滝和也

まおゆう魔王勇者の滝和也のレビュー・感想・評価

まおゆう魔王勇者(2013年製作のアニメ)
3.8
勇者って破壊者…
戦乱がないと
お役には立てないのか

魔王は戦いも強いが
軍または国を経営し
ている実は有能…

その二人が話あったら…

「まおゆう魔王勇者」

勇者の存在って…神に選ばれた破壊者デストロイヤー…で考え足らず。魔王がめちゃくちゃ可愛くて頭が良くて…最後の戦いにありがちな魔王の「勇者よ!仲間になれ!」がむちゃくちゃ説得力があって…成功しちゃったら…が見事に描かれちゃう作品。

RPGって…国の政治とか経済とか当然ながら描かれてなくて…。魔王軍の中身も国としての体裁なんかは無視されていて…。あたり前なんだけどソコをリアルにしてみると…。まぁ十字軍時代のお国と教会、そして異端なる蛮族が魔王軍であって…そんな感じになっちゃう。

この世界では経済と雇用を守るため、口減らしの形で戦いが必須になっている…ある意味地獄。魔王はじゃがいもを普及させることで食料自給率をあげていこうとするという…

更に自由商人が描かれて先物取引や株、通貨価値による為替まで描いてきて…既成の悪辣な勢力つまり教会と大国の重鎮を打破せんとするという…これ中々骨太な内容ですよ。

世界が戦いから抜けられないのは、悪辣な既存勢力や概念の存在とはっきり、現在世界にもノーを突きつける内容なんです。後半に出てきた商業や農業などの産業を推し進める魔王と勇者たちを異端として締め付け捕まえようとする大教会の図なんてまさにルターの宗教革命であり、カソリックがプロテスタントを弾圧する行いそのままでしたね。

やはり教会は敵になるんですが…(笑)日本人は教会の良さよりも嘘や不寛容な姿勢を嫌うんでしょう。魔王と勇者が組んだら確かに敵は悪辣な教会くらいでしょうし…。

比較的温和な内容で進行していきます。見やすいスタイル。勇者は破壊者なので創生の話となると活躍できず、ある意味狂言回しとして事態を見ながら、努力します。ただ…一市民である農奴の娘が世界を言葉で変えてしまうシーンがあるあたり、この作品の強さ、骨太さの象徴であり、まさに世界史をみせて頂いたきと気もします。駄肉つきの魔王というギミックより脚本や世界設定がすごかったと敢えて言いたくなりました(^o^)
滝和也

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