うにたべたい

ゴジラ S.P <シンギュラポイント>のうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.6
日本のゴジラシリーズとしては初の、ワンクールアニメ作品。
Netflix独占配信です。本作視聴のため、私はNetflixを契約してしまいました。

アニメでゴジラというと、ディズニーの人気キャラクターを無慈悲に踏み潰すだけの例のアレとかが思い浮かびましたが、本作はちゃんとストーリー性があり、巨大怪獣ゴジラが街を破壊します。
過去のゴジラ作品同様、登場する怪獣たちには新解釈が加えられており、他のゴジラとは関連しないオリジナル作品です。
ゴジラ以外にも怪獣が登場しますが、デザイン、設定等、一新されていて、過去作視聴の必要はなく、本作から楽しめると思います。

ストーリーはかなりハードなSFになっていて、終始、物理学的な専門用語が飛び交います。
はっきりいって視聴者置いてけぼりで、私なんぞ全く理解が追いつかないまま、ストーリーがずんずん進み、気づけば巨大怪獣の暴れまわる空間にいた感じがしました。
私自身が怪獣特撮に求める、とにかくでっかい怪獣が街を破壊して回る日常の崩壊や、人の介在を許さない怪獣同士のプロレス、超理論の巨大兵器で人類がついに打ち勝つカタルシスなどは本作にはなかったです。
本作のメインは怪獣ではなく人間で、怪獣にケダモノ臭さが感じられず、そのため、個人的にはあまり楽しめませんでした。

舞台は近未来の日本で、非凡な知能を持った2人の若者が主人公です。
彼ら二人が同時進行で謎の解明に動き、やがてくる"破局"に立ち向かうという展開です。
戦前から存在する古い電波塔で謎の電波を受信したところから、物語が動き出します。
ゴジラの他に、ラドン、アンギラス、マンダ、クモンガ、そして人間側の味方ロボットとしてジェットジャガーが活躍します。
ただ、キャラデザインは一新していて、原型はほぼなく、名前が一緒の別の何かと考えた方がいいと思います。
ゴジラシリーズで過去作と比較するのは酷だということはわかるのですが、ラドンは是非、本作ではなく"空の大怪獣ラドン"を見てほしいです。
本作では大量に出てきますが、ラドンはもっと哀愁があって、驚異的な存在なんですよ。
メカゴジラをそういう名前の街にしてしまった某劇場版作品にも仰天しましたが、思い出の怪獣を量産型にしてしまったのも正直、ちょっと...となりました。

ちなみにデザインは大きく変わっちゃいましたが、新デザインは新デザインで悪いわけではないです。
ただ、アニメっぽさがあり、中に人が入って動かすことを前提としたデザインでないため、特撮っぽさはなくなっています。
そこはアニメで作ることの長所と思うので、本作の怪獣はそれはそれでありと思いました。
また、本作オリジナル怪獣で"サルンガ"という怪獣が登場するのですが、特にこの"サルンガ"は特徴的で、良デザインと思いました。

あと、エンディングムービーがかなり凝っています。
過去作追いかけているので、元ネタがわかるものもありましたが、気づかなかったものもちらほらあり、エンディングはとてもゴジラ愛を感じました。
有志でまとめている方もいるので、最後に答え合わせしてみるのもおすすめです。