キラリ

日本沈没2020のキラリのレビュー・感想・評価

日本沈没2020(2020年製作のアニメ)
3.3
“目を覆いたくなる出来事から一歩も動けないと思う時でも、私は常に前を向いて一歩でも前に進む”

まずは、最初に。人が亡くなる瞬間や災害の悲惨さが結構なレベルで生々しく描かれているので、そういう描写が苦手な方は観るのを控えた方がいいかもしれないし、これから観ようと思っている方も覚悟して慎重に観た方がいいと思うアニメ。観る時の精神状態だったり体調次第では、作品の負の感情に引っ張られてしまうかもしれない。エピソードが終わるごとに、とてつもなく心にズシンとにくるものがあるので、軽はずみな気持ちで観る作品ではないなと個人的には感じている。

私は、本作の原作や映画やドラマは全く観ておらず、小松左京作品はこのアニメが初めて。

別の作品『東京マグニチュード8.0』は災害のリアリティをとことん追求したアニメだったのに対して、この『日本沈没2020』は描写こそ生々しいけど、災害のリアリティというよりも、どちらかというと極限状態における人間のリアルが描かれていた気がする。人間の醜い部分や脆さや弱さも描かれているので、単なる綺麗事の詰まったお涙頂戴もので終わらなかったところが良かった。ご都合主義的なストーリー展開だったり、出てくる要素が多すぎるのがつい気になってしまうが、フィクションとして割り切って観ると全体的に良くできた作品だったと思う。具体的には、喪失と再生・死者との対話・多様な人々の共生・人種差別・宗教・デジタルなどあらゆる要素が盛り沢山だったり、突っ込みどころはいろいろあるが、ネット配信だからこそ制作できた非常にチャレンジングな作品だと感じた。でも、アニメだからまだ観れたが、実写化だとかなりしんどい。

一見すると、現実離れした描写が多い印象なのだが、もし今ここで同じ規模の災害が日本で発生したら現実も同じような状況になるのではという場面がいくつかあるので、観ていてぞわっとくるものがあった。

さすがに、もう1周観る勇気はないかな、、、海外の方の反応も非常に気になる。
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