きまぐれ熊

鬼滅の刃 遊郭編のきまぐれ熊のネタバレレビュー・内容・結末

鬼滅の刃 遊郭編(2021年製作のアニメ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

エピソード単位で言えば最も好きな遊郭編

好きな理由としてはやっぱり兄妹の対比がこの上なく美しく決まっているという点に尽きる

妹を守ろうとする兄同士の対比もストレートでいい
だけど、前に進み続けようとする禰豆子と、人間として死んだ時から一切成長していない梅という対比が、鬼になるという事がどういう事かを描いていて凄く綺麗なんだよね〜

大人の身体になってまで兄を守ろうとした禰豆子と、仮にも上弦の陸という強者でありながら最後まで兄ちゃんにおんぶに抱っこだった堕鬼の精神性はバトルシーンからも明らかに対照的
まあだからこそ最後に明かされるバックストーリーの説得力や、鬼の兄妹のラストシーンが光り輝く訳で
最後にぽっと出で明かされるのに無理矢理感がないのはそういうメンタリティーの示唆が上手いんだよな


アニメオリジナル演出で、死後の世界において梅の後方には後光が射していたけど、最低でも二桁は人を喰っているであろう堕鬼が妓夫太郎と袂を別ったところで極楽になんて行けるわけがないので、あれは孤独に地獄に堕ちるか二人で地獄に堕ちるかだけの選択肢でしかなかったと思う
そう考えると二人は生前からの生き方と何ら変わってなくて、仄かな救いとは別に、鬼が成長する事が出来ない哀れな存在であるという事を提示しているようで、ワニ先生、漫画うまいな〜!って思う


この漫画、最後の最後まで鬼は絶対悪、人間こそ讃えよ、というスタンスを一切崩さないので鬼滅の刃はマジでジョジョなんだよな
炭治郎が妓夫太郎の口を塞いだときに言う
発言にも通じるところがあって、鬼という存在は許さないが個という存在を黙殺しないってスタンスが非常に人間讃歌
悪鬼滅殺という自分の感情を殺さず、それでいて丁寧に問題を切り分けるという倫理観が現代的な主人公像のアップデートを感じられて、ええよな、って思う


アニメーションに関してはCGイラストレーションがなんらかの到達点に至っている事態はもはや疑いようのない素晴らしさ
ただ個人的にはこのスタイルでずっとゴリ押されるのは辛いかも
声優陣のパワーとエフェクトのエネルギーで初見はうおおおおおおー!ってなるんだけど、よくよく見ると体捌きが確認できないくらいに情報が書き込まれ過ぎてたり遠景だったりしてハッタリで押してるシーンも少なくないので、あんまり好みじゃないんだよね
演出としてはカッコいいんだけど、「作画がいい」っていう評価は表現として正確ではない
映像が未知のものすぎて評論表現が追いついてないみたいな所ある

刀鍛冶の里編では恋柱の新体操演舞とむいむいの殺陣の作画に期待したいな〜
殺陣の表現だけで言えば派手柱より恋霞コンビの方が全然盛りやすいと思うんだよね〜
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