モカ

フランダースの犬のモカのレビュー・感想・評価

フランダースの犬(1975年製作のアニメ)
4.5
そういえば観た事なかったと思い、少しずつ進めて何とかコンプリート。
観賞前は子供向けと思っていたが、かじり始めたらついつい先が気になり、結局は全52話を何ヵ月もかけて完走してしまった。
色んなエピソードが盛り込まれていて、総じてとても面白かったです。

日本じゃ世界名作劇場の1作目?として取り上げられるほどの人気ぶりなのに、著者ウィーダの母国である英国や、物語の舞台となったベルギー、さらにフランスやアメリカなど世界各国ではさほど人気を博さなかったと聞いて原作も読んでみたけど、なるほどこれは確かに日本アニメの方がよく作り込まれてる。
元もいい小説ではあるものの、気の毒な話を題材とした短編という事もあってか、主人公たちの余りの報われなさに心苦しく感じられるのかも。

ただ、どれほど不幸な目に遭っても人を恨まないネロ、決して彼を見棄てないパトラッシュ、最後まで彼らを愛し続けたジェハンじいさんなど、こういった作品の特徴は原作とアニメを通して一貫してたから良かった。
同じく、どちらも理不尽なまでに悲惨なのも一緒。この点ではアニメ版の方が遥かに多くの幸福な場面が描かれてる──不運に見舞われそうな不穏な空気も常に付きまとうが……。

もともと50~60ページ程度の簡潔な児童文学をアニメオリジナルのキャラクターやらエピソードやらで敷衍したり、ネロの年齢を15歳から10歳へ、ヒロインのアロアは12歳から8歳へ引き下げたりと、設定をより児童向けに直しつつも話を52話まで拡張したってのが凄いね。日本アニメーションの丁寧な仕事が伝わってくるよ。

やりきれない話に心が痛みはするものの、ふかん的に捉えてみれば、明確な憎まれ役を担っているのはあの3名程度(金物屋と、あとアイツとアイツですよ……)。
日よりみ主義者も多いが、ネロの味方も少なからずいてくれて、村人も町人も基本的には良い人たちなのでありましたとさ。
原作とは違って木こりのミシェルによる救いの手もあるだけに、最後はネロの行動が不可解に思えるけれど、全体としては自分もアニメ版の方が好みでした。
でもそれだけに悲劇的な結末がいっそう悲しい。


以下、個人的なメモ(ネタバレしてるのでコメント欄に移動)。
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