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CLANNAD 〜AFTER STORY〜のmizukiのネタバレレビュー・内容・結末

CLANNAD 〜AFTER STORY〜(2008年製作のアニメ)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

このアニメには、めんどくさいことから目を背け、するっと身をかわすような人間はほとんど出てこない。ぱっと見日常系だけど、その点が既にファンタジーで、理想郷、神話的。
その癖して、一般的な'幸せ'の象徴はことごとく壊していく。壊しまくり、現実を飲み込むための独自の解釈を提示…。優しくもあるし、残酷でもある。天才少女であることみちゃんも解明できていない、このアニメの世界の真実を見せるだけ見せて、唐突に終わる。製作陣、パンクすぎませんか。

出産のシーンとか、その後の岡崎の生活とか、苦しい部分を鮮明に描いていてとてもよかったと思う。母体死亡のリスクは必ず生まれる。最悪のケースを、覚悟する必要があるのが出産。もしもの事があった後の夫に対するケアは、正直言って足りていない。「私の夢を叶えさせてほしいから産みたい」で通し、認めさせ、死んでゆく。後の、周りの人間の悲しみなどつゆ知らず。渚ちゃんは、無邪気で、周りに不思議と活力を与える存在であったけど、同時にファムファタール(破滅を導く女神)でもあったと思う。罪な女…。

ともやにとって、渚が出会う事が、父との仲直りと破滅へのトリガーであって、渚が元いた世界での始まりへのトリガーでもある。全部自分のせいにしていたら、キリがないでしょ?全部自分のせいでもあるし、他人のせいでもあるんだから。自然の営みって、そういうことでしょ?とでも言わんばかりだった。このアニメの無邪気さ全部が、渚ちゃんだったな。
ゲームには、13通りのラストがあるようですね。奇跡が起こる確率と、最悪な結果を招く確率は、そう変わらない。人生にも、ゲームと同じようにたくさんの可能性、分岐点があって、来たる運命を受け入れていくしかない。
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