ウシュアイア

剣風伝奇ベルセルクのウシュアイアのレビュー・感想・評価

剣風伝奇ベルセルク(1997年製作のアニメ)
4.3
ダークファンタジーの金字塔のアニメ化作品の第1作。

原作未読だが、HUNTER×HUNTER同様に人気作品でありながらたびたびの長期休載をはさみながら続いていた超大作であることは知っていたが、H×H同様の理由から原作を手に取ることはなく、GYAO!の配信で初めて観た。

(大作はどこまでをネタバレとするか線引きが難しいが、些細なことでもネタバレNGの方は以下ご注意下さい。)

本作しか観ていないので先のことはわからないが、とりあえず『ベルセルク』という作品は、主人公の闇属性の暗黒剣士が闇落ちして魔王となった親友を倒す話のようだ。そして、本作は主人公が親友と出会い、親友が闇落ちして魔王になるまでの物語のプロローグの部分のみ。闇落ちフラグは序盤から立ちまくっており、野心家でどこか影のある親友は森川智之ボイス(ちなみにリメイク版は櫻井孝宏ボイスらしい)なので、早々に先が読める。

親友が闇落ちして魔王になる、という一言で片付く話を2クール(25話)かけており、リメイクの映画三部作はだいたい90分×3なので、かなり丁寧に主人公ガッツと親友グリフィスの感情の機微が描かれている。かなりえぐられる。最後は二人とも救われる話だといいなぁ。

作家も消費者もゲーム的な異世界ファンタジーに毒される前に作られた作品なので、ご都合主義欧風異世界(いわゆるナーロッパ)とは一線を画す伝統的な中世ヨーロッパ風ハイファンタジー世界が貫徹されているため、世界観が緻密。

作画は流石に四半世紀前のオールセル画だし、キャラデザインも若干古めかしい。原作ではどう描かれていたかわからないが、魔王降臨の時に引きずり込まれた異空間のグロさは衝撃的。あんなトラウマチックな背景は観たことなかった。

たぶんリメイクの方が映像はきれいなんだろうが、今のアニメにはない味わい深さがある。
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