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トップをねらえ2!のおはうちのレビュー・感想・評価

トップをねらえ2!(2004年製作のアニメ)
5.0
1話を見返してみて、オールタイムベストのロボットはディスヌフと確信した。番長型ロボットというのが最高にイカしている。1話の肉弾戦がホントかっこいい。結局は音楽、田中公平の勇壮的テーマが素晴らしい


2話「お姉さまなんかになりなくない」
絵コンテ:幾原邦彦だったのか。
大人と子供の対立、大人は艦隊を並べて規律よく宇宙怪獣を攻撃するが、子供は艦隊をオモチャのように操って面白おかしく遊ぶ。しかし、人命救助の必要性から子供の遊びをしていられなくなる構造。


3話「トップレスなんか大嫌い」
1〜3話を通して人命救助が描かれていて、トップレスは今の潮流で言う「ヒーロー」を指していた事に今更気付く。みんなを幸せにする為に戦うヒーローだ。

チコのトップになりたい願望、スコアを重視する思想は、トップレスのスコアトップで発表する偽善にまみれた嘘つきのスピーチを書き換えたいからだ。それは、子供の頃に初恋相手を救えなかった口から出まかせと同じ物だったからだ。

序盤で、コックピット上部に亀裂が入って隙間から見える星々、視線が上に向くのはトップを目指したい上昇志向。星々のキラメキが自戒を込めて付けているイヤリングに一杯映り込む。星々を雪と空目、雪には辛い思い出が詰まっていた。

スコア重視の姿勢、上昇志向で損得勘定の思想、自戒を込めてイヤリングを付けるチコ。ノノが反発してチコとバスターマシンとの障壁になる。障壁を取っ払うのが、自戒を込めたイヤリングを捨て去り自分を露わにして、本音を語る瞬間。

自分を露わにし、偽善にまみれた嘘つきのスピーチの内容を実行するバスタースマッシュ。守るべき民衆を背後にして、目の前の宇宙怪獣を凍結し、結晶は砕けて雪となり降り積もる。雪の辛い思い出が雪だるまに化ける。

雪だるまの目と口は初恋相手がくれたイヤリングで飾られた思い出の結晶で、笑顔の形をする。いましめた心が解きほぐされて楽になる。雪だるまが持ち上げられた背後には、子供たちの笑顔、子供たちの住む街、街がライトアップされてヒーローを祝福。

ノノはチコが捨て去ったイヤリングを拾ってあげる。2話では艦が落下していくのを助ける事を第一に考える。拾い上げる主人公。


4話「復活!! 伝説のバスターマシン!」
燃え燃え最高。


5話「星を動かすもの」
冒頭でトップレスが病気扱いされていて、近作の『BNA』では主人公の影森みちるが獣人病と称するのと重なった。両方とも世相の影響によって病気扱いか、病気と意識に埋め込まれる。それと、トップレスが青く発光する現象と同じように影森みちるも青く光る。

バスターマシンを自在に操れたトップレスがオートバイのエンジンが掛からないからって苛立つ。バスターマシンであるノノは折り紙で鶴を折ろうとするが上手くいかない対比。物に対して不器用である様子を見れば、普通の子たち。

ディスヌフの身体に刻まれ傷跡、過去の蓄積、戦闘経験値の理屈から、前作『トップをねらえ!』が存在する事を印象付けた上で、バスターマシン7号たるノノは特攻をしない。同じ轍を踏まない。特攻とはフィクションで甘言なのだな。


6話「あなたの人生の物語」
命を賭した特攻、心の臓を捧げる英雄行為へのカウンター。捧げるのではなく自分を生かす為に取り込んで、犠牲を払わず協力し合い脅威を打倒するように変化。前作『トップをねらえ!』の一万二千年後から帰還する二人を迎えられる誇らしさが満ちている。

守るべき地球と脅威との対峙、これ以上無いほど分かりやすい構図に落とし込まれる。ラルクの地球をぶつけて身投げする特攻に対して、特攻を制止するダイバスターの存在も端的で分かりやすい。感情を巨大化させて怒り、ド突き合うのも微笑ましい。

ノノは他人に犠牲を強いないが、ノノ自身は自己犠牲を率先してやってしまう、ノノの巨大化した善意。それにラルクが「強さは身体の大きさじゃない、心の強さだ!!」と巨大化したノノに言い放つ絵面が魅力的。ノノの巨大な自我を相手取る構図になっている。

まーーーーこんなに幸福な続編も無いわな。リスペクトに溢れているだけでなく、デザインが素晴らしくハマってた。外連味の方向性は更に発展して『天元突破グレンラガン』にも化けるし、言うこと無い。
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