あんへる

CANAANのあんへるのレビュー・感想・評価

CANAAN(2009年製作のアニメ)
3.9
【2009年夏アニメ作品{全13話}】

《TYPE-MOON×P.A.WORKS》

『決定権は生きている者にある』

「428 〜封鎖された渋谷で〜」というゲーム内に収録されているボーナスシナリオを題材にしたアニメ作品。

428自体の開発元はチュンソフトだが、ボーナスシナリオ「カナン編」の制作にのみTYPE-MOON(シナリオ:奈須きのこ、キャラデザ:武内崇)が参加している。
これを原作としたアニメなので、一応型月作品と言える(はず)。

ゲーム本編の2年後の世界が舞台となっている。
ゲームからのキャラクターも当然登場するが、別にここらへんの前情報は知らなくても特に問題無く観れる内容。
個人的には他の型月作品ほど敷居の高い印象はない。
まあ作風的に万人受けはしないと思うけど。


本作の舞台は陰謀と欲望が渦巻く上海。
“共感覚”と呼ばれる特殊能力を持つ少女カナンと犯罪組織「蛇」との戦いを描くバトルアクション。

主人公が謎の特殊能力持ちだとか、超人的な戦闘力を持ってる感じとか、設定が一昔前のエロゲっぽくていいよね。
TYPE-MOONだけど、なんとなくニトロプラスっぽいよ。w
ちょっと強引な位が丁度いい。
最近は凝りすぎて、現実的なのかぶっ飛んでんのか最早よく分からん取っ付きにくい設定が多いよ。
初心に返ろう、もっとシンプルに行こう、創作物なんだから。


ガンアクションがとにかく美しく、見せる箇所で確実に魅せてくれるアニメ。
バトルシーンはキャラがなめらかに動く。
PA初期の作品だが、最近の作品と見比べても遜色ないレベル。
PA制作の強みがこの映像美に現れている。

テロや細菌兵器等のシリアスで割と規模の大きな題材を扱っているので、常に緊迫感があって退廃的な空気が漂っていた印象がある。
それだけに、最終的にカナンとアルファルドの対決だけに集約される至ってシンプルな構図が若干勿体無い気もしたが。
明確な見せ場ではあるが、この尺に纏めるには風呂敷を広げすぎた感はある。

今思えば声優陣の豪華さだけでニヤつくレベルだな。
キャラ的にはリャン(CV:田中理恵)とハッコー(CV:能登麻美子)が特に印象に残っている。
ベクトルこそ違えど、共に歪んだ愛情を体現する少しサイコなキャラクターだが、いい感じに哀愁があって魅力的だった。



余談だが、
近年のPAのオリジナル作品(俗にSHIROBAKO以降)は不作続きとか言われているが、確かに世間にそう思われても仕方が無いくらい爆死案件が多い気がするな…。
確実に力のあるスタジオなのに、裏腹にマイナスのイメージしか付かないのが少し悲しい。

この際、変にオリアニに拘らず、評価の高い原作付きのアニメ制作で存分に映像面での強みを発揮していって欲しい、とか個人的には思ってる。

月姫リメイクのPVはもう既にufo制作で出ちゃったが、ここがPA制作でも面白かったんじゃないかとすら思ってる。
作風との相性も決して悪くはないと思うんだが。
あくまで個人の主観だけど。(勿論ufo版は最高だったよ)
まあそれくらいPAさん好きなんですよね。


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[主題歌]

OP
飛蘭「mind as Judgment」

ED
Annabel「My heaven」

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