主人公のたまこは、ものすっごく良い子で、そんなたまこを取り巻く世界（家族、商店街の人々、学校の友人…）も、めちゃくちゃ優しくて温かい。ハートフルな日常モノとしても十分楽しめるけれど、ここに喋る鳥をはじめとしたモチマッヅイ家という異国の王家との交流という要素が加わることで、最後まで飽きずに楽しめた。
隣に住む幼なじみのもち蔵の恋心や、たまこに対するみどりの友達を超えた感情など、初々しくてかわいい恋模様がたまらない。山田尚子監督は、この思春期の感情を丁寧に描いて伝えてくれるので、登場人物達をより愛おしく感じられた。特に、バトン部の部長として一人で問題を抱え込んでしまうみどりや、お妃候補に選ばれて悩むたまこ、好きな子が転校してしまうあんこの、強がりと弱さに心がぎゅっとなった。
キャラデザはけいおんからの流れを感じ、女の子の感情表現とバトン部の演技は、響けユーフォニアムへの繋がりを感じた。京アニとハートフルな日常系が好きな私にとって、もっと早くに見ておくべき作品だった。
