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SSSS.DYNAZENONのうにたべたいのレビュー・感想・評価

SSSS.DYNAZENON(2021年製作のアニメ)
3.9
円谷プロの特撮番組『電光超人グリッドマン』を原作にした作品。
『SSSS.GRIDMAN』に続く、"グリッドマン"のメディアミックスプロジェクト『GRIDMAN UNIVERSE』の第二弾となっています。
『SSSS.GRIDMAN』の直接の続編ではなく、新規のアニメーション作品です。
ただ、登場キャラクターの一部で関連を匂わせるところがあり、未視聴でも楽しめると思いますが、先に『SSSS.GRIDMAN』を観ておいた方が無難かなと思います。
なお、タイトルの"DYNAZENON"は本作オリジナルの合体ロボで、『電光超人グリッドマン』に登場したアシストウエポンが元になっている様子です。

キャラクターは一新されていて、突如現れる怪獣に主人公達が立ち向かうフォーマットです。
ごく普通の高校生「麻中 蓬」は、空腹で倒れていた不審者「ガウマ」に食べ物を与えたことでなつかれてしまう。
翌日、クラスメイトの「南 夢芽」に呼び出され、河川敷に向かった蓬だったが、巨大な怪獣が出現して街を破壊し始める。
そこに居合わせたガウマがロボットの模型を天にかざすと、蓬、夢芽と、野次馬で表に出ていた無職の男「山中 暦」を巻き込んで搭乗させた形で、巨大ロボット・ダイナゼノンが現れるという展開です。
怪獣は「怪獣優生思想」という4人からなる"敵"が操っており、5000年前ガウマもその一員でした。
怪獣優生思想が繰り出す怪獣たちの驚異から街を守るため、蓬たちはガウマと共に戦います。

前作と異なり、怪獣の存在は作中のテレビで報道され、人々の記憶に残ります。
壊された街は復元せず、ダイナゼノンも怪獣も電脳世界から飛び出したかのような描写はないです。
「新庄アカネ」という鬱屈した少女は登場せず、敵と味方がチーム戦で戦います。
また、等身大ヒーローではなく、戦隊モノのように、各自が担当のメカを保持して、合体して巨大ロボになって戦うのも大きな違いだと思います。
設定、世界観共に『SSSS.GRIDMAN』とは異なるので、別作品かと思いきや、ストーリーの中盤で『SSSS.GRIDMAN』に登場したあるキャラが登場します。
彼らの発言から、『SSSS.GRIDMAN』との関連性を示唆するようなところがあるのですが、彼らの正体や『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』との関係は明言はされず、推して知るところとなります。

ただ、全体的に説明不足なところがあったように思います。
『SSSS.GRIDMAN』も大概わかりにくいところがあったのですが、『SSSS.DYNAZENON』は輪をかけていて、結局のところどういうことかわからずに終わってしまった感じがします。
"怪獣"とはなんだったのか、『SSSS.GRIDMAN』とはどうつながっていたのか、"怪獣優生思想"とは何だったのかなどなど、最終的には各主要キャラの抱えていた闇が晴れて前に進む終わり方になっていて大団円の雰囲気になるのですが、どこか釈然としない終わり方だと思いました。
"なんで?"が置き去りにされて、きれいなところだけさらっていったような雰囲気があります。
今後の『GRIDMAN UNIVERSE』で明らかになるのか、理解力の問題なのか、解説が欲しいところです。

怪獣デザインも前作に比較するとスタイリッシュ過ぎる気がしました。
昭和特撮怪獣マニアの新庄アカネ・プレゼンツの前作とは違い、平成・令和以降の"カッコ良さ"が出ているような感じがして、視聴後印象に残る怪獣がいなかったのも残念です。
そのため、個人的には『SSSS.GRIDMAN』のほうが好みですね。
ただ、各キャラのマシンが変形合体して一つの巨大ロボになって怪獣と戦うため、前作以上に仲間同士のつながりにスポットのあたった内容になっていて、ストーリー自体の深みがあったと思います。
敵の個性が希薄なのと、ラストが駆け足過ぎる感じがしたので、もうワンクール以上かけて丁寧に展開したら良作になったのではと思いました。
戦闘の舞台は基本的に街中で、ロボと怪獣がビル群の中で戦うシーンは迫力があります。
ストーリーの基幹となる部分はよくわからなかったですが、枝葉となる各キャラのサブストーリーはよくできていて、楽しむことができました。

ちなみに原作の『電光超人グリッドマン』は未視聴です。
見ていれば原作ネタで楽しめるところがあったかも、今後見る予定はあるので、そこはそのときの楽しみにしようと思います。