八咫烏

HUNTER×HUNTERの八咫烏のレビュー・感想・評価

HUNTER×HUNTER(2011年製作のアニメ)
4.2
いやぁ長かった、、、けど凄かった。
日本で1番クリエイティブなのは漫画家さんとアニメを作るクリエイターさんではないか、と常々思っているのだけれど、これはまさに、、、な作品。
マッドハウスの作画は崩れもないし、動きも綺麗。旧作は観れていない。
ただopとedはもうひと工夫欲しかったかな。これだけ長くてop曲が変わらない。

いくつかのロングエピソードから成るストーリーはそれぞれ毛色が違うので、どの人でも何処かしらは刺さるのではと思う。
ヨークシン編や会長選挙編も良かったけれど、自分はやっぱりキメラアント編。

王道ジャンプ展開(主人公の成長、修行、友情)はアツいし、GI編のカードバトルも良く出来ているなぁ、と感心する。
とはいえ、この辺りはともすれば子供向けと感じてしまうかもしれない。
しかしキメラアント編は刺さってしまった。
こういうのをぶち込んでくるって、ホント油断ならない笑

蟻の王の残虐性と暴力を描きながら、人間という種の身勝手さや醜悪さをも浮き彫りにしていく。
いきなり生態系の頂点として生まれてきたメルエムに、人間の倫理など知る由もない。
メルエムが生まれた時、最初に女王とペギーが死んでいなければ、、とつい思ってしまうし、彼の器と賢さ、成長速度を知れば、あと少しの時間があれば、、、と思ってしまう。

ナックルやモラウやカイトの戦いはアツく、主人公側の成長と並行してキメラアント側のキャラクター達もそれぞれが自我に目覚めていく。
人間を食料として見る種族とは当然相入れないのだが、人間の言う「悪」を他の種族に強いる事が「善」なのか、子供の頃に観ていたら自分はどう思っただろう。。とモヤモヤするところまで良く出来ている。

シュチュエーションの為にキャラクターを動かす事をしない。全ての戦いと、王の死因、そこで感じるもどかしさが、メルエムとコムギの美しいラストシーンに繋がっていく。
構成がお見事。こんなん無理よ。。
あと軍儀のシーンね。。結末を知った後だとなお胸にくる。

好き過ぎてキメラアント編の事ばかりになってしまった。
何だかんだ言って、結局自分はヴィランに愛着を持ってしまうのだ。幻影旅団もまたいいしね。
いつもヴィラン達の矜持にグッとくる。
しかしこの切なさと、もどかしさを何処にぶつければいいのか。。あー、、、切ない。
八咫烏

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