都部

そらのおとしものfの都部のレビュー・感想・評価

そらのおとしものf(2010年製作のアニメ)
3.6
前期と比較するとエンジェロイドであるイカロスとニンフの感情の指向性が明確な物となり、物語のラブコメ度が向上した事で物語の構成の体裁の取り方が改善されている。
また恋愛の機微に作品の色が染まらないように第三の天使としてアストレアが追加され、彼女が狂言回しとして話を動かしていく場面も見受けられ、前期の雰囲気を踏襲しながら作品の豊かな拡張に繋がっているのは好印象。文化祭のエピソードなどを途中に差し込むことでシリアスパートを終盤に固めず、小刻みにコメディとの同居を図ることで緩急をより自然な物にしようとしている努力も見られる。

やろうと思えば何でも出来る存在が、人間の尺度で生活することを選択する意義を 問う物語として、翼をもがれたニンフの立ち位置は大きい役割を果たしており、コメディを挟みつつ縦軸を着実に進行させながら三者三様のキャラクターとしての変化を1クールに収めてるのでそういう意味でも良かった。対して敵役に位置する次世代機のキャラクター設定や個性がどうにも安直な印象で、そうなり得たかもしれない存在という悲哀を思わせる要素はあるものの、個人としての奥行きを感じさせない月並みな狂キャラクターとしての振る舞いは格を落とすばかりだった。
それ故に終盤のアクション活劇部分で対峙する敵としても魅力的なマッチメイクとは思えず、エンジェロイド達が抱える作品のシリアス的な事情に釣り合わない安易さが感じられてしまうのは残念だった。
都部

都部