)。

あと、白眉なのは本作のラスト。
劇場版では変更されましたが『Zガンダム』の最後は“アレ”じゃないと締まらないと思います。というか、あの着地点だからこそ、本作のテーマが昇華されるのです。

まあ、そんなわけで。
娯楽ではなく、文学として臨んだほうが面白いアニメ。そもそも、主人公であるカミーユが“自分勝手”の極みとも言える存在。最初から感情移入を拒む姿勢だったのでしょう。

ただ、残念だったのは。
モビルスーツの扱いに商業的な戦略が透けて見えたこと。やはり、量産型を大切にしないとダメだと思います。確かに一品物のモビルスーツは商品が増えますけど…物語を支えるのは量産型。序盤はハイザックやマラサイが頑張っていますが、後半に目立った量産型がないのは…バーザムは地味すぎるしなあ…。
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