平田一

ホリミヤの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

ホリミヤ(2021年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

不思議な感触の作品です。

原作はウェブコミック「堀さんと宮村くん」と、月刊Gファンタジーで連載された「ホリミヤ」で、これをCloverWorks(「約束のネバーランド」「ワンダーエッグ・プライオリティ」)さんでアニメーション化した作品。手掛けたのは、来年じっくり堪能したいTVアニメ「新世界より」や『ガラスの花と壊す世界』の石浜真史監督。シリーズ構成は「四月は君の噓」の吉岡たかをさん。アニガサキ11話のライター、平林佐和子さんが各話脚本で参戦をしているところも注目です。

物語は平たく言えば、学校では影が薄く、そこ以外では派手な格好の男の子、宮村伊澄と、快活な人気者で、家事もこなせる堀京子の、二人を主軸に色んな人との触れ合いの物語。

これといった事件もなく、あくまで終始日常の一コマの切り取りで、諍いも些細な誤解も日常の延長線上。けどそこでハッとさせる映像美の力も借りて、日常を魅せるという、盲点が魅力かと。特にキャラの“二面性”を、特に特別視もせずに、まあそういうところだってあるでしょにとどめてて、だからノンストレスな上、心地良さが非常に大きい。そこもボクが強く感じた本作の味ですね。

あと神山羊さんの「色香水」がとにかく綺麗。OP映像も相まって、触れた瞬間、ホリミヤの世界観にダイブできた気分です。あんなに美しい映像と音楽は眼福です✨

キャラクターに絞るなら、ホリミヤペアは無論ですが、河野桜と沢田ほのかって女の子が好きですね。

ホリミヤペアは最早なんか熟年夫婦と言いますか、既に長年連れ添ってきた間柄感が好きで、中盤からの主従関係感もキュートでビックリです(まさかあんな流れになるとは)!

ホリミヤペアの一押しは堀さんが誤解を受けて、生徒会から非難をされて、宮村君が仰天手段で誤解を解いたパートでした。現実なら間違いなく“エーーー!?”が先行するでしょうが、空気に負けない、空気を破る、宮村君の強さというか、ものすっごい大胆さはすごく興奮しましたね。またこれを内山さんがナチュラルに見せているから、アニメなのに日常感が宿っているのが良いですね!

河野桜という女の子は、青春ものではお馴染みである、“片思い”のキャラクター。ボクが単にメガネっ子が好きって理由もあるんですが、この子の性格とか健気さが、全部刺さってきましたね。あるシーンの切なさは、静かに胸に染みたうえ、生徒会長からの言葉で涙を流すところはもう、“あー、この子幸せになってほしい”に尽きました。「ヴィンランド・サガ」で演じたホルザランドもそうでしたけど、近藤さんってこういったピュアな役が似合いますね。だからこそ「ドロヘドロ」のニカイドウのギャップがデカい(笑)。

逆に沢田ほのかの方は、ちょっとアブナイ系ですね。堀さんに向ける思慕が百合の気配と言いますか、若干危険な香りを匂わすところがとても可笑しいですw一方で宮村君と腐れ縁のような形になるところも可愛くて、彼の妹みたいでした。これをまた妹キャラが似合う麻倉ももさんが演じてるからなおさらこの子の妹感がすごくデカいw

と、色々書いたんですが、石川君と吉川ちゃんはあまり好きになれずです。人生そんなにハッキリさせれるものではないのは分かってますが、それにしたってこの二人、あまりにハッキリしなさすぎ。イライラすることも多かったし、このペアだけはイマイチですね(一歩間違ったらこのペアは、スクールデイズ案件ですよw)。

特別でも何でもない、ただの日常の一コマを、こうまで眩く描いたところも含めて面白かったけど、また見るなら先ほど言ったペアのところは飛ばすかな。

そこだけがどうも引っかかって、しょうがない作品でした。
平田一

平田一