あやの

妄想代理人のあやののレビュー・感想・評価

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
4.3
パプリカの故今敏監督が唯一監督した2004年のTVアニメ。
普段アニメ観ない人でもサイコサスペンスが好きな人、考察が好きな人…ぜひ観て欲しい。
少年バットという通り魔が現れて毎回被害者に焦点を当てて、犯人を追う話ではあるんですが、
マジで1話1話が濃くて面白い。
こんなに考察しがいのあるTVアニメなかなか出ないのでは。(私ですら納得のいくまでまだ考察や検索しきれてないしどのみち謎は残るやつ)
話作りとあと演出がマジで上手い。

3話目の二重人格の女、4話目の悪徳警官の話ですでに濃いんだけど、5話目の男の子のRPG妄想混じりの回も、その後の展開も、8、9、10話目の本筋と関係ない部外者たちの話ぶっこんでくるところも、最終回の作りというか全体の構成というのか、そして雰囲気も、何もかも爪痕を残した。

まぁ全部毒があってなかなかきつい話なんですが、個人的には8話目が異色で強烈。
自殺サイトで集まった3人の話なんですが、不謹慎だけどいかに死ぬかの明るい珍道中になっていて、これ大丈夫か?と思いつつも演出含め良く出来ているというか。

今更ながらこれら全部1話1話で単独短編作れるだろうし、世にも奇妙な物語とかでやりそう。

とにかく心から思うのは、
こんな凄い作品を次々生み出した監督の世界を、作品を、もっともっと観たかった。本当に悔やまれます。
せめて久しぶりに昔の映画を観たいと思った。

監督の公式ブログに裏話がたくさんのっていて、ここまでメッセージが込められていたのかとか気づききれなかった演出について書いてあって面白い。

そして以下、貼らせて頂きますが、監督の公式ブログにあった貴重な意見。
こういった作品の模倣犯が出た時何を思うか(一部おっと?、てとこも正直あるけど重要なのはこれより後)、
子供になにを教えていくべきか、
現実とバーチャルの線引きとは。

夢か現か、の話や表現を極め、描き続けたこの監督はこう考えるのかと興味深かったし、納得しかしなかった。20年近く前でこれってすごいなぁとも。

http://konstone.s-kon.net/modules/moso/index.php?content_id=13
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