本当に本当に観て良かった。
原作は100年以上前、
本作はおおよそ40年前の作品だけど、
いままでに観たどんなアニメよりも
示唆に富んでいて、美しいお話。
児童文学とされているが、
大人の目線で観てこそ気付く含蓄がある。
間の使い方であったり、
人物描写、風景描写のひとつひとつがとても丁寧。
何を表現したいか画で伝わってくる。
さすがは後のジブリの代表メンバーの仕事というところ。
往年の声優の演技も本当に素晴らしかった。
とにかく登場人物の心情が非常にわかりやすい。
寄りのシーンでは人物の描き分けがスッキリしているから、変なモヤモヤがない。
「この人はこういう人物だからこういうことを言うだろうな」という納得ができる。
成長/加齢に応じて各キャラの見た目が変化していくことに違和感がないのが凄まじい。
引きのシーンにも抒情が感じられて良い。ひとつひとつが風景画のよう。きっと美しい世界なんだろうなという説得力がある。
①物語序盤
アンに対しては普通に腹立つんだけど、
これも仕掛けのひとつな気がする。
アンの世界に知らず知らず
巻き込まれることが本作品の狙いと思う。
マリラはアンに対する突っ込み役で、
ちょうどよく視聴者の代弁となっている。
その掛け合いがどこかシュールな笑いを産んでいて小気味がいい。
マシュウは癒やしキャラで、
擬似親子としての関係性が物語に
切なさと美しさをプラスしている。
②物語中盤
アンの性格にも慣れ、
ダイアナとのピュアな関係性をはじめ、
彼女の誠実さ、素直さを眩しく感じる。
成長しながら少しづつ大人びていく
アンが周囲に影響を与えていくが、
その過程でマシュウやマリラといった登場人物とアンの絆が深まるにつれて、
物語を観ている自分もこの作品と結びついていくかのような気分がしてくる。
マシュウやマリラが喜ぶとアンだけでなく
自分まで嬉しくなっていることに気付く。
ジンとするシーンや、
クスッとくるシーンもあり、
こういった心理誘導がとてもうまい。
③物語終盤
これまで観てきた物語を
さらに価値のあるものにする名シーンの数々…
さりげない教訓や本質的なこと、
そしてめいっぱいの愛に溢れていた。
アン自身の成長ストーリーに違いないが、
視聴者を含めたアンに関わる人全てにとっての
成長/救済の物語でもあると感じた。
自分もその1人だし、とても感動した。
最終盤の展開には万感の思いが溢れる。
折に触れて見返したいと思う。
願わくばこの作品に触れて、
どこか救われる人が少しでもいたらいいな。