八咫烏

巌窟王の八咫烏のレビュー・感想・評価

巌窟王(2004年製作のアニメ)
4.7
久しぶりにかぶり付きで観てしまった。
モンテクリスト伯という古典に、SFとファンタジーを融合させた復讐と救済の物語。作画は一見の価値アリ。「モノノ怪」観た人なら抵抗はないと思う。

全てが良かった。
ストーリー、作画、声優、op ed、音楽。冒頭フランス語の語りがあるのも雰囲気があってイイ。
ed の入りがカッコいいったらない。一度も飛ばさず。

原作では脇役だった、当事者の子供視点となっている。これにより友情に恵まれた子供世代と友人に陥れられたダンテスの対比が効いている。
裏切られた人間と愛されてる人間。相入れない。

無邪気なお坊ちゃん主人公と、この主人公をいつでも守る親友、ちょっと達観してる婚約者。3人の幼馴染のバランスも良い。
特にフランツは忘れ難いキャラだった。若さ故の盲目、ひたむきさが眩しくて哀しい。

もう1人の主人公モンテクリスト伯に至っては、ビジュアルも演技も完璧な仕上がりになっている。
この岩窟王自体が中田譲治の声ありきの作品と言っても過言ではない。素晴らしかった。

作画は今どきの神作画とは違うかもしれないが、自分にとってまごう事なき神作画。衣装も素晴らしい。無数のテキスタイルと、モダンなデザイン。妥協していない。
こんなの今後もなかなか作れないだろうな。

決闘を申し込む時は手袋を投げつけたり、身分制度が中世の赴きだが、宇宙船で月の都市を旅したり、AIのアナリストが株の売買をしたりする世界観が楽しい。
決闘は甲冑で。造形が美しい巨大な鎧はモビルスーツの様な仕様だったりする。

印象深いシーン多数。
フランツの手紙もダンテスの手紙も、どちらも心に響く。
大団円とはいかなくも、美しい終わり方。
待て、しかして希望せよ。言ってみたくなる名言。
八咫烏

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