こたつむり

幼女戦記のこたつむりのレビュー・感想・評価

幼女戦記(2017年製作のアニメ)
4.5
「幼女の戦争アニメ?幼稚園で砂場の利権をめぐって争うのかな。戦車の登場だ!とか言って、ラジコンがキャタキャタと登場するのかも」なんて先入観は間違い。ガチの戦争映画でした。魔法が出てくるのでファンタジー寄りですが。

ただ、根本的な思想はガチもガチ。
「貴様ら、ウジ虫が」というハートマン軍曹的な発言はありますし、登場人物の女性比率は僅少。美形男子もいません。基本的に戦場は漢の世界なのです。

また、ビジュアルも大奮闘。
統率が乱れた軍隊を空から描いた場面は「アニメーターさん頑張ったなあ」と思うほど。終盤の空中戦の迫力は劇場アニメなみでした。予算をケチらなかったことが伝わってきます。

だから、死も容易に描かれます。
便所に散る花弁のように、いとも簡単に霧散するのが戦争。その本質から目を逸らしていないので(寧ろグイグイと突き付けてくるので)戦場の臭いが伝わってくるのです。

それでいて物語の根本はコメディ。
フランスを思わせる共和国の主都の名前に《パリーシィイ》と付ける時点で…確実に作者さんは「ここは笑うところ」と考えてネーミングしたのが伝わってきます。

主人公も賢そうで“抜けて”いますからね。
色々と誤解を招く発言もありますが、根っこは“小市民”なので(徹底的な合理主義者であることを除けば…ですが)歪んだ微笑みも愛おしく思えます。

そんな中であえて難を言うならば。
台詞の端々に“中二病”っぽさを感じるところでしょうか。ライトノベルが原作なので仕方ないとは思いますが、やたらと大仰な言い回しが多いんですよね(存在Xとか)。この辺りは好みの話ですけど。

あと、絵柄も賛否が分かれるところ。
主人公の歪んだ笑顔は許容できるのですが、汗の形がまん丸いのは“汗っぽく見えない”ので違和感が拭えず…最後の方は慣れてきましたけどね。

まあ、そんなわけで。
本作を知らなかったことを悔やんだレベルで面白かった作品。原作が完結していないため、尻切れトンボなのは物足りないですが、話によると第二期も好調に製作中だとか。この物語の着地点が何処になるのか…とても楽しみですなあ。

最後に余談として。
原作の小説もしくはコミカライズされた漫画を読んでみようかな…と手を伸ばしたら。気付けばコミックス25巻まで我が家に揃っていました。

続刊はまだか!衛生兵!
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