貴婦人修行

おにいさまへ…の貴婦人修行のレビュー・感想・評価

おにいさまへ…(1991年製作のアニメ)
5.0
出崎×杉野コンビの最高傑作。
舞台劇レベルの極端な陰影に冴えわたったハーモニーにとほぼ毎シーン異常な迫力がの画面で驚愕するが、宮様が本性を現し始める後半は各人物の心情描写が完全に極まってる。
そら全話素晴らしいが特筆したいのは夕陽を背景にしたトモ子との仲直りが涙を誘う7話「闇の時計塔」。初登場の仲矢さんを事件の主軸としながら宮様と奈々子の関係の変容、奈々子の入学時との心情の変化を語り切ってしまう15話「蕗子、海鳴り」。マリ子と父の恐ろしく粋な会話が聞ける28話「クリスマスキャンドル」。下衆た役割で終始するかに見えた三咲が見せる矜持が素晴らしい30話「署名運動」。分割画面演出、貨物列車の移動と停止、薫の君を後押しする宮様の台詞が劇的な38話「YES…」。そしてサンジュスト様の回はどれも凄まじい筆致。狂気の女であり続けることで夢を成就してみせる。宮様は毅然とした態度で腕輪を付け、奈々子は暗褐色の瞳とは付き合わない。