イグアン52

輪るピングドラムのイグアン52のレビュー・感想・評価

輪るピングドラム(2011年製作のアニメ)
4.8
きっと何者にもなれない俺達の生存戦略!!

きっとリアタイで見ていても、今より前のタイミングで見ていてもアホな私には分からなかったでしょう…ですが、分からない事が多いということはそれだけ情報量が多くて、考え作り込まれているという訳で、解説やらガイドブックやら、使えるものは全部使って考えながら見てやっと18話のリフレインに気付いた時や、冠葉のキスが最終話で返って来た時、冠葉が大事な人に伝えたかった言葉が最後に伝わってほしい人に伝わった時、色々な事が繋がった瞬間に今の僕自身に欠けていた大事なものをこの作品が教えてくれました。
キャラとしては、真砂子がとんでもなくカッコ良かったです。覚悟の決まった強くてカッコいい女の子、シビれるだろう?
きっと何者にもなれない俺達がそれぞれの呪いから抜け出すための呪文は「ありがとう ごめんね 愛してるよ」だったんだと…これに気付いた瞬間、僕の頭でSUPER BEAVERの「ひとこと」が流れ始めました…こんなに、まさにって歌を僕は知りません…。
自分から差し出したその愛が、罰が輪って帰ってきた時、その誰かと運命の果実を一緒に食べられたなら、きっとその時その場所で小さな「運命の乗り換え」が起こって、前の自分より少しだけ「運命」を信じられる、そんな自分に近付けるささやかな魔法が作品を見た僕が受け継いだピングドラムだったんだと思いました。
「運命」を少しだけ信じられた時、僕らはもう「透明な存在」ではなく、むしろ透明になりかけている誰かに手を差し伸べられるかもしれない。
それが出来た時には僕らはもう、きっと誰かにとっての何者かになれているのではないかと、自分のことで頭をいっぱいにしようとしていた自分にそれだけではいけないよと優しく、でもきちんと面と向かって教えてくれる、そんな誠実は作品に今このタイミングで出会えた事にとても大きな意味を感じます。ありがとうございました。
もっと、幾原作品を知りたくなりました。
イグアン52

イグアン52