たも

〈物語〉シリーズ セカンドシーズンのたものネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 猫物語白、傾物語、囮物語、鬼物語、恋物語の5章形式。

 今作は泣ける作品って印象は一切なかったけど猫物語白で号泣した。
 猫物語黒のモヤッとした気持ちを白で解放してくれた。黒では色んなことをハッキリさせないまま気持ち悪い終わり方だったけど、色んな感情と向き合うことでようやく涙を流すことができた羽川さんを見てこちらの感情のキャパも溢れた。
 羽川さんがようやく泣けて良かった;;きちんと失恋できたし、世界中の全てに嫉妬していた気持ちとも向き合うことができて、家族との不仲も解消とはいかずともストレスにならない形を作れそうで、とにかくきちんと前に進めそうでよかった;;
 西尾維新さん羽川翼のこと大好きすぎるでしょ、って何度も思うくらい物語シリーズのメインヒロインの中で頭ひとつ飛び抜けて心理描写が秀逸だと感じた。
 傾物語でもちゃっかりがはらさんを差し置いて幼女として登場してる。最高だった。
 
 傾物語は起こってる出来事が面白かった。だけど放送順に視聴してる現時点で忍と暦の関係性がイマイチ掴めていないのが楽しみを半減させてると思った。多分傷物語を鑑賞してからみればもっと感情移入できると思う。
 単純にオレが見落としてるだけで、きちんとここまでの話に説明があったのかもわからないけど、ブラック羽川に暦が殺された世界線、忍が家出して腹いせに世界を滅亡させて、当の本人は暦を失って絶望している。それがよくわからんかった。まあやっぱり傷物語を見ればわかると思う笑

 鬼物語も傷物語を見(ry
 ヒロインが3人揃って会するのはとってもレアな状況だと思って楽しめた、幼女と童女と少女のボーナスステージ。全員とキスしてハグして淫をする暦を見たらがはらさんはどんな気持ちになるのか純粋に気になった笑

 囮物語はなんというか、撫子の恋愛観を月火ちゃんに嬲られていると感じるくらいには撫子の恋愛観と考えをシンクロできる自信があった。高嶺の花に恋をしていると自分が得をするってあの説法はヴァンパイアにニンニクと十字架と日光を浴びさせるかの如くオレに効いた。撫子も渋々納得していたけど、全くもって同じ反応をすることしかできなかった。初めて見た時5〜6年前にどうして自分のことだと思わなかったのか不思議。
 囮物語は今シリーズの見せ方にしては珍しくとても普遍的、というのもきちんと前章から入ってくれるから続きが純粋に気になった。暦はとんでもない女の子に好かれる天才だなあ。

 この流れで恋物語に入るけど、恋物語はあまりにも出来が良すぎるから、物語と物語を繋ぎ合わせてフランケンシュタインみたいにして出来上がった作品なんだと解釈した。貝木という人物以外には撫子を騙す役目は絶対にできないし、貝木が言葉にするから撫子を騙すことにも説得力が出ていた。当たり前かもしれないけど、撫子以外のヒロインには蛇神さまは務まりそうにないし、敵役があんなに適役な狂い方をできるのも撫子だけだし、何もかもが枠に収まりすぎていて美しく歪だった。

 猫物語白のがはらさんの推理で次に燃やされる場所が我が家なんじゃないかって推理を見事的中してたけど、その理論でいくと作中でターミネーター2を例えに出して、今回のブラック羽川はシュワちゃん的な立ち位置で活躍していたし、見方によっては鬼物語の黒い何かもターミネーターに追われてるのと似ているし、恋物語では以前の敵と現在の敵が戦うってターミネーターの構図と似ていた。完全にこじつけだけど(笑)
 傾物語はドラえもんも出てきてたけどタイムスリップはやっぱりターミネーター(だけど、どちらかというと時間軸が複数存在してるタイプのタイムスリップだしバタフライエフェクトのようだった)。囮物語には貞子が登場している。恋物語は貝木が撫子に「やりたいことをしろ」と促すカットにmovieと書かれたポスターがずらりと並べられていた(ハリーポッターとアナ雪とナルニア国物語っぽいのは確認した)
 5章ある話の中全てに映画をオマージュしてるところにあるの発見していくのがおもろかった。実際猫物語でも人格が入れ替わって本体は裏の記憶を覚えてないって構図はファイトクラブも連想したし、囮物語の終盤に撫子が自問自答して答え合わせしてるのもファイトクラブっぽさがあると感じた。
 流石に次に燃える場所を当てることはできなかったし鬼物語には映画関連ネタが追いかけてくる意外にわからなかったから確信はもてないでいるけど、今シーズンは映画をテーマにするのがコンセプトなのかも。
 恋物語最後の貝木の言葉が妙に劇的な言い回しだったのも気になった。今回のシリーズは統一して映画の裏テーマに「人生」があったかもしれないし、なかったかもしれない。
 これはアニメスタッフ陣の粋な計らいなのか、それとも西尾維新さんの趣味なのか、あるいはどちらともなのか、もしくはそんなことは一切狙っていないただの偶然だったのか。貝木が善人と悪人の間を揺れ動いてるみたいにハッキリしなかった。が、今作を見ての貝木の印象はあえて悪役を買うこともあるけどどう見ても善人だった。好きって言わなきゃ好きじゃないのとは違うように、助けてって言わなければ助けて欲しいと思ってないことにはならない。それと同じように、この作品シリーズには、映画のように色んな人生を模索して歩んで過去や未来に執着しないで今を生きろっていうようなメッセージを勝手に受け取っておくことにする。
たも

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