彦次郎

スプリガンの彦次郎のレビュー・感想・評価

スプリガン(2022年製作のアニメ)
3.8
超古代文明のオーパーツの悪用を防ぐアーカムのエージェント「スプリガン」御神苗優の活躍を描いたSFアクション。原作たかしげ宙、作画皆川亮二で1989年から1996年まで連載された漫画をアニメ化したものです。過去に劇場版も作成されましたが2022年にNetflixで高クオリティの映像で新規制作されたのが今作にあたります。
連載当時は精神感応金属「オリハルコン」によるナイフ、通常の30倍以上の筋力を発揮させる「A.M(アーマード・マッスル)スーツ」を高校生が着て世界中の古代遺跡やオーバーテクノロジーの戦いに挑むという中二病全開な設定が大好きで愛読していたものです。雑誌ムーの愛好家か南山宏先生の著作を読んだ方なら分かるように現在(2023年8月)はオーパーツはほぼ否定されていますが連載当時はまだロマンのあるジャンルでヒヒイロカネがオリハルコンと同一製材とかライカンスロープが古代の遺伝子工学による生物兵器とかノアの方舟が地球規模の大気・気象コントロールシステムだとか一部抜粋しただけでも涎が出そうなネタが満載でした。
更にその設定に頼らず獣人のジャン、優の師匠にして最強の仙人朧、霊能力者でとトレジャーハンター女子高生染井芳乃、どんな状況でも生き残るトライデントの行動隊長暁巌、ネオナチで忍者の修行もしているボー・ブランシェ等多数のキャラクターが魅力的(特にアニメ版には出ていないインディジョーンズみたいな優の叔父御神苗隆とか風来坊すぎて最高!)なのも作品の面白さでした。
さて本シリーズは時代を連載当時から現代に移し違和感のないように仕上げていますが本質的な面白さは変わっていませんでした。ただ原作にあるバトルの熱さと飄々とした人間関係が再現されているとは相成らず、漫画とはある種別物として楽しむのが吉でしょう。エピソードも『炎蛇』、『ノアの方舟』、『帰らずの森』、『狂戦士』、『水晶髑髏』、『忘却王国』と連載順のみならず抜けているエピソードがあったのはファンとしては寂しいところです。
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