きまぐれ熊

ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデンのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

3.0
ヴァンパイアモチーフ×百合という事で期待していたんだけど残念ながら好みではなかったです。

というか百合じゃなくてめっちゃオーソドックスなボーイミーツガールじゃない?百合には詳しくないけど、守られるヒロインと強いヒーローの組み合わせで、たまたま性別が一緒だっただけ、という感じ。

百合特有の情緒は余り感じられず、ヴァンパイアである必然性も弱かったように感じる。
何故なら人間であるモモ視点で物語が進むので、ヴァンパイアであるフィーネの長寿を感じられなかったから。きっと過去に色々あったっていうのはクライマックスで明かされるが一気に説明されてしまうので、フィーネ視点で小出しに回想を見せてくれた方が長命の歴史に重みを感じられたと思う。
また情緒を感じられなかったのは、言葉を選ばず言ってしまえば、主人公モモの他人に対する思いやりの薄さ=想像力の乏しさから来ている。これではお互いの異種族における立場を思いやった恋愛が成立しているとは到底思えないし、友人としてもちゃんと理解し合えてたかどうかも確信が持てないくらいの危うさ。
だって主人公を回収に来た叔父さんに対して「お前誰だよ!?手を離せ!!」って言っちゃうような主人公、共感できるか...?意図的に視野の狭さを描いてるのかもしれないけど、あまりにも魅力なさ過ぎてちょっと不憫なレベル。CV潘めぐみという圧倒的なブーストがあってこの好感度だもんな。

アニメーションやデザインだけでいえばさすがのWIT。当然素晴らしいし、暴走したヴァンパイアのデザインも良い。bloodシリーズの吸血鬼とマブラブのBetaのハーフみたいなデザインは心情的に寄り添えるギリギリの化け物って感じで最高です。
ただし、雪国を舞台にすり必然性は全く感じられなかったので、総じて記号的なビジュアルだけを楽しむアニメーションって印象でした。

尺に関しても、どういうチャレンジをしたかったのか読み解きに困る長さ。
30×5話なんだけど、微妙に各話間伸びを感じたので多分、テレビサイズ×5話でも収まる内容だったと思う(22分×5くらい)。
ていうかそれなら劇場版サイズで駆け抜けた方がテンポは良かったんじゃないかという気がしないでもない。
きまぐれ熊

きまぐれ熊