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CLAYMOREのcamusonのレビュー・感想・評価

CLAYMORE(2007年製作のアニメ)
4.5
終盤には、原作にはない「クレアvsプリシラ戦」が組み込まれました。
まあ、そんなチャレンジをするのもいいとは思うわけですが・・・

結局、原作に匹敵するような意外性のある感動シナリオは
そう簡単に描けるものじゃないってことが、
改めてわかったということですかね。

対プリシラ戦を入れたためなのか、
「北の戦乱」以降のヤマ場シーンが、ちょこちょこと原作から改変され、
ことごとく感動のスケールダウンにつながってるような気がします。

たとえば、フローラとの手合わせシーン。
原作の意図とは大きく異なる形に改変されています。
このシーンは、クレアがはじめて、自分とは異なる価値観を認めるシーンで、
(私はここで、フローラの凛々しさに惚れ、ジーンから乗り換えたくらいです。)
対リガルド戦におけるカタルシスの伏線としても非常に重要なシーンです。
デネヴとウンディーネのエピソードも悪くはないのですが、あくまで傍流であって、
本流を削って、傍流を補強する意図はわかりかねます。

9~11話の「斬り裂く者たち」
パブロ山の覚醒者狩りでの戦闘現場から、
それを遠方から監視するガラテア、エルミタに
場面を切り替える時のカメラワークは、
広大な空間を感じさせて「見事だ!」と思ったものです。
(ガラテア、エルミタの登場を早めるなどの改変もうまくいっている)

そのような空間を感じさせるカメラワークは、
「北の戦乱」における3体の覚醒者との同時戦闘のところで
本領が発揮されることが期待されたのですが、
同時戦闘の映像化は、はなから放棄していたようで、
それぞれの戦闘のぶつ切り映像をつなげました、と言った感じです。
リガルト戦に至っては覚醒者23体全員退場させちゃうくらいですからね。

「北の戦乱」以降の作画については、覚醒者の質感の描写が気になりましたが、
特に、原作で表現されているリガルト(獅子王)の毛並みの良さ
(物理的にも、精神的にも)がアニメでは感じられませんでしたね。
アニメでは動物の毛並みのような質感の表現がどうも苦手なようですね。

背景美術の質の高さが、劇場用アニメにも劣らない
映像美をもたらしていたのですが、
「北の戦乱」以降は、夜中の設定になっていて、
背景の魅力が半減してしまったのも惜しいところですかね。

原作も完了したことですし、
改変など何もなかったかのように「北の戦乱」から
第2期が製作されることを切に望んでいます。
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