たわらさん

呪術廻戦 第2期 懐玉・玉折/渋谷事変のたわらさんのレビュー・感想・評価

4.7
✔️懐玉・玉折

京都編までの五条は飄々としていてオチを持っていく最強キャラで鼻についていたが、この章で強者であることで生まれた擦れ違い、教師になったことへの理由づけを描き、五条悟の印象を大きく変えた。

一方の夏油傑は究極の利他的な人間であり、何を以てしても自分を二の次である発言が窺える(人たらしっぽくも見える)。故に他者が不条理によって尊厳を脅かされることを容認できない。この最強の自己肯定と最恐の他者肯定が衝突するプロットが美しい。

同時に、天上天下唯我独尊という最上級の自己尊厳と自己も他者も尊うことを捨てた自尊心0の衝突もあり、呪術廻戦のテーマである愛という名の呪い/束縛(賭け)を残す甚爾や九十九の伏線も残す構成に完成度が頭一つ抜けてる。

原作では淡白だった背景も会話の隙間の魅せ方や間、情景描写とのリンクが上手く、アニメならではの魅せ方が凄まじい。コメディの緩急、作画表現の幅、音楽の親和性と、ただ観ていて楽しい。

✔️渋谷事変

シーズン1と呪術廻戦0、懐玉・玉折を経て、全キャラが渋谷に集合して繰り広げられる無秩序な人と呪いの対決であり、集大成に相応しい怒涛の伏線回収と先の読めない展開。人より人らしい呪霊、呪いを残していく呪術師たちと様々な呪いあいがある中、誰よりも人離れした異端者がこの世界で適しており、最後に笑うのは彼らでしたね。

「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
ただし、俺たちを除いてな」
たわらさん

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