ウシュアイア

絶園のテンペストのウシュアイアのレビュー・感想・評価

絶園のテンペスト(2012年製作のアニメ)
3.8
文明の破壊と再生を司る「はじまりの樹」と「絶園の樹」をめぐるダークファンタジー。

妹・愛花を殺された不破真広は、一族との対立により絶海の孤島に追放された「はじまりの樹」の加護を受ける魔法使い一族の姫君・鎖部葉風が流した魔具が入った瓶を拾い、葉風を救出することと引き換えに妹殺しの復讐に協力するという契約を結び、幼なじみにして愛花の秘密の恋人であった滝川吉野とともに鎖部一族の対立、「はじまりの樹」と「絶園の樹」の活動による世界の異変に巻き込まれるというお話。


ゼロ年代の「セカイ系」のにおいを残したダークファンタジーといったところだが、シェイクスピアの戯曲のセリフを引用し、また劇中と同じシチュエーションを混ぜながら進んでいき、他の作品などに比べると趣向が凝らされていることがよくわかる。SF的ギミックを使った駆け引きによる先の読めない展開でそれなりに最後まで楽しく見ることができた。

ちょっと気になったのは真広と吉野の立ち位置。序盤の回想シーンから愛花は只者ではないことがわかるが、真広と吉野の行動原理は愛花であっても、世界を救うという役割の葉風と鎖部一族、後半からの登場する羽村めぐむとの役割分担が物語の中でうまく機能していたかどうかは疑問。

序盤は異能バトル要素が強めだが、全体を通して見るとSFミステリ、ラブストリーが中心。異能バトルはおまけ程度に思っておかないと興ざめするかもしれない。
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