こたつむり

墓場鬼太郎のこたつむりのレビュー・感想・評価

墓場鬼太郎(2008年製作のアニメ)
4.5
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は2期まで!
…という原理主義者の僕ですが、本作はアリ(余談ですが、3期はユメコちゃんなるオリジナルキャラクターに食傷気味だったのと、小学校のお楽しみ会でゴミ袋をかぶってEDテーマを歌ったのが嫌な思い出)。

何しろ、原作における最高傑作『鬼太郎夜話』の原典ですからね。水木しげる先生ならではの“先が読めない”展開とシニカルなキャラクター、独特の怪奇趣味がジワリと伝わる傑作も当然の話。

しかも、小ネタまで再現する姿勢が良し。
寝子ちゃんが歌うところで「鼻の下が伸びた」部分なんて、思わず頬が弛みました。

あと、画面全体に和紙のようなフィルターが掛かっているのも雰囲気十分。何しろ、世界観は昭和30年代(東京タワーが映るので落成後ですかね)。レトロな感じが大切なのです。

また、グロテスクな画を再現した心意気も良し。ねずみ男の謀略でトランプ重井が吸血木になる場面なんて、幼い頃に観ていたらトラウマ必至。他にもニセ鬼太郎の着地点だって地味に残酷ですし…さすがは深夜アニメ。徹底的なのが素敵。

でも、さすがにチベットの高僧の名前はNG。
放送禁止用語ですからねえ。トムポという名前になるのも…仕方がないかなあ。京極夏彦先生が声を充てただけで納得するしかないのです。

まあ、そんなわけで。
『ゲゲゲの鬼太郎』の原点。
ライトな雰囲気になってしまった近作とは違う“おどろおどろしい”雰囲気を味わうには最高の逸品です。軽妙なテンポのオープニング、中川翔子さんがしっとりと歌い上げるエンディングも必見です。

最後に余談として。
『ゲゲゲの鬼太郎』でトラウマと言えば、2期43話の『足跡の怪』。未就学児の頃に再放送で観てしまった僕は夜が怖くて怖くて…そりゃあ、僕が歪んでしまうのも仕方がない話ですよねえ。興味がある人は是非とも観てください。うけけけけ。
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